アビリティの組み合わせが生む『FF』らしい遊びとシナジー

──続いて、バトルに関して教えてください。コンソール向けのバトルとして、どのようなコンセプトで取り組まれましたか?
中島:ビジュアル表現と同じく、バトルについても、「ドットのまま『FF』が進化していたらどうなっていたか」を考えたところ、「パッと触ってわかる爽快感」と「遊び込むほど見えてくる奥深さ」の両立が今の『FF』らしさだと感じました。
本作における爽快感という部分では、「ブレイク」や「フルブレイク」、さらに「レゾナンス」発動のカタルシスなどが当てはまります。
奥深さについては、今回まだお見せしきれていない部分もありますが、「アビリティ」を習得し、それらを組み合わせることで、自分だけのパーティーを作り上げていく面白さがあります。
──プレイした範囲では、敵をブレイクするとMPが回復するアビリティがありました。あのアビリティを、回復魔法を使える「ビジョン」と併せて同一キャラクターに装備させると、MPが回復できる回復役が出来あがりますね。
中島:まさしく、おっしゃるような遊び方を、さらに多彩で奥深く楽しめるゲームになっています。
アビリティ同士やビジョンとの組み合わせで、ダメージ重視のアタッカーや、ブレイク特化型のキャラクターを作ることもできます。そうしたシナジーを見つける「発見の楽しさ」を、本作における“遊びの入口”として用意しました。

白神剛志氏(以下、敬称略):ブレイクというシステムや、様々なアビリティの効果を理解すると、ダンジョン攻略の中で自分なりの戦略を見つけられると思います。
おっしゃった例で言えば、「ブレイクしながらMPを回復できれば、何度も回復しやすくなる」といった具合ですね。そして、ひとつのシナジーに気づくと、ほかの組み合わせも想像しやすくなり、「次はどのアビリティを覚えようかな」と楽しんでもらえるかなと思い、設計しました。
最初のプレイでそこに気付いてもらえたのは、嬉しいばかりです。
──『FF』シリーズの経験が活きたのだと思います。ドット時代の『FF』を遊んでいた人たちなら、「ああいう遊び方ができそうだな」「こういう戦略も組めそうだな」と、すぐにピンと来そうですね。
古屋当時プレイしていた方なら、ニヤリとするようなアビリティもありますよ。
白神氏:新しいビジョンが手に入ったら、まず最初に「何を覚えるんだろう」と確認したくなると思います。また、「あ、これ絶対強いな」と思ってもらえるようなものも用意しました。
古屋当時、「この組み合わせは強いんじゃないか」と模索していた楽しみがあったと思うのですが、本作でもそれを味わえるようにしました。製品版で、ぜひ試してほしいですね。

──バトルの画面だけ見ても、『FFBE』は縦画面の戦闘でしたから、今回かなり雰囲気が変わりましたね。
中島:アプリ版は背景がイラストだったため、ゼロから作っています。その点も含め、見た目の印象が随分変わり、コンソールらしいリッチな画面作りが実現できたと思います。
「読む作品」から「体験する作品」へ

──本作は、今まで『FF』を遊んだことがない人も楽しめると思いますが、昔から遊び続けた人にとっても「こんな風になったのか」と驚いてもらえそうですね。開発において、それぞれの層を意識された部分はありますか?
中島:飛空艇など、昔ながらの『FF』の魅力も入っていますので、長く遊んでくださっている人にも喜んでいただけるかなと思っています。
『FF』は長い歴史があるシリーズなので、人によっては敷居の高さを感じるかもしれません。そうした方々も意識し、『FF』らしい魅力や世界観を凝縮しながら、ストーリーはできるだけ分かりやすく整理しました。
また、どちらかというと、ダークな方向ではなく王道で明るめの冒険譚になっていますので、『FF』を知っているけれど遊んだことはないという人も、本作は安心して楽しめると思います。『FF』入門として触っていただけると最高ですね。
──昔の『FF』にあった世界中を回り尽くす探索の楽しさ、特に飛空艇を手に入れた後は、「あそこは何だろう」とくまなく調べました。そんな「あの頃の楽しさ」をもう一度味わえるゲームにもなっているんですね。
中島:飛空艇を手に入れると、行ける場所がかなり広がります。探索できる場所もぐっと増えますし、そのあたりも力を入れて頑張りました。

──メインシナリオは『FFBE』の第1シーズンがベースとのことですが、冒頭を遊ばせていただいたところ、本作専用の新規シーンが初っ端から登場しました。本作の物語は、より良く、より分かりやすく見せるために、かなり手を加えられているのでしょうか。
中島:大きな部分で言うと、シナリオの大筋とキャラクター自体にはベースがあります。ただし、全てのセリフとプロットを見直しています。アプリ版の要素を引き継いでいる部分もありますが、それはコンソール版として残すべきだと判断したものだけです。
また、ゲーム体験自体も、コンソール向けに再設計しています。キャラクターへの没入感や、ロールプレイングゲームとして次の目標がしっかり提示されることなど、スマートフォン版のままでは難しい部分がありました。そういった要素を含めて、全体的に再構築しています。
あと、サブクエストはすべて新規追加となる要素です。

