TV番組「マツコ会議」でe-Sportsキャスター・平岩康佑氏が明かした“ゲーム実況の裏側”―「実況するゲームは100時間プレイ」「収入は局アナ時代の10倍」 | GameBusiness.jp

TV番組「マツコ会議」でe-Sportsキャスター・平岩康佑氏が明かした“ゲーム実況の裏側”―「実況するゲームは100時間プレイ」「収入は局アナ時代の10倍」

『フォートナイト』や『Apex Legends』のような、複数のチームが同時に戦うバトロワゲームの実況は、「ゴルフの中継に近い」とのこと。

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Photo by Sports Nippon/Getty Images
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マツコ・デラックスさん

日本テレビのバラエティ番組「マツコ会議」の3月13日放送回にて、e-Sportsの大会実況などで知られている平岩康佑氏が登場。e-Sportsの現状や、自身の体験談などを赤裸々に明かしました。

「マツコ会議」は、今話題を呼んでいるディープな場所や人物と中継を結び、人気を集めるポイントや気になる点に迫り、より深く掘り下げる番組です。MCを務めるマツコ・デラックスさんの鋭い切り口や巧みな話術も、視聴者から好評を博しています。

そんな本番組に今回呼ばれた平岩氏は、かつて朝日放送テレビでキャスターを務めており、甲子園の実況で活躍した経験も持つ人物。2017年には、「ANNアナウンサー賞 スポーツ実況部門」の優秀賞を受賞するなど、キャスターとして着実に実績を積み重ねてきました。

その実況テクニックを活用し、e-Sports業界に“実況”を取り入れ、大会や試合の盛り上がりを後押しする平岩氏。現在は日本初のe-Sports実況会社「ODYSSEY」の代表も務めており、国内に先立つe-Sportsキャスターとしての仕事量は月に10日~15日ほど。

オンライン回線の充実や、新型コロナウイルスの感染対策として、最近はe-Sports選手が自宅にいながら大会に参加できるケースも増えたと説明し、そのため実況する機会もかなり多いといった現状を語ります。なお、実況は週末がメインで、土日のスケジュールは「7月まで埋まっている」と告白。e-Sportsの活気と平岩氏の人気ぶりが窺えるエピソードなどが飛び出しました。


e-Sportsの大会について聞かれると、平岩氏は「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE」について述べます。これは、国内有数の選手が各チームに所属し、世界大会出場と賞金総額3億円をかけて長期間にわたって戦う、『PUBG MOBILE』における国内初のプロリーグのこと。

この賞金総額3億円は、国内における最高賞金額。しかも参加選手には、年俸350万円が支給されるなど、そのスケールの大きさはまさに国内最大級。現在は「SEASON1」のPhase1が行われている最中です。


また、競技人口が最も多いゲームのひとつとして、登録者数が3億5千万人におよぶ『フォートナイト』の名前が挙がります。2年前に行われた『フォートナイト』のワールドカップでは、総額110億円という破格の賞金と勝利の栄光を目指し、世界中から4千万人もの選手が参加し、ゲームファンから大きな注目を集めました。

ちなみに『フォートナイト』ワールドカップのソロ部門では、「Bugha」ことKyle Giersdorf氏(16歳・アメリカ)が優勝。日本円にしておよそ3億2,000万円を獲得し、こちらも話題となりました。


『フォートナイト』や『Apex Legends』のように、複数のチームが同時に戦っているゲームについて、「どのように実況しているの?」と聞かれると、「ゴルフの中継に近い」と平岩氏。「いろんなところで同時多発的に事態が動いているので、“ここを見てみましょう”という感じで(画面が切り替わる)」と、その実況の流れについて解説します。

そのため実況を行うには、プレイ中における全チームの行動把握はもちろんのこと、事前に選手個人のTwitterや配信を見たり、それぞれの戦歴や特徴、事前に取材した「試合に向けた想い」などをまとめた実況資料作りも欠かせないと平岩氏は語ります。

また、実況するゲームについても「最低100時間プレイしてから実況に臨む」と、相当な時間をかけて直接触れていると明言。ゲーム大会の視聴者は、実際にゲームを遊んでいる方も多いので、「彼らのリテラシーについていくために、少しでも知識を持つ」「自分もそのゲームのファンになることからスタート」と、真摯な姿勢を垣間見せました。


マツコ・デラックスさんによる「(e-Sportsの)市場の拡大を予期していた?」といった質問には、「その思いは持っていた」「(しかし)当時は、まだどうなるかわからなかった」と、平岩氏が退職時を振り返りながら回答。「ゲーム業界に局アナはまだいなかったので、唯一の人になれるんだったら」との想いで、新たな世界に飛び込んだと打ち明けます。

また、朝日放送テレビを辞める際、その旨を報告したところ「100人に報告したら100人に怪訝な顔をされた」、「(辞めた後は)どうするのかと聞かれましたが、“ゲームの実況です”と答えたら、みんな怪しい顔をしていた」などの反応だったと述べました。

この反応について、平岩氏は「最初は不安だったんですが、“みんなまだe-Sportsの魅力に気づいてないな”と受け止めた」と、むしろ手応えを感じていた模様です。

現在の収入について問われると、「朝日放送の局アナ時代と比べると、10倍くらい。会社の年商に近いですけど」と返答。その躍進ぶりに、番組参加者一同から驚きの声が上がります。


ここで、平岩氏に向けてオファーをする側として、プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon(クレイジーラクーン)」のオーナーを務める「リテイルローのおじさん」氏(以下、リテイルロー氏)が登場。2年前から行っている大会「CRカップ(クレイジーラクーンカップ)」の主催者でもあり、こちらの第1回大会から、平岩氏を実況として起用し続けています。

「CRカップ」のインターネット上における同時視聴者数は、初回は1万5千人とのこと。それが今や15万人規模に膨れあがっており、「めちゃくちゃ人とお金が集まるようになって、上の人達の見る目と目つきが変わった」と、リテイルロー氏の視点から、その注目度の変化が綴られました。

なお、「CRカップ」に平岩氏を起用した理由を問われると、リテイルロー氏は「合コン一緒にやったんですけど、アナウンス力を活かしてめちゃくちゃ回してた」といった発言で、場の空気に笑いをもたらします。


また、チーム「Crazy Raccoon」についても触れ、所属している最年少選手は13歳~14歳とかなり若く、「プロゲーマーとして、年間収入1千万円くらい稼いだりする」と、若年層も目覚ましい活躍をするe-Sportsの現状について迫りました。

さらにリテイルロー氏は、「日本(のe-Sports)は遅れており、ようやく追いついてきたくらいの感覚」「ちょっとでも(競技)人口が増えて、才能がいっぱい見つかればいい。人口は力、才能が見つかる可能性が上がる」など、e-Sportsの今後に向けた発言も残しました。

そして平岩氏は、「e-Sportsのスタジアムができて、それがプロ野球とかサッカーより大きくなってる。そんな未来に、10年以内にしたい」と、今後の目標を述べて発言を締めくくりました。

歴代のスポーツと比べると、その歴史はまだ浅いe-Sports。一方で、急速な伸びも見せており、成長が目まぐるしい分野でもあります。平岩氏が持ち込んだキャスターとしての経験とテクニックも、e-Sportsに小さからぬ影響を与えました。この盛り上がりが、どのような変化へと繋がっていくのか。今後の動きにも注目が集まることでしょう。
《臥待 弦@インサイド》

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