なぜ日本酒がVRに?冷え冷えの獺祭と『獺祭VR』を出展した旭酒造に突撃!【ぜんため】 | GameBusiness.jp

なぜ日本酒がVRに?冷え冷えの獺祭と『獺祭VR』を出展した旭酒造に突撃!【ぜんため】

8月3日から4日まで開催された岐阜のイベント「第3回 全国エンタメまつり」に出展された『獺祭VR』。なぜ獺祭はVRになったのか……?担当者に直撃し、話をきいてみました。

ゲーム開発 VR


8月3日から4日まで開催された岐阜のイベント「第3回 全国エンタメまつり」(略して「ぜんため」)に出展していた『獺祭VR』と冷え冷えの獺祭(だっさい)があまりにも気になり、旭酒造広報の千原英梨氏と開発を担当したアルファコード佐々木拓氏に急遽取材を行いました。

旭酒造千原氏(左)とアルファコード佐々木氏(右)





ーー今日はよろしくお願いします。ゲーム媒体ということで、知らない読者のためにまずは旭酒造さんについておしえていただけますか。

千原氏(以下、敬称略):山口県の岩国市の山奥で獺祭という日本酒を作っている酒造メーカーです。東京からですと、飛行機は羽田発岩国空港着の直行便が5本あって、空港から車で40分、新幹線だと岩国駅から車で40分の場所にあります。

ーー山口の酒造メーカーなんですね。獺祭以外にも日本酒をつくっているのでしょうか?

千原:旭酒造は純米大吟醸の獺祭のみを作っています。獺祭はブランド名で、季節限定のものやスパークリングのものなど10種類以上の獺祭があるんです。他にも獺祭を作る際の副産物で焼酎や甘酒も作っています。

ーー獺祭といえば、ゲーマーでも知っている人は少なくないと思いますが、なぜ『獺祭VR』を作ったのでしょう

千原:数年前に、生産量を増やすため新しい酒蔵を建てました。新しい酒蔵は近代的なビルみたいな酒蔵になったんですね。そして、四季醸造をはじめたんです。

ーー四季醸造……?

千原:年に一回だけお酒をつくる酒蔵さんもあるんですけど、旭酒造では年間を通じて仕込みを続けています。こういうお酒造りを四季醸造というんです。近代的な酒蔵で四季醸造を始めたため、私たちのお酒造りが機械で大量に生産するような造り方に切り替わたように見えてしまったんですね。しかし旭酒造では、美味しいお酒をつくるためなら四季醸造やITも取り入れる一方、手作業で行う工程もあり、ハイブリッドなお酒づくりをモットーにしています。

こうした我々のお酒造りについて、日本や海外の方にもっと知ってもらえるように『獺祭VR』を作りました。酒蔵見学自体は毎日開催しているのですが、都市部からの距離があることに加え、見学専用のコースがあるわけではないので参加いただける人数がどうしても限られてしまいます。でもVRであれば距離や人数の問題がクリアできますので、私たちのお酒造りの本質的な部分や大切にしていることをより多くの方に理解していただける表現方法になったと思います。

ーー『獺祭VR』に登場するビルは酒蔵なんですね。たしかに『獺祭VR』の中では、郊外に突然近代的なビルが登場しました。レンタカーで酒蔵見学に行くのは試飲の妨げになって難しいですよね。ちなみにVRだからこそ見学できるところもあるのでしょうか。

千原:通常の見学では安全や品質管理のために入室いただけない場所もあるのですが、VRであれば問題ありません。例えば、『獺祭VR』では麹造りのシーンも見学できるのですが、麹はお酒造りにおいて非常に重要な要素なんです。そのため、実際に酒蔵で働いている人は微生物や菌に非常に気を使っていて、納豆を食べて出勤しないとか味噌や醤油などをつくっている家の人とは結婚しないという伝統的なルールがある場合もありますね。


ーー麹菌の管理が食生活や結婚にまで及ぶものなのですね。いろいろな制約を乗り越えることができるVRの良さが活かされているということですね。開発を担当されたアルファコードさんとはどういったきっかけで出会ったのでしょうか。

アルファコード 佐々木氏(以下、敬称略):共通の知人から旭酒造さんをご紹介をいただき、一昨年から開発をはじめて第一弾は去年の4月に完成しました。その時は、旭酒造さんの直営店をフランスにオープンした時に地元フランスの方に獺祭をどういう風に作っているのか、日本酒をどういう風に作っているのか、ワインとはどう違うのかを伝えたいとのことだったので、そういった面をVRで伝えようとしました。また、弊社の代表水野(水野拓宏氏)が以前から旭酒造さんの酒蔵見学に行っていたことなどもあり、工場長さんからもヒアリングをして、旭酒造さんの獺祭造りへの想いをきちんとお客様に届けたいなと。単に映像を流すだけのVRではなく、没入感のある酒蔵見学ができるようなコンテンツを意識して開発しました。

ーー国内外の方に日本酒づくりを伝えることができ、VRの長所を活用されたわけですね。実際に体験した方の声はどうだったのでしょう

佐々木氏:去年の4月から『獺祭VR』を体験された800人にアンケートを取り、体験前と体験後に獺祭への印象が変わったかなどをお聞きして、獺祭への認知やVRの効果を測定しました。その結果は非常に好評なものでしたね。VRを通じて3回同じ体験をすると、実際に1回経験したのと同じように感じるという研究結果もあるので『獺祭VR』を3回経験すると本当に岩国の酒蔵に行ったように脳は認識するといえるかもしれません。

千原:獺祭を作っている人の顔が見えるのはいいという声もありましたね。

ーー獺祭そのものに加えて、作っている人の顔なども伝えられるのは面白いですね。ぜんため以外でも『獺祭VR』を体験することはできるのでしょうか

佐々木氏:Blinkyというアプリがあり、iOS/Android/WebそれからWindowsMRに対応しています。日本語、英語、フランス語、中国語と4か国語の案内がありVRヘッドマウントディスプレイやスマートフォン、WEBでいつでも酒蔵見学ができるようになっています。

ーー興味深いお話をいくつも聞くことができ、話題は尽きませんが、『獺祭VR』次回作などの予定はあるのでしょうか

千原:実は他コンテンツですが、進めています!

佐々木氏:もう撮影も始めて開発も進行中です。

ーー新作の獺祭コンテンツも楽しみにしています。最後に日本酒にあまり縁がなかった人に一言いただけないでしょうか

千原:『獺祭VR』を体験していただいて、日本酒は難しいと思っていたけれど気軽に楽しめると思ってもらえる方が増えたら嬉しいですね。たとえば今回のぜんためでは、かちわり氷のロックでご提供していますが、日本酒は生活の添え物なので生活に彩りを加えるのものとして、みなさんが自由に楽しんでもらえたらと思います。

ーー今日はありがとうございました。

昨年に続き、今年もぜんために出展した旭酒造。『獺祭VR』では普段見ることのできない酒蔵の様子を手軽に楽しむことができました。長い歴史を有する酒蔵ながら、新しいことに次々とチャレンジし、新たな客層に向けて獺祭の魅力をアピールする旭酒造の姿はゲーム業界も学ぶところが多いように思いました。現在開発中という新たな獺祭コンテンツがどのような内容になるのか楽しみ待ちたいと思います。

《HATA@Game*Spark》

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