幻のイラク戦争FPS『Six Days in Fallujah』は「イラク戦争の善し悪しについて政治的論評を行うつもりはない」―パブリッシャー代表が語る | GameBusiness.jp

幻のイラク戦争FPS『Six Days in Fallujah』は「イラク戦争の善し悪しについて政治的論評を行うつもりはない」―パブリッシャー代表が語る

「皆が口を揃えて『こんなゲームを作ってほしくはないが、子供たちの犠牲も忘れてほしくはない』と、複雑な心情を吐露していました」

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幻のイラク戦争FPS『Six Days in Fallujah』は「イラク戦争の善し悪しについて政治的論評を行うつもりはない」―パブリッシャー代表が語る
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先日アナウンスされたタクティカルミリタリーFPS『Six Days in Fallujah』。パブリッシャーVicturaの代表を務めるPeter Tamte氏は同作について、海外メディアPolygonのインタビューにて「政治的な論評を行うつもりはない」と語りました。


同作は、かつて米コナミがパブリッシャーを務めAtomic Gamesにより開発が進められてきましたが、各方面からの強い批判を招き、2009年に米コナミが販売権を放棄。2010年にはAtomic Gamesによって同作の開発完了が伝えられるも、販売を担うパブリッシャーが見つからない状況となっていました。


Tamte氏は同作について、「市街地戦闘の複雑さ」「政治的決断によりイラクに赴くことになった人々の体験」「政策担当者の決断が、戦地の海兵隊員の意思決定に対しどのように影響をもたらすか」をプレイヤーに伝えることに重きを置いているとし、(政治的決断にどうこう言えない海兵隊と同様に)イラク戦争そのものの善し悪しについて政治的な論評を行うつもりはないと語っています。


また同氏は「我々が話を聞いた人々の口からは語られておらず、根拠に基づいてプレイヤーに伝えられない」「肝心の体験談から話が逸れてしまうような、センセーショナルなものは求めていない」として、イラク戦争中に発生したとされるアメリカの戦争犯罪(榴弾・白リン弾を使用してテロリストを防衛陣地から炙り出し殲滅する「shake-and-bake」戦術、ファルージャ市民の発がん率を上げたとされる劣化ウラン弾の使用など)について議論するつもりもないとも述べています。


またPolygonの「ファルージャでの戦闘の結果・影響を伝えるにあたって、どのような責任があると考えているか」という質問に対しては、「本作のプレイヤーはイラク戦争での犠牲・損失を軽んじたり、過去の経験を忘れて『もっと戦争するか』という考えに至ることはないでしょう。(我々が話を聞いた)海兵隊員や陸軍兵士、イラク市民も、そうならないよう望んでいるはずです。(プレイヤーは)戦争がもたらす人的被害について理解しなくてはなりません」と答えました。


さらに「本作をプレイすることでイラク戦争に興味を持ち、ファルージャで起きた出来事についてもっと知りたいと思うプレイヤーが出てくるでしょう。しかし現状ではファルージャでの戦闘は注目されておらず、その結果や余波について考察しようとする動きも起こりません」とも回答。同作がプレイヤーの意識にもたらすであろう変化について予想しています。



2009年の米コナミによる販売権の放棄以降、様々なミリタリー系タイトルが同様の批判を避けるために、架空の国や軍隊、ストーリー設定を用いてきました。それでも『Six Days in Fallujah』が実在の人物・出来事へのフィーチャーに拘る理由については、以下のように語っています。


「愛する人を戦争で失ってしまった人々は皆、『子供たちや友人たちの犠牲を忘れてほしくない』と語っていました。(イラク戦争に対して)非常に批判的であった人々であってもです。私を含め、開発チームのメンバーは戦争経験者(とりわけ、2009年当時に一度話をした退役軍人ら)と話をしてきました。皆が口を揃えて『こんなゲームを作ってほしくはないが、子供たちの犠牲も忘れてほしくはない』と、複雑な心情を吐露していました」


「殆どの人々がファルージャでの戦いを知らないのが現状です。この戦いについてゲームを通して伝えることで、具体的な人々の犠牲をプレイヤーに忘れずにいてもらえます。これが(『Six Days in Fallujah』が実在の人物・出来事へのフィーチャーに拘る理由の)ひとつです」


「戦争犠牲者の友人や家族らと『犠牲を忘れさせない』という共通の目的を持っているとはいえ、彼らの大部分が連想するゲームとは『コール オブ デューティ』のようなものでしょう。『コール オブ デューティ』はあくまで娯楽であって、そんなタイトルで息子の死を扱われたなら、私なら非常に怒ります。我々が今なすべきは、『Six Days in Fallujah』が『コール オブ デューティ』(のような娯楽的作品)ではないということを人々に示すことです」



また、ファルージャに住む人々の気持ちを代弁した批判意見については「ほとんど全ての(ファルージャに住む人々の気持ちを代弁した)お怒りの意見は、ファルージャに住んでいない人からのものです。我々は誰かを、その人が『守られたい』と思っているかどうかに関わらず『我々が守らなくては』と責任感を覚える文化の中で生きているのでしょう。もちろん、ファルージャに住んでいる人の中で、本作によって傷つく人もいるのは承知しています。しかし私が15年間、本プロジェクトに携わって得た経験、交わしてきた対話から言わせてもらえば、ほとんど全ての人々がファルージャで何が起こったのかを知ってほしいと思っているのです。これはイラク市民であっても、有志連合のメンバーであってもです」と述べました。


映像や文章では伝わりきらない、100人以上の戦争経験者(イラク市民を含む)らの経験の共有にフォーカスした『Six Days in Fallujah』は、多国籍軍の退役軍人らを支援する団体に売り上げの一部を寄付する予定とのこと。対応プラットフォームはPC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox Oneで、2021年末のリリースを目指しています。


《S. Eto@Game*Spark》

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