世界の行方とスティーブ・ジョブズ・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第5回 | GameBusiness.jp

世界の行方とスティーブ・ジョブズ・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第5回

世界を取り巻く環境の変化は我々の想像を超えています。特に最近の政治、経済、環境などにおいては今まで自分が感じてきたスピード感のそれとは大きく異なり、急速な変化が日々起こっています。

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世界を取り巻く環境の変化は我々の想像を超えています。特に最近の政治、経済、環境などにおいては今まで自分が感じてきたスピード感のそれとは大きく異なり、急速な変化が日々起こっています。

日本では3・11の東日本大震災を発端にした原発事故により人々の生活が変わり始めました。被災をされた皆様には一日も早い復興を祈念しますが、あの日以来、我々日本人の生活は変わりました。

また、世界的にも同じような事象が相次いでいます。中東やアフリカ大陸、EU圏を中心に独裁政権体制の崩壊が相次ぎ、通貨危機、経済破綻もあり、自然の脅威とも言うべき地震、津波、ハリケーン、洪水などの天災(人災)も世界のどこかで起こっています。それらが何かの暗示なのか、単なる偶然なのかはわかりませんが、すくなくとも、鉄が磁石に吸いつけられるがごとく、何かが変わってしまったような気がします。

ビジネスの世界でもそれを感じさせるような出来事が相次いでいます。アメリカ経済でも全人口の1%の富裕層に富が集中しているということで、ウォール街が占拠され、その運動は全米に拡散していきました。そしてそれはアメリカ以外の国にも広がっています。

そのような激動の中で、10月5日、アップル創業者であったスティーブ・ジョブズ氏が56歳いう若さでこの世を去りました。彼自身の人生も激動と変化に富んだものでした。アップルを創業し成功を収めたものの、自ら招き入れた経営者に社を追われたことも彼の伝説的なエピソードとして有名です。アップルを去ったのちもジョージ・ルーカスから不採算物件だったCGアニメスタジオ・ピクサーを買収し、ディズニーと双肩するアニメーションスタジオに育成したことも功績と言われています。その後、再びアップルのオーナーとして返り咲き、iMacのヒットを皮切りに、iPod、iPhone、iPadのヒットを導きました。

私自身は、ジョブズ氏自身についてあまり強い思い入れはありませんので、ここでは深く言及をしませんが、IT業界において、数多くのコンセプト、プロダクト、そして経営的手腕を発揮した素晴らしい人物であったことは間違いないことでしょう。彼のつぶやきは名言となり、人生の指針としてそれらを標榜する人たちも多いのではないかと思います。

ジョブズ氏を失った損失は大きなものでしょう。しかし、一方、この流れの早い世界のなかで、彼が常にトップを走り続けられたかどうかは誰にもわかりません。もしかしたらそうかもしれません。しかし、そうではないかもしれません。かつて絶対不敗神話的に語られた任天堂のビジネスでさえも円高という不可抗力に喘いでいます。

ジョブズ氏自身の人生云々を語るつもりはありませんが、若くして夭逝した映画スター、ジェームス・ディーンのようにいつまでも輝く存在になったことは事実でしょう。だれしもディーンの老いさらばえた姿を想像することもなく、スクリーンのなかにいきる輝かしいディーンのままのように、ジョブズ氏もこれからも彼の残したレガシーを偲びつつ人々の心の中で輝き続けると思います。「こんなとき、スティーブだったらどう考えるだろうか?」「スティーブだったらどんなアイディアを出すだろうか・・・」輝きを残して去った人にのみ与えられる言葉です。

■著者紹介

黒川文雄 (くろかわふみお)
メディアコンテンツ研究家
1960年・東京都生まれ。武蔵大学卒。レコード会社を経て、株式会社ギャガコミュニケーションズ(現・ギャガ)、株式会社セガエンタープライゼス(現・セガ)、株式会社デジキューブを経て株式会社デックスエンタテインメントを起業。映画製作配給、オンラインゲーム企画開発運営に携わる。その後株式会社ブシロード副社長、株式会社コナミデジタルエンタテインメントを経て、現在は株式会社NHNジャパンにてオンラインゲームの企画開発運営に携わる。一方で数々のエンタメ産業への造詣が深くメディアコンテンツ研究家としてコラム執筆を行う。ブログもご参照ください。Twitterアカウントはku6kawa230
《黒川文雄》

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