マリオのタイムアタック動画は、他のどんなゲームよりも投稿されている―日本でも盛んなRTA文化をおさらい | GameBusiness.jp

マリオのタイムアタック動画は、他のどんなゲームよりも投稿されている―日本でも盛んなRTA文化をおさらい

4月28日より映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の日本公開が開始され、わずか4日で日本での興行収入が20億円を突破。全世界でも興収1,400億円を超え、大ヒットを記録しています。

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マリオのタイムアタック動画は、他のどんなゲームよりも投稿されている―日本でも盛んなRTA文化をおさらい
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4月28日より映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の日本公開が開始され、わずか4日で日本での興行収入が20億円を突破。全世界でも興収1,400億円を超え、大ヒットを記録しています。

そんな中、YouTube Japan公式より「マリオのコミュニティが視聴回数1000億回を突破」という動画が公開されました。動画では、2007年から現在に至るまで、マリオコミュニティに投稿された様々な動画を紹介しながら、1000億回もの視聴回数に至るまでが振り返られています。

◆どのゲームよりもタイムアタックの投稿が多いマリオ

その中でも、初期から人気だったのはタイムアタックに関する動画。マリオのタイムアタック動画は、他のどんなゲームよりも投稿されていると動画内で語られています。

マリオのタイムアタック動画には、ゲーム内プレイタイムを競うものや、実時間でのタイムを競うもの、そしてそれらの解説動画などに加えて、目隠しや2人で1つのコントローラーを操作するものなど、多種多様なタイムアタック動画が投稿されています。タイトルに関しても、『スーパーマリオブラザーズ』を始め、『マリオカート』や『マリオゴルフ』などの派生作品も含めた歴代タイトルの多くが投稿されており、タイトルの新旧問わず日々タイムアタックが盛んに行われていることがわかります。

◆RTAというジャンル

タイムアタックの中でも、ユーザー間で盛んに行われているのが、RTAと呼ばれるジャンルです。

RTAとは「Real Time Attack」の頭文字をとったもので、(基本的には)ゲーム開始からクリアまでを「実時間」で計測し、その速さを競うもの。海外でも「Speedrun」と呼ばれ多くのユーザーが挑戦しています。

通常のタイムアタックではゲーム内で記録されるプレイ時間(多くの場合、セーブ/ロードやカットシーンの時間は含まれない)を参照しますが、RTAでは「実時間」での計測となるため、基本的にプレイ中は常にタイマーが動いています。ミスをした際のやり直しや、休憩等でゲームを一時中断する場合であってもタイマーが止まることはありません。そのため、通常のタイムアタックよりも一つのミスから生じるタイムロスが多く、また最初から最後まで通しでプレイするため、長時間に渡り集中力を維持する必要があります。

「実時間」での計測ということで、ゲームによってはかなり過酷なチャレンジとなることもありますが、よりシビアにタイムを追求することと、その競技性に魅せられたユーザーたちは、日々研究を重ね、記録の更新に挑んでいます。そして、そこから生まれるスーパープレイや驚愕のタイムは、RTAの視聴者たちを魅了し、ゲーム実況・配信の分野でも人気ジャンルとなっているのです。

◆日本でのRTA

主に海外を中心に生まれたこのRTAですが、日本国内でも現在ではかなりの人気を誇ります。

中でも人気なのは、(出張イベントを除き)年2回行われる「RTA in Japan」というオフラインイベント。多くのRTA走者が参加し、数日間に渡りRTAを行う日本最大規模のイベントで、2016年の初回以来、参加者・視聴者数が大きく伸びており、今では開催期間中Twitterのトレンドなどを席巻するほどの大きなイベントとなっています。2023年は、4月28日~30日にかけて「RTA in Japan ex #2」が静岡にて行われていた他、8月には「RTA in Japan Summer」が実施予定です。

「RTA in Japan」は大規模イベントであり企業協賛が付くこともありますが、このイベントはチャリティを目的としています。現在は「一般社団法人RTA in Japan」が運営しており、非営利を徹底し、配信などで得られた収益の多くは「国境なき医師団」と言った慈善団体に寄付されています。もし、企業としてスポンサードを考えているようであれば、この点を理解しておくべきです。

◆RTAに関して企業が考えるべきこと

上述のように、国内・海外問わず盛んなRTA。この文化をプロモーションに活かしたいと感じることもあると思います。ですが、企業(特にゲームメーカー、パブリッシャー)としては慎重に考える必要があります。

まずRTAというものは「いかに速くクリアするか」を突き詰めていくものであり、そのためには通常プレイではありえないバグや、仕様の穴を突いたプレイが行われることが多くあります。RTAにはいくつかのレギュレーション(ユーザー間で定められたもの)があり、特に「Any%」と呼ばれるものは「なんでもあり」となっているため、このようなプレイも普通に行われます。

また、RTAはスタートからクリアまでを通しで行うのが基本です。つまり、ネタバレは避けられません。会話やムービーもスキップされるのが常です。ゲームメーカー、パブリッシャーがRTAをプロモーションに使用する際はもちろん、周辺企業によるRTA大会への協賛などにあたっても、こういったRTAの特性は必ず理解しておき、慎重に考える必要があります。


なお、こういった「企業が考える点」としては、「CEDEC 2022」にて行われた「RTAを活用したプロモーションで起こす瞬間風速と熱量の保温 / RTAコミュニティについて」という講演が大変参考になります。


タイムアタック関連は確かに盛り上がりを見せていますが、ユーザー主導の文化という性質上、企業(特にメーカー、パブリッシャー)は慎重に歩み寄る必要があります。RTA文化のよりよい発展のためにも、企業としてはまず、RTAという文化を入念に研究する必要があるのではないでしょうか。

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