古屋今中島が言ったことを、本当に愚直にやっています。スマートフォン版では、ステージをクリアするとシナリオが解放されて読める形式で、どちらかというとノベルゲーム的に進行していましたし、マップ数も膨大でした。
しかしコンソールRPGとして再構築する以上、ダンジョン数などにも限りがありますし、何よりプレイヤーに読ませる作品ではなく、自分で操作して体験してもらわなければなりません。
そのため、重要なエピソードを抜粋し、「これをコンソールのRPGとしてどう組み替えるか」を考え、エピソードの順番を変更したり、配置を見直すなど、広く再構成しました。
中島:また、コンソールゲームらしく「エンディングでしっかり気持ちよく」終われる形になっています。
『FFBE』を知る人ほど驚きの仕上がりに

──実際に触れさせていただきましたが、既にかなり完成度が高いと感じました。もう完成に近い状態なのでしょうか。
中島:かなり完成に近づいていますね。調整などはもちろんありますが、ほぼ最終版に近い状態です。
──開発期間は、どれくらいかかりましたか?
中島:考えると、5年ほど続けていたという感覚ですね。
──物語はベースがあるとはいえ、1本のゲームとして十分に開発期間を設け、しっかり作り込まれたわけですね。
中島:開発期間だけ見ても、新作タイトルと比べて遜色ないレベルです。私たち自身もかなり苦労しましたし、それだけ時間もかかっています。
特に、新規で追加した部分には苦労しましたね。例えば、シナリオを足すにしても、単純に追加すればいいわけではありません。
追加した要素にはすべて意味があります。「このタイミングでは、プレイヤーはもう少し情報を持っているべきではないか」「ここは説明が不足しているのではないか」といったことを考えながら、補強していきました。

ただ、既存の物語に新しい要素を足すのは非常に難しいんです。辻褄を合わせないと破綻しますし、全体の流れも考えなければいけません。
そういう意味では、新規タイトルをゼロから作る方が楽な部分も間違いなくありましたね。
──本作については、『FFBE』を遊んでいたファンと『FFBE』未経験のユーザー、そのいずれも注目していると思います。ぜひ初のHD-2Dとなる『FF』に期待する方々に向けたメッセージをお願いします。
中島:まず『FFBE』を知らない方に向けてですが、今回私たちは「ドット絵の『FF』が進化し続けていたらどうなっていたか」という作品を作りました。懐かしさもありながら、新しい要素もしっかり取り入れています。
『FF』を長く愛してくださっている方はもちろん、興味はあるけれど『FF』シリーズにまだ触れたことがない方にも、ぜひ遊んでいただきたいです。

そして『FFBE』が好きだった方にとって本作は、「『FFBE』ってこんなに面白かったっけ?」「こんなに迫力のあるゲームだったっけ?」と、良い意味で驚いていただける仕上がりになっていると思います。
ゲームシステムは根本から見直していますが、『FFBE』を好きだった方にしっかり伝わる要素も数多く残しています。また、人気キャラクターたちの物語が追加されていたり、メインキャラクターたちの過去を掘り下げる要素が入っていたりと、新しい発見も用意しています。
そのため、『FFBE』ファンの方にも新鮮な気持ちで遊んでいただける、新しい作品と言っていい仕上がりになっていると思います。ぜひプレイしていただきたいですね。
──お忙しいところ、本日はありがとうございました! 製品版でのプレイを、楽しみにさせていただきます。

本作は、『FFBE』への強い思いを原動力に企画がスタートし、「もし『FF』がドット絵のまま進化を続けていたら」というテーマのもと、『FF』らしさを徹底的に追求して開発されたタイトルであることが、今回のインタビューから強く伝わってきました。
先んじて体験した試遊版は、プレイ時間こそ限られていたものの、『FF』作品として表現されたHD-2Dの新たな可能性や、ビジョンとアビリティの組み合わせによって広がる戦略性、そしてシリーズファンの心をくすぐる数々の要素など、本作ならではの魅力を十分に感じられる内容でした。

『FFレゾナンス』のゲーム体験についてさらに詳しく知りたい方は、あわせて公開しているプレイレポートもぜひご覧ください。
『ファイナルファンタジー レゾナンス』は、NSW2/NSW/PS5/Xbox Series X|S/Steam/PC向けに、2026年10月22日(Steamのみ10月23日)に発売予定。価格は、通常版/ダウンロード版が7,678円(税込)、デジタルデラックス版が9,878円(税込)、コレクターズエディションが25,500円(税込)です。










