「ネット・ゲーム依存症対策オンライン勉強会」レポート―ゲーム依存症の「これまで」と「これから」について学ぶ | GameBusiness.jp

「ネット・ゲーム依存症対策オンライン勉強会」レポート―ゲーム依存症の「これまで」と「これから」について学ぶ

今回はコンテンツ文化研究会が8月21日に実施した「ネット・ゲーム依存症対策オンライン勉強会」のレポートをお届けします。

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大きな批判を浴びつつも成立した香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」。多くの専門家が疑問を呈したパブリックコメントや、科学的根拠への追及はどうなったのか?今回はコンテンツ文化研究会が8月21日に実施した「ネット・ゲーム依存症対策オンライン勉強会」のレポートをお届けします。

パブコメ追及の結果は?そもそも何が発端でゲーム依存症が問題視され始めたのか?これから私たちはどうするべきなのか?4名の有識者から、ゲーム依存症の「これまで」と「これから」について学びます。

【登壇者】

井出 草平(大阪大学非常勤講師)
坂井崇俊(AFEE編集長)          
杉野直也(コンテンツ文化研究会代表)     
山田太郎(参議院議員)

※約2時間の勉強会を要約した記事です。興味を持って頂いた方は是非とも本動画をご視聴下さい。

◆教育委員会のチェックシートについて



・井出 草平(大阪大学非常勤講師)


井出香川県教育委員会の「ネット・ゲーム依存防止対策学習シート」について話をしていきます。このチェックシートの問題点はいくつかあるのですが、まずこのチェックシートはYoung博士が作ったものを久里浜医療センターが邦訳し、それをもとに香川県教育委員会義務教育課で作成されたものになります。

実はこのチェックシートは、原文からかなり離れたものになってしまっているんですね。それが1つ目の問題です。そもそもYoung博士のスクリーニングシートはインターネット依存に関するものでしたが、それをゲーム依存に転用していることが問題だと考えられます。かなり無茶苦茶です。


また中学生版のチェックシートに関しては、WHOの基準は無視しているうえに、チェック項目を8項目から5項目に勝手に減らしているんです。「ゲームをもっとやりたい」など、誰でも当てはまる内容に変更されている。WHOの診断基準の要約があるにも関わらず、その基準を無視しており、意図的に引っかかる人が多いようにしているように思えます。

ここからも分かるように、依存症の予防や治療が目的ではなく、そもそもゲームとかスマホの規制が目的なのではないかと感じました。

◆脳委縮については印象操作か?



また、学習シートに記述されている、ゲームが脳に与える影響についても問題があります。この説明については、前半部分は確かに引用元の論文の報告通りなのですが、後半については論文には書いておらず、その因果関係は明らかになっていません。


あと個人的に気になったことなのですが、引用元の論文からはイラストの色も変えられています。これは邪推なのかもしれませんが、赤色にしたほうがより深刻に見えると判断されたのかもしれません。こういう印象操作のようなこともしています。

ちなみに引用元の論文では、ゲーム依存の人はその灰白質の体積が一部小さくなっているということが書かれていますが、ゲームが原因で脳細胞の体積低下が起きたとは書かれていません。


つまり、神経細胞の破壊の原因がゲームによるものなのかは分からない、ということが研究者間での評価になっているんですよね。可能性としては3つあって、ゲームが神経細胞を破壊した可能性、生まれつき神経細胞の少ない人がゲーム障害になりやすい可能性、ゲーム障害と併存するADHDやうつ病によって神経細胞が破壊された可能性。安易にゲームが犯人だと言ってはならないということです。


Weinsteinという方の総論での評価としても、ADHDなどの精神障害全般で灰白質の体積低下が指摘されています。しかも、これらは結果なのか原因なのか分かっていません。最近の研究では、もともと少ない人が依存症になりやすいのではないか、というのが研究の流れになっています。

◆ゲーム障害=水素水?エセ科学に注意



そもそも、現代社会はエセ化学で溢れています。香川県の小学校で実際に使用された学習シートを確認してみると、スマホ・ゲーム規制だけでなくエセ科学まで教えられてしまっているということも、皆さんには知っておいて頂ければと思います。


纏めると、香川県条例の誤りとしては2つあって、まずは法律によって家族の問題を規制しようとしていること。もうひとつは持ち出されている科学的根拠が間違っていることです。


家庭内の関係が良好でゲームに関してだけトラブルが起きているのであれば、それはゲームが原因なのかもしれませんが、ゲーム関係のトラブルが起きる家庭というのは、そもそも親子間のコミュニケーション全般が上手くいっていない場合があるのかなと思います。

コミュニケーションが上手くいっていない家庭が、結果的にゲーム依存を生みやすいのではないか。親子間の関係が良好ではなく、その具体的な戦場がスマホやゲームになっているだけなのではないか、という問題ですね。親子関係は本音が出やすいので、他人同士の関係よりもトラブルになりやすい。だからこそ、スマホやゲームの話は親子間のコミュニケーションを改善するキッカケになるのではないかと思っています。

◆疾病に分類=病気、ではない



坂井 崇俊(AFEE編集長)


