マイクロソフトのXBOX部門の新たなトップにアーシャ・シャルマ(Asha Sharma)氏が就任して100日が経過しました。
これまでInstacartやMeta、そしてマイクロソフトのAI部門というゲーム業界外から抜擢された異例の経歴を持つ新CEOは、この激動の100日間で何を見極めXBOXをどこへ導こうとしているのか。 Bloombergによる最新インタビューからシャルマ氏の本音が語られました。
ゲーム内Copilotを即座に葬った新CEOの決断
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが全社を挙げてAIのCopilotの統合を推し進める中、シャルマCEOが就任直後に下した最も驚くべき決断の一つがXBOXへのAI直接導入の中止でした。シャルマ氏はその理由を「XBOXプレイヤーはあの体験にワクワクしていなかった」と明かしています。
シャルマ氏はAIを否定しているわけではなく、AIは開発現場でのプロトタイプ制作支援や、より少ない負荷で美しいグラフィックを描画するアップスケーリングといった、裏方の技術として活用されるべきだと語ります。ナデラ氏の方針に逆らってでも無駄な機能を見送ったこの決断は、プレイヤーの純粋なゲーム体験を最優先したものでした。
AI需要が引き起こしたパーツ高騰の危機
次世代機を待つゲーマーにとって死活問題である「次世代機の価格と性能」について、シャルマCEOは非常にシビアな市場の裏事情を明かしました。
通常、ハードウェア世代の末期になればメモリやストレージなどの部品コストは下がるものです。しかし現在、世界的なAIブームの影響により、それらのコストは下がるどころか2.75倍に高騰しており、彼女の就任後わずか100日間だけでも50%上昇したと語っています。このまま単に次世代機の本体価格を上げてリリースするだけではプレイヤーが離れてしまいます。シャルマCEOは「イノベーションの起こし方やビジネスモデルを根本的に変える必要がある」と明言しています。
また、新世代のゲーマーはどこにいても短い時間でプレイできる点を望むなど、従来のユーザー層とは異なるものを求めている点からも、次世代XBOXはこれまでの枠組みにとらわれない、新たな提供形態を模索していることを示唆しています。

8か月の低迷を打ち破ったGame Pass
約700億ドルという歴史的な規模で行われたActivision Blizzardの買収。その後、スタジオの閉鎖やレイオフ、Game Passの値上げが続き一部のゲーマーからは懸念の声も上がっていました。 シャルマCEOは、この巨大買収が「ChatGPTの登場前」かつ「コロナ禍の真っ只中」に決定されたものであり、現在は状況が大きく変化したことを認めつつも、『Call of Duty』や『キャンディークラッシュ』といった圧倒的なIPの力を高く評価しています。
さらに朗報として、一時期8か月間にわたり減少傾向にあったGame Passが直近の価格改定によって再び成長軌道に乗ったことを明かしました。

「今のXBOXは健全ではない」痛烈な批判者をあえて右腕に据えた100日後の反撃
今回のインタビューで最も印象的だったのは、シャルマCEOが自社の現状に対して驚くほど赤裸々だった点です。「数字が示している通り、私たちは健全な状態にはない(売上低下やコスト増大)」。トップ自らがこう断言し、次の100日間は「これまでのビジネスのリセット」に注力すると宣言しました。
その本気度を示す象徴的な動きが、これまでXBOXのミスを痛烈に批判してきた著名なゲームアナリストをあえてアドバイザーとして迎え入れたことでした。シャルマCEOは「私たちはチャレンジャーであり、耳の痛い真実を受け入れる必要がある」として、現状の不調から目を背けず、批判的な意見すらも内部に取り込んで変革しようとしています。
アーシャ・シャルマCEOが見据える「2030年にナンバーワンのゲーム&エンターテイメント企業になる」という目標に向け、XBOXの逆襲のフェーズがいよいよ幕を開けようとしています。
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