「ゲームプランナーの話をするとしよう」『FGO』初期開発スタッフが伝える面白いゲームに到達するテクニック | GameBusiness.jp

「ゲームプランナーの話をするとしよう」『FGO』初期開発スタッフが伝える面白いゲームに到達するテクニック

大人気スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order(以下、FGO)』 の企画・開発・運営で知られるディライトワークスが12月19日、東京都同社にてゲーム開発者向けの技術勉強会「DDC(DELiGHTWORKS Developers Conference)」を初開催。

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大人気スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order(以下、FGO)』 の企画・開発・運営で知られるディライトワークスが12月19日、東京都同社にてゲーム開発者向けの技術勉強会「DDC(DELiGHTWORKS Developers Conference)」を初開催。「実践で使えるプランナーのテクニック」を参加者に伝えました。

講師として登壇したのは、『FGO』の最初期の開発に携わった「DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios 」シニアゲームデザイナー・早坂貴志氏。


<早坂貴志氏>
■プロフィール
1999年にQA(品質管理)からゲーム業界のキャリアをスタートし、プランナー、ディレクター、ローカライズプロデューサーを担ってきました。
担当したプロダクトは『Ultima Online』, 『Blade Chronicle』, 『地上デジタルレコーダーキット torne』, 『Fate/Grand Order』など。
■来歴
1999~ エレクトロニック・アーツ
2007~ スパイク・チュンソフト
2010~ ソニー・インタラクティブエンタテインメント
2014~ ディライトワークス

ゲームプランナーのごく一般的な制作工程として、企画、承認、チーム編成、実制作、調整、デバックがある中、同講義では最も多くの時間を費やす実制作について役立つテクニックを伝えました。ゲームプランナーの業務は開発のフェイズや状況によって変化することはあれ、普遍的な「ゴール=面白いゲーム」に到達することを第一に掲げています。

1.コミュニケーション


アートデザイナー、プログラマー、サウンドエンジニアなど、社内だけでなく外部の人との仕事上のやり取りがある中、早坂氏は「コミュニケーションのロスは勿体ない」と言います。
ゲームプランナー陥りがちでよく見る光景に、「このタスク終わりました?」と訊かれて「進捗の状態を説明する」ことを挙げました。

あるいは、終わっていない理由を弁明したい気持があるかもしれません。しかし、相手が「はい/いいえ」で答えて欲しいのなら、そう答えることがコミュニケーションのあるべき形だと説きました。



答えが限定されているのか、説明が必要なのか、訊き方と答え方に注意深くあるべき。答え方を意識することから始めれば、相手が何を考えているのかを知る質問も自然とできるようