「夢は“本物の鉄道車両を保存”すること」―鉄道系YouTuberでありゲーム開発者な「しにせ」に話を聞いたら、とてつもない野望と鉄道愛が見えてきた!『トレインプラス西日本』インタビュー | GameBusiness.jp

「夢は“本物の鉄道車両を保存”すること」―鉄道系YouTuberでありゲーム開発者な「しにせ」に話を聞いたら、とてつもない野望と鉄道愛が見えてきた!『トレインプラス西日本』インタビュー

ほとんど1人で鉄道運転シムを作り上げた、その原動力とは。

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「夢は“本物の鉄道車両を保存”すること」―鉄道系YouTuberでありゲーム開発者な「しにせ」に話を聞いたら、とてつもない野望と鉄道愛が見えてきた!『トレインプラス西日本』インタビュー
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しにせゲームズから、鉄道運転シミュレーションゲーム『トレインプラス西日本 西日本の電車を運転! 新快速・直通快速編(以下、トレインプラス西日本)』が、ニンテンドースイッチ/PC(Steam)で8月27日より発売中です。



JR西日本による商品化許諾済で、登場するのは実在する車両たち。本格的な鉄道運転を、ジャンルのファンも初心者も楽しむことができるという、非常に完成度の高いゲームです。実はなんと、そんな本作を手掛けたのは個人で活動しているYouTuberなのです。

今回、Game*Sparkではそんな異色の開発者である、鉄道系&ゲーム系YouTuberの「しにせ」さんにインタビューを実施。ゲーム開発とYouTube活動の二つの顔を持つしにせさんならではの制作哲学や、鉄道にかける深い愛や想いを、本作に最も影響を与えた地だという新大阪駅をバックに伺いました。

きっかけは、『マインクラフト』の鉄道Modだった

——本日はよろしくお願いします。まずご自身とチャンネルについて、軽い紹介をお願いしてもいいでしょうか。

しにせさん:しにせゲームズのしにせと申します。現在はYouTubeとゲーム制作を行っております。

YouTubeのチャンネルでは、『マインクラフト』の鉄道Modや鉄道ゲームの実況をしているほか、鉄道にちなんだ企画動画など、鉄道ファンや「鉄道に少し興味がある」という層にまで、広く見てもらえるような動画を投稿しています。

——『マインクラフト』の鉄道Modですか! 普段、あまり目にすることがないのですが、どういったModなのでしょうか?

しにせさん:鉄道Modと言っても色々あって、現実の路線を『マインクラフト』で再現するものや、架空の路線を作って遊ぶもの、鉄道会社を経営してバトルさせるものなど様々です。

——しにせさんのチャンネルでも、特に伸びているのは『マインクラフト』関連のコンテンツですよね。視聴者層はどういった方たちなのでしょうか?

しにせさん:鉄道ファンはもちろんですが、実は鉄道ファンではないゲーマー層の視聴者も多いんです。そういった視聴者の方たちにこそ、ゲームから鉄道の魅力を知ってもらおうと、頑張っています。

——活動当初から鉄道とゲームに特化したチャンネルだったのでしょうか?

しにせさん:中学生の頃からYouTubeに動画を投稿していたんですが、その頃は単純に『マインクラフト』やFPSを遊ぶゲーム実況者でした。ただ、『マインクラフト』の鉄道Modを実況するようになってから、とても多くの人に興味を持ってもらったんです。どんな動画が見たいかのアンケートでも、鉄道Modが常にトップという状況でした。

——そこで「自分の方向性はこれだな」と。

しにせさん:そうですね。そこからは名前も今の形に変えて、鉄道をメインに扱うチャンネルに方向転換しました。

——なるほど。そうしたYouTube活動からゲーム開発に至るまでに、どういった経緯があったのでしょうか。

しにせさん:もともとゲームが好きで、ゲーム開発にも小さいころから興味を持ってはいました。だけれど、独学でゲームを作るということがものすごく大変だということも知っていましたし、なかなかゲーム開発に本気で取り組むというのは難しかったんです。

そんなとき、2023年ごろにChatGPTの存在を知りました。プログラムやゲームエンジンについて素人の僕でも、AIに聞きながらなら自学自習できる環境が作れるんじゃないかと思い、そこからゲーム制作を本格的に始めることになりました。

夢は鉄道車両(本物)のアーカイブ化!?

