
『GTA』や『ボーダーランズ』のパブリッシャーとして知られるテイクツー・インタラクティブは2025年提出分の投資家向け年次報告書から、これまで記載していた「多様性、公平性、包括性」セクションや、LGBTQ従業員の支援に関する雇用賞の記述を削除しました。
「多様性」は「思考の多様性」へ…具体的な取り組みや評価の多くも削除
提出されたのは米証券取引委員会への提出が公開企業に対し義務付けられた「Form 10-K」と呼ばれる報告書で、投資家や市場参加者が企業の業績や財務状況を包括的に知るための資料となっています。また企業の展望やリスク、社会的な立場が表れるものでもあります。
今回テイクツー・インタラクティブが行った変更は2024年版における「多様性、公平性、包括性(DEI)」セクションに当たる箇所を「コミュニティとエンゲージメント」としたこと。冒頭の文言もチームの多様性に強い価値を見出すとの内容から「思考の多様性」という言葉を利用しての曖昧な表現となっているほか、多様性の強化やそのための具体的な取り組みといった積極的な姿勢を見せる内容は完全に削除されています。
さらに労働環境の充実について述べた部分では、その裏付けとして記載していた米有名紙からの受賞内容の中からNewsweekの「多様性や女性、LGBTQ、新入社員へ配慮した最も働き甲斐のある企業」賞とGay Gaming Professionalsの「DEI&Bリーダー」賞の受賞歴を削除しました。
トランプ政権の目線逸らし目的か?その他大企業でも同様の対応見られる

こういった対応はトランプ政権下で司法省、および雇用機会均等委員会が発した「DEIへの取り組みや方針として、雇用主、その他の対象事業体が従業員または応募者の人種、性別、その他の保護された特性を全面的、または部分的に動機として雇用行動をとる場合、違法となる可能性がある。」との声明への反応と見られており、ディズニーやペプシといった様々な企業でも見られることが報じられています。海外ゲームメディアGame Fileがテイクツーに対し変更について問い合わせを行っていますが、コメントを拒否されたとのことです。