坂井ゲーム障害は病気なのか?ということについてお話したいと思います。ゲーム障害がICD(国際疾病分類)に疾病として分類されたことに関してですが、ICDというのは、WHOが世界でどういう人達がどのような原因で亡くなったのか、ということの統計を取るために実施した分類にすぎません。


この分類が日本でどう使われているかといいますと、日本には統計法というものがあり、これらの統計調査に参照されているにすぎません。よって、ICDに部類されたからといって、全てが病気として扱われ保険の適用が行われるわけではありません。

過去には同性愛がICDに載っていたこともあります。当然ですが同性愛は病気ではありません。つまり、ICDに載ったからといって悪いわけではないというのは、長い歴史を見ても明らかだと思います。


ちなみにゲーム障害とは何なのか?という話なのですが、ICDに定義されています。

  • ゲームに関する行動(頻度、開始・終了時間、強度など)がコントロールできない

  • ゲーム優先の生活となりそれ以外の楽しみに時間を使うことができない

  • 健康、家庭、学業や職場で明らかな問題が起きているにもかかわらずゲームがやめられない




また、精神疾患/精神障害、嗜癖、疾患、疾病、症候群という5つの区分について、厚労省は言葉の定義をしていないんです。現代のように病気と疑わしきものが増えてきた時代においては、改めて分類の仕方を考えなければなりません。ここで分類について整理をしておかないと、ゲーム障害やゲーム依存症という存在自体を正しく捉えられない。そもそも、ゲーム障害は病気ではないかもしれません。これは我々の方からも、しっかりと区別をするように提案をしていく必要があると考えています。

ちなみにビックリしたことがあったのですが、厚労省のゲーム依存症について対応する専門官の方に「ICDに載っているものは全て病気なんですか?」と聞いてみると「全てが病気です」と回答したんです。この話にはオチがありまして、その担当者の方は久里浜からの出向でした。

そのレベルの認識でゲーム依存症への政策が作られているというは恐ろしいことです。そういうところから改善していかないと駄目であって、出てくる問題を個別に叩いていくようではもう遅いと思っていますね。

◆まさに死闘、疑惑のパブコメに徹底追及



・杉野 直也(コンテンツ文化研究会代表)


杉野私の方からは専門的な話ではなく、疑惑のパブリックコメントに対して私がおこなった問い合わせについて、香川県議会がどのように回答してきたのかということがメインとなります。


まず、前提として知っておいて頂きたいのが、香川県議会と香川県は別組織だということです。香川県議会は議決機関であり意思決定をする組織。香川県は執行機関であり、意思決定に基づいて動かしていく組織です。建て前上、別組織です。


私たちが問題に感じたこととしては、まず意見を提出できるのがパブリックコメントのみであること。しかも、その期間が二週間だけであることです。私は県議会に質問をする前に香川県パブリックコメント手続き実施要綱を入手でき、そこには原則として一カ月以上の期間で実施するべきだという記述がありました。私はこの点について重点的に質問しました。

その回答として「香川県議会と香川県は別組織なので、香川県のルールには従いませんでした」と返ってきました。香川県議会が香川県のルールに従わないのはどうなのかとは思いましたが、まあ制度的にそうなのであれば、それは仕方ないなと引き下がりました。しかし、この時点で別組織であると言われたことが妙に印象に残っていました。


今回はこのパブコメに対して、いろんなところが検証に乗り出しました。同様の誤字や投稿日が重なっていることなど疑惑が多く、結論として、ひな形を作って同文を連続投稿したのではないかという見方がされています。


私も独自で動いていましたが、専門家の方々と同じようなことしていてもダメだと思いましたので別のアプローチをおこないました。具体的には、パブリックコメントを投稿したOSとブラウザを追跡できるUserAgentによって調査の調査です。

その結果、注目したのは投稿の比率として2番目に多かった(約34%)Windows10とIE11、32ビット版の組み合わせです。IEは既に開発が終了しているブラウザなので、現在では意図的に選択しないと使うことはないブラウザなんです。

つまり、賛成意見を投稿した人のうち、34%の人は何らかの理由でIE11を使用しなければならなかったと推測できます。日本はIEの使用率は9%ほどなのでシェアは多くないのですが、そのIEを愛好して止まない組織が日本にはあります。それはお役所です。日本のお役所ってIEが好きなんです。県職員の方々に聞き込みを行うとすぐにIE11を使っていることがわかりました。


とはいえ、これだけでは県施設から投稿されたという証拠にはなりませんので、県議会に情報開示請求をおこなって真意を確かめることにしました。もちろん、IPアドレスの開示に関しては個人情報に当たるとして拒否されることは想定済みでしたので、香川県の有するグローバルIPアドレスから投稿された電磁的記録の開示が本命でした。

すると、県議会側から衝撃の回答が返ってきました。「我々には電磁的記録を見る権限がない」というのです。


自分達が実施していた企画の記録が見れないというのはどういうことなのか、私には疑問でした。パブリックコメントの公表ができているのに、パブコメも電磁的記録ではないのか?これでは話の筋が通らないじゃないかと思ったので、さらに追及しました。

すると「県議会は香川県のサーバーに届いたデータを転送してもらっているだけなので見ることができない」という回答でした。分かるような分からんような話なのですが、であれば見られる人を呼んで来れば良いだけの話なので、「では、見られる人を教えてください」と言いました。すると、「わからない」という衝撃の回答を得ました。


流石にそれは無いだろうと思い、「誰なのかすぐに調べてください」と少し怒りながらも頼みました。すると「県議会は答えを持っていない」と返答されました。これは明らかにおかしい。「管理しているのは誰なのか?」という問いに対して「答えを持っていない」では回答になっていません。これは、答えるまで電話を切らないぞ!という勢いて繰り返して聞いたのですが、結果は変わりませんでした。

私はここで引き下がるような人間ではないので、今度は香川県側に聞こうと方針を変えました。するとすぐに回答が返ってきまして「香川県側にはパブコメに関するデータは転送されていません」とのことでした。そりゃ組織が別なのだから当然だと思いました。せっかくなので香川県のデータ管理体制について聞きました。


これを受けて、もう何度目か分かりませんが再び県議会に行きました。これを最後にしようと思い「正直に話して欲しい」「ここで聞いたことは全て公表します」と伝えたうえで話をしました。

すると「香川県のサーバーには県議会以外のデータもあるので、県議会には調査する権限がない」との回答でした。これは一見正しいように思えるのですが、データベースの構造が玉手箱状態だということになります。

県議会が県民に対してウソをつくわけがないとは思うのですが、その前提で考えると、何かのデータを探しているとうっかり機密データを開封してしまうような管理状況であるということになります。これはもう、デジタルの話そのものをしてはいけないのではないのか、とすら考えるようになってきました。


その話のあとに私は県議会側に「実は今回、事前に香川県の方に“パブコメデータの管理は県議会がしている”と聞いてきたうえで確認させて頂いたんです」と明かして再度確認しました。

すると県議会側からは「パブコメに関する情報を開示してしまうと、自由な意見が出せなくなってしまうことに繋がる」と返答されました。もう私には、県議会側が開き直ったように見えました。これ以上話をしても無駄かなと思いましたね。

最後に一応、香川県側に「あなた方のデータ管理の仕方って玉手箱みたいな感じなんですか」と聞きました。当然ですが、香川県側からは「そんなことはありません」と答えが返ってきました。

◆政治家として私がやるべき5つのこと



山田 太郎(参議院議員)


山田私からは、今後どうするべきかについてお話をします。まず出口として2つありまして、来年「子ども・若者育成支援推進大綱」の見直しがあります。これは今後、5年間の指針を決める大切なものになります。

この大綱ではゲーム依存症やゲーム・スマートフォンの使い方も含めて、子どもや若者の育成に関することを政府の見解として規定していきます。また、インターネット環境整備法の見直しもあります。これらを主戦場として政府としても纏めていくことになります。そのうえで、本日の勉強会の中でポイントになったことが5点あります。

1点目はゲーム障害がICDに位置づけられたということです。ゲーム障害が論点になっていることは確かなのですが、ICDに定められたからといって、すぐに対処すべき問題ではないという認識を、広めなければならないと考えています。

2点目は因果関係の問題。ゲーム依存と脳神経への影響、どちらが原因でどちらが結果なのかということです。私は統計の専門家でもありまして、因果関係、相関関係、疑似相関、これらを混同しないようにしていく必要があると考えています。また同時に、保険適用についても議論される必要があります。

3点目は、ゲーム依存症の問題がアンケートからスタートして物議を醸している点です。2014年のギャンブル依存症に関するアンケート調査も結果が疑問視され、のちに修正されました。統計上正しくないアンケート結果に基づいて、政治的に対処していくことはおかしい。アンケートの結果を受けて不安を煽るだけにならないように、アプローチを変えていく必要があります。

4点目は依存症の治療結果の記録と開示です。依存症の治療は現場の医師の判断で行われているのですが、その対処結果についてはしっかりと調査ができていません。つまり、各医師がおこなった治療の効果があったかどうかを、厚労省は把握できていないのです。体内への摂取で引き起こすアルコール依存症と、ギャンブル依存症やゲーム依存症は性質が異なるということも先生方から指摘されているので、その辺りも含めてチェックしていく必要があります。

5点目はこれらの依存症について議論する方々について。久里浜医療センターの方々の意見だけなく、精神疾患分野における他の先生の意見を取り入れていく必要があります。また、今回足りないと指摘されているのは、児童心理における疾患の専門家です。子どもの心理は大人とは異なるので、ゲーム依存症がギャンブル依存やアルコール依存とは異なった構造であるという認識を持って、人員を揃えていく必要があります。

これらの5点についてしっかりと進めていければ、もはやゲーム依存の問題は香川県だけの話にはならないのではないかと思います。私はその責任者として、行動していくことを約束致します。



主催:コンテンツ文化研究会
共催:AFEE エンターテイメント表現の自由の会
協力:うぐいすリボン
《OGA@Game*Spark》

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