——ちなみに、鉄道ファンと言っても様々な種類のファンやマニアがいると思いますが、しにせさん自身は鉄道のどこに惹かれているんでしょうか?

しにせさん:撮り鉄や乗り鉄など様々な人がいますが、僕は特に車両マニアで、車両を調べたり眺めたりするのが好きです。実は、これは僕がゲーム制作を行う理由にもつながっているんです。

——と、言いますと?

しにせさん:ちょっと話すと長くなるのですが、僕は将来的にこの活動を通して、「車両を保存したい」という目標があるんです。現実的なところで言えば、車両の3Dモデルをデジタルアーカイブとして残したいということですね。もっと大きなところでは、車両そのものを保存することに貢献したいと考えています。

インタビュー中、どんどんラッピング車両が現れました。「レア車両がいっぱい走ってきて、SSRの神引きじゃないか!」と我々は大盛り上がり。

——写真ではなく、「実在車両そのもののアーカイブ」ということですね。

しにせさん:今の鉄道車両って、相当有名なもの以外は、基本的に引退すると保存されず解体されることが多いんです。そんな車両たちを、デジタルでもアナログでも、未来のために一両でも多くなんとか残したい、アーカイブできないか、と思うんです。

僕が子供の頃は、もう走っていない昔の車両の実物を眺めることができなかったけれど、将来そういった体験を次世代の子供たちができたらなと思います。

——ちなみに、引退した車両を公的機関以外が保存することって可能なんですか?

しにせさん:可能だと思いますが、途方もないお金と労力がかかるでしょうね。だから、これは僕個人で達成するというよりも、多くの人と共に達成したい目標です。

そのためにも、まずは僕と同じ鉄道が大好きな人たちを増やしていきたい。YouTubeもゲーム制作も、ある意味では全てそのための、鉄道を好きになってもらう間口を広げるためにやっているので。

——全ての行動が、壮大な夢に繋がっているというわけですね! 目標に向かってアクションを実際に起こせるというのは本当にすごいと思います。

しにせさん:現実的に見ればクラウドファンディングや基金設立などかなりハードな道のりですけど、これが最初の一歩になればと思っています。

ゲーム作りのために通った、新大阪の歩道橋

——それでは、ゲームの内容についてもお聞きしていいでしょうか。本作はJR西日本から正式な許諾を得て開発されていますが、そもそも、インディーのゲーム開発会社がこういった許諾を取ることはよくあることなのでしょうか?

しにせさん:あまりないかと思います。申請自体は小さい規模のスタジオでもできるのですが、かなり厳しいデザインチェックもあるので、そうしたコストを鉄道会社側がOKするかどうかですね。今回は、JR西日本さんに協力していただけたことに本当に感謝しています。

——デザインチェックというと、本作では主に車両ですか?

しにせさん:そうですね。車両の3Dモデルは細かいディテールの再現度もデザインチェックしていただくので、かなり力を入れた部分です。逆に、それくらいの再現度がなければ実際の名前を使うことはできない。

これは、本作の駅が架空の駅である理由の一つでもあります。実際の駅として出すなら、大きなコストをかけて駅を再現する必要がありますから。

——なるほど、そういった理由もあるんですね。ゲームシステムの部分に関してはどうでしょうか。基本は『電車でGO!』シリーズなどの運転シムを踏襲しつつ、カードやガチャといった要素もありますよね。

しにせさん:カードシステムは、僕が個人的に鉄道運転シムに欲しかったものを直接取り込んだものです。

鉄道運転シムあるあるとして、一度ステージやシナリオをクリアした後、プレイヤーがやるべきことって大抵はスコアアタックなんですよね。そのスコアアタックも、一度最高点を取ってしまうとほとんどやることがなくなってしまう。そうしたシステムを、何度も遊べるような体験にするにはどうすればいいかと考えて辿り着いたのが、本作のカードシステムです。

——カードによるスコアボーナスと、ガチャによるランダム性ですね。

しにせさん:はい。カードもただ強いものを揃えていくんじゃなく、各カードのシナジーを意識してデッキを編成することでより高いスコアが狙えるようになっています。カードの入手方法をガチャという方式にしたのも、ゲームのリプレイ性を高めつつプレイヤーができるだけ遊び続けられるようにという目的です。

——いわば、ちょっとしたローグライク要素ですね。

しにせさん:やっぱり、鉄道運転シムにおいてリプレイ性は強く意識した部分なので、本作独自の要素としてかなり気に入っているシステムです。

——今、私たちがいるのは新大阪駅近くの歩道橋ですが、ゲーム内に登場するカードの写真はここで撮影されたとか。

しにせさん:そうなんです。ゲーム内に登場するカード写真の多くがここで撮られたものですね。

ここは電柱やフェンスが多くて、撮り鉄の方からするとあまり良いスポットとは言えないかもしれないのですが、線路が複数に並んでいるから、とにかく通過する車両の数が多いんです。僕は関東に住んでいるので、大阪に取材に来た際、限られた日数でできるだけ多くの車両を撮る必要がありました。それには、ここがピッタリだったんです。

しにせさん撮影、新大阪駅を発車する特急「はるか」号。

——ある意味でこのゲームにとっての聖地でもあるわけですね。

しにせさん:1人でずっとここで写真を撮っていたので、すごく大変でしたが、いい思い出です(笑)。僕にとっては大事な制作現場の一つです。

——ゲーム開発者としてこれからも思い出す、青春の場所ですね。本日は色々なお話が伺えて大変興味深かったです。最後に、このゲームを遊ぼうと思っている方や、ご自身のチャンネルの視聴者に向けて、メッセージをお願いします。

しにせさん:僕自身、まだまだJR西日本についてそこまで詳しいという訳ではありません。ただ、『電車でGO!2高速編 3000番台』で東海道線(神戸線)を遊んだ幼少のあの頃から、僕はずっとJR西日本に惹かれ続けていました。遊んだ人の中には、再現度についてまだまだだと感じる方もいるかもしれません。それでも、僕がJR西日本にとても心を動かされて、愛を込めて作ったゲームであることは間違いないので、ぜひとも楽しんでいただければと思います。

そして視聴者の方へ。

僕自身鉄道運転シムが下手クソで、いつもコメントでツッコまれることばかりなんですけれども(笑)。そんな僕が、こうして鉄道に対する僕の「好き」をゲームという形にして完成させることができた。なので今日だけはどうか褒めてください(笑)。このゲームによって、視聴者の方たちにさらに喜んでいただけると嬉しいです。

そして最後に、今まで色々なゲームをリリースしてきましたが、本作は僕としても、かなり新しい挑戦をたくさん行っています。操作も複雑すぎないので、初心者にも楽しんでもらえるかと思いますし、ニンテンドースイッチでJR西日本で上り下りを運行できるのは本作のみですから、マニアにとっても唯一無二のゲームだと感じていただけると思います。

どんな方でも楽しめるゲームなので、この作品から少しでも鉄道に興味を持っていただけたら幸いです。

——本日はありがとうございました!

インタビュー中にもやってきたはるか!

『トレインプラス西日本 西日本の電車を運転! 新快速・直通快速編』は、ニンテンドースイッチ/PC(Steam)にて発売中。

また、なんと今回のインタビューの様子は、しにせさんのYouTubeチャンネルにて動画でも公開予定です! 投稿されましたらGame*Sparkでもお知らせするので、ぜひ本稿とあわせて、車両がビュンビュン飛び交うインタビュー風景も楽しんでくださいね。


電車でGO! ! はしろう山手線 - Switch
¥5,173
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《植田亮平@Game*Spark》

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