AI作曲サービスのNo.2であるUdioが音楽業界最大手のひとつであるユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG) と提携を発表しました。数カ月前まで続いていたAI音楽をめぐる著作権訴訟の構図は一変することになります。
具体的には、アーティストが自分の声やスタイルを「公式に貸し出す」仕組みになります。
現在、Udioはサービスを利用して作曲することはできますが、生成した楽曲のダウンロードはできなくなっています。


訴訟から協業へ
UdioはSunoと一緒に、UMGを含む複数のレーベルや著作権団体から「無断学習」「著作権侵害」を理由に提訴されていました。
AIが学習に用いるデータの扱いが音楽業界で大きな論争を呼び、Udioは一時期、主要レーベルからの強い批判の矢面に立たされていました。
発表によれば、UMGとUdioは正式なパートナーシップを結び、AIによる音楽創造の新しい枠組みを「業界公認」の形で進めることになりました。
アーティストの許可制AI音楽へ
UdioのCEO、アンドリュー・サンチェス氏は同社の公式ブログで次のように述べています。
アーティストとソングライターがAIの恩恵を直接受けられるようにする。これが今日の第一歩だ
この提携によって、Udioでは今後、
アーティストが自らの声やスタイルの使用を許可・管理できる
ファンがその範囲内で新しい曲を生成・リミックスできる
という「許可制AI音楽」の仕組みが導入される予定。
つまり、AIが勝手に誰かの声を模倣する時代から、アーティストが自らAIをコントロールし、ファンと協創する時代へと進化することになります。
歌声のコントロールについては、UdioはVoice Controlという機能を最近実装しています。いくつかのテンプレートボイススタイルをブレンドして、好みの歌声を作り、その歌声で歌わせることが可能です。

Udioではオーディオをアップロードして、その音楽を参照して楽曲を生成する機能はありますが、Suno同様に商用音楽のアップロードは禁じられており、特定シンガーの声を名指しで生成することはできません。SunoにはPersonaという機能があり、一時はそういったことが可能でしたが、現在では声の固定はSuno内でランダムに生成された声の中からピックアップすることしかできません。
UdioはこのVoice Control機能を発展させることでアーティストの歌声を提供するのかもしれません。
既存ユーザーへの対応
Udioは今後数カ月間、モデルと機能の大幅アップデートを行う「移行期間」に入り、当面は楽曲のダウンロード機能が停止。有料ユーザーには以下の特典が提供されます。
Pro/Standardユーザーに追加クレジット1200
Proプランの同時生成上限を10曲に拡大
さらに全ユーザーに1000のボーナスクレジットを付与
サポートチームも強化され、アーティストやユーザーからの意見を積極的に受け付ける体制が整えられます。
Sunoなど、AI作曲サービスはどうする?
DAW対応や性能アップといったAI作曲関連での機能追加がこのところ行われていなかったUdioですが、こういった背景のもと、Sunoとは違ったアプローチによるアーティスト寄り機能強化を進めていたのではないでしょうか。
SunoやAIエージェントのProducer、Tuneeなどの今後の動きも注目です。
また、これはメジャーレーベルの一角だけの話で、他のレーベルやインディーレーベル、個別のアーティストはどうなるのか、Udioのサービスを享受できるのかも気になるところです。








