【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング | GameBusiness.jp

【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング

モバイルアプリ計測ツールAdjustの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のポール H.ミュラー氏にインタビューを実施。世界のアプリ市場についてとこれからのモバイルアプリマーケティングのあり方を伺いました。

市場 マーケティング
【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング
  • 【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング
  • 【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング
  • 【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング
  • 【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング
  • 【インタビュー】世界のアプリ市場の現状とは?Adjust CTOに聞くこれからのモバイルアプリマーケティング
ドイツを拠点とし、モバイルアプリの計測ツール「Adjust」を展開するadjust(アジャスト)株式会社が5月末に外苑前アイランドスタジオにて2019年アプリ市場調査・分析レポートを発表するプレスカンファレンスを行いました。

カンファレンスでは、世界の国別のアプリ市場の傾向や、インストールの傾向、有料vsオーガニックインストールの特徴、カテゴリ別の成長度合い、ユーザーの時間帯別アプリの特徴、アドフラウドの被害状況などの分析結果を発表しました。

モバイルアプリの調査レポートはこちら

■カンファレンスひとまとめ

【日本のモバイル市場に関して】
・日本は世界の中でもモバイル先進国であり、ゲームのヘビーユーザーが多いモバイルゲームハブでもあります。日本のユーザーは、2018年にモバイルゲームに$132億を消費しました。ゲームは2018年の世界のアプリストアの消費者支出の74%を占めており、中国・米国と共にモバイルゲームの3大マーケットであり、この3国が2018年の消費者支出の75%を占めます。
・世界のモバイル広告費$2,323億4,000万中、$91億2,000万は日本のモバイル広告費となります。
・日本と世界市場の大きな違いは、ほぼすべての広告主が代理店を利用しているということですが、広告運用をインハウスに移行する傾向があります。
・日本の女性はアプリ成長の原動力であり、日本の女性は、男性に比べ2倍のインストールを行います。また、アプリ継続率が世界で最も高い日本人ユーザーで、世界的にみて日本は消費者がアプリを最も長く利用している国の1つで、米国平均よりも継続率が3% 高いことが明らかになっています。

【日本のアドフラウド状況】
「アドフラウド防止機能」は、グローバルで1日に約100万件の不正行為を検知し排除しています。日本では毎週約2,540万円(22万4,000ドル)、つまり1か月あたり約1億円の契約企業(広告主)の広告費の損失を防いでおり、この数値は増加の一途をたどっている状況です。

【Unbotify(アンボッティファイ)】
Adjustの「アドフラウド防止機能」 が防止するアドフラウドは、インストール前の広告キャンペーンのパフォーマンスに影響を与えるもので、マーケティング予算を奪い取ることが目的です。一方、Unbotifyが検知するアプリ内の不正ボットは、インストール後にビジネスモデルを攻撃するものです。Unbotifyは、個々のアプリの特徴に合わせてカスタマイズされ、実在するユーザーの行動パターンを基に機械学習モデルを構築するため、人間のデバイスとの接触から得られたセンサー情報を使用します。このソリューションがアプリの自然なユーザーフローを学習することにより、ユーザーとボットを区別することが可能となります。

今回弊誌では、Adjustの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のポール H.ミュラー氏(以下ポール氏)にインタビューを実施。世界のアプリ市場についてとこれからのモバイルアプリマーケティングのあり方を伺いました。

――ポール氏の簡単な自己紹介をお願いします

ポール氏:ポール H.ミュラーと申します。共同創業者兼CTO(最高技術責任者)を務めています。7年前にCEOであるクリスチャンと一緒にドイツのベルリンでAdjust社を創業しました。



――Adjustを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください

ポール氏:私はもともとアドパブリッシャーとして働いており、App Storeでローンチされた最初の世代のアプリ開発をしていました。その経験を通じて、気付いた問題からソフトウェアの開発を行い、そのソフトウェアが現在の「Adjust」になっております。

――簡単に「Adjust」について教えてください

ポール氏:Adjustはモバイルマーケティングの計測を行う会社です。クライアントがモバイルに対して広告費の投資を行っていますが、その広告費に対する効果を測定しています。その他にもアドフラウドからクライアントを守るアドフラウド防止ツール、ボットによる不正行為を守るサイバーセキュリティソリューション(Unbotify)も取り扱っております。最近はAcquired.ioというマーケティングオートメーションの会社を買収しました。

――アドフラウドは世界的に見ても問題になっているものでしょうか

ポール氏:はい。アドフラウドを行う業者はアプリが世界のどこで発行されたかはあまり気にしていません。グローバルのマーケットにおいて、アドパブリッシャーがいるわけで、お金のあるところを追いかけていっている現状がありますので、世界的な問題であると考えます。

――どういった種類のアドフラウドが多いのでしょうか

ポール氏:我々の調査によりますと、クリックインジェクションが一番多いということがわかっております。クリックインジェクションというのは、Androidベースのフラウドで、不正業者が、他のアプリがダウンロードされたことを検知し、アプリが起動する前にクリックを挿入する詐欺の手法です。不正業者は、そのインストールに対して収益を得ることになります。

――iOSとAndroidでどちらがアドフラウドは多いのでしょう

ポール氏:プラットフォームの問題ではなく、マーケットの問題だと考えています。Androidはアジアや東南アジアでよく使われていて、それに合わせてウィルスの性能も上がってきています。それらの市場が比較的若いということや、発展途上にある市場であるということと関係していると思います。西欧の市場では既に色々なことが新しいフェーズに入っており、より経験の浅い市場を狙っていると考えられます。

――日本はどうでしょう



ポール氏:日本は非常に面白い市場です。世界の中でももっとも価値の高いユーザーが日本にはいます。例えば、日本のゲームユーザーは、世界のユーザーの中でも利用金額の高いユーザーがいます。

また非常に面白い点として、マーケターはデータを提供してくれる側を疑わないと言った傾向が見られます。日本の文化は正直でお互いの信頼関係がベースとなって成り立っている文化ですよね。なので、クライアントはまさか自分のアプリに詐欺師が紛れ込んでいるとは疑ってもいないというのがあります。アプリの市場において国境は関係ありません。日本は島国ですが、作業をする側からすればそれがどうかは考えられておらず、盗みを働くチャンスとしか見られていません。こういった現実があるわけですが、これをお客様にご理解を頂いて、マインドセットを調整していただくためには若干時間がかかることもあります。例えば、日本のマーケターから私が盗もうと思えば、日本人である必要もないですし、日本にいる必要もありません。

――日本でアドフラウドをしようとしている人は多いのでしょうか

ポール氏:どこの国かというのは問題ではありません。詐欺師がいたとして、アメリカで盗むのと日本で盗むのには違いがありません。実際にそういった詐欺を働こうとしている人が何人いるかというのはわかりません。全体のスケール感や年間どの程度の金額が失われているのかといった規模感でしか、我々は把握できません。

――どの程度の金額が失われているのでしょう

ポール氏:日にはよりますが、我々は1日あたり100万~200万ドルのアドフラウドを防いでいます。我々の技術を導入してくださっているのはマーケットの50%ぐらいのお客様です。それで我々のマーケットシェアというものがありますから、逆算していただくと問題の規模感がわかるかと思います。

――アドフラウドに対して危機感を持ちましょうという話をマーケターにすると思いますが、理解はされているのでしょうか

ポール氏:良くなってきたとは思います。この4年ぐらい皆様にこういったお話をさせていただいてきているので、認知度は上がっていると思います。ただ、単に不正があるというだけではなくて、警戒レベルを上げていくだとか、アドフラウドはどのような仕組みだとか、どのような種類のフラウドがあるのかといった部分はまだまだだと思います。

フラウドを防止するソリューションというのは、中立な立場の人たちが販売すべきで、防止ツールを売ることによってインセンティブを得ることがない人が売るべきだと思います。また、1つ大事なポイントとして、計測やアトリビューションの一環としてテクノロジーがあるべきだとも考えています。

――日本ではスマホアプリに限らずアトリビューションの確認をしようという話はありますが、理解を深めていくのは結構大変そうです。何故アトリビューションを見た方が良いのでしょうか



ポール氏:啓蒙、教育活動を続けていくしかないと思います。常に自分の正確なROIを把握しているマーケターというのは、常にROIを把握していないマーケターやフラウドが入った状態でのROIしか見ていないマーケターよりも良い業績を出すことができます。人気のあるゲームがありますが、多くのゲームは必ずしもその国で作られたわけではなくて、他のマーケティング対策の進んだ他のIT諸国で作られたゲームというのがあります。マーケティング施策が進んだ国で作られたものの方が、マーケティング費用もより効果的に使えています。

――どこの指標をどういう風に見るべきなのでしょうか

ポール氏:広告費の1ドルあたりいくら稼げたかというのを見るのが一番わかりやすいと思います。ただ、そうではなく成長段階のアプリで、課金というのもまだ視野に入ってきてはいないフェーズの場合は、ユーザー数の継続率を見る方が意味を成す場合もあります。

――ものすごくダウンロードをされて、プレイもされているものの、全くマネタイズができていないタイトルはどうすれば良いでしょうか?

ポール氏:課金をあまりしていないアプリの場合は、KPIとして見るべきポイントが少し違ってくると思います。長く使ってくれるユーザーがどこから来ているのか、インストールしてすぐ離脱してしまうとか、そういった点を見る必要があります。

――ワールドワイドで見ればゲームの成長率が高いと思いますが、世界的にはどのジャンルのスマホゲームが流行しているのでしょうか

ポール氏:アジアとアジア以外の国においては違いがあると思います。アジア、特に日本はミッドコアのタイトルがよくプレイされています。一方、西欧諸国ではカジュアルやハイパーカジュアルのタイトルがよくプレイされています。課金モデルがよりミッドコアの課金モデルに近く、最近はより広告収入をベースとしたモデルに切り替わっていますので、ユーザーからの課金よりは広告収入の方が多いと思います。

――海外で流行しているカジュアルゲームのタイトルはどんなものがあるのでしょう

ポール氏:カジュアルゲームは、3~5分ぐらいで1回プレイができ、ユーザーに事前の知識がなくてもプレイができるものです。課金モデルは主に広告収入に頼っていて、一部アプリ内課金があります。カジュアルゲームは『Voodoo』というハイパーカジュアルゲームの会社が勃興してきたことに伴い、カジュアルゲームの市場が広まってきました。その会社の作るゲームは非常にシンプルで、全く説明の必要がありません。課金モデルは広告収入のみでやっています。会社としては何十ものゲームを1年に制作してリリースしています。

――日本のスマホゲームメーカーは開発費がどんどん高騰しています

ポール:このあたりも面白いですよね。ハイパーカジュアル、カジュアル、ミッドコアとセグメントがある中で、ミッドコアはPCでプレイするのと同じ程度の費用が開発にかかっています。ハイパーカジュアル、カジュアルと呼ばれるようなゲームは、人件費の安い国にアウトソースしている現状があります。何故ならゲームのパターンは似通っていますし、年間に多数リリースされるので。

――インドネシアとブラジルでスマホアプリが伸びているというデータがありますが、要因はあるのでしょうか



ポール氏:まず人口について考える必要があると思います。インドネシアという市場は7億人おり、スマートフォンの普及率も高く、年齢も非常に若いです。これらの市場ではコンピューターが全くない状態から、いきなりモバイルオンリーという状態に切り替わりました。モバイルファーストではなく、モバイルオンリーです。こういった国では4G、5Gというのがいきなり立ち上がって、非常に速い速度で発展しています。人口が多いことと相まって、市場も爆発的に伸びています。初めてコンピューティングデバイスを手にしたものがモバイルでそういったサービスを初めて使い始めるといった状況がこれらの国では発生しています。

――次に成長するマーケットはどのあたりだと考えていますか

ポール氏:インドネシアもまだ伸びる余地があると思っていますが、現在発展途上の国、ベトナムやタイといった国が次に伸びるかと思います。特にアジアではモバイルファーストという状況が実現できるため、伸びやすいと思っています。

――マーケティングおよびユーザーアクイジションのコツについて教えて欲しいです

ポール氏:何をやっていきたいかに繋がると思います。カギとなるのは、我々が買収したAcquired.ioです。マーケターが対応しなければならないチャンネルの数が増えている、つまりキャンペーンの種類が増えているといった複雑な状況において、マーケターが手で入力したり分析をしなければならないという点に多くの時間が取られています。

考え方としては、繰り返し行うようなマニュアルのタスクを、マシーンにやらせて、マーケターはより多くの時間をクリエイティブな作業に当てられるというようなことを考えています。同じことを何回もやるよりは、クリエイティブ力を発揮していただきたいと思っています。今後、今年の終わりにかけてダッシュボードをAcquired.ioと統合していきますが、これによりほぼ全てのお客様が時間を節約できるようになります。

――最後に日本のスマホゲームアプリのマーケターに対してメッセージをお願いします

ポール氏:まず、成功したかったら賢くなってください。市場を理解し、どういった危険があるのかを理解していただきたいです。これはどういったツールがあるのかを理解するのと同じぐらい重要です。今日の社会においては、計測しなくてはならないし、不正に対して身を護る手段を持っていなければならないと思います。Adjustは日本で最大のアトリビューション企業ですので、お気軽にご相談ください。

《森元行》

関連ニュース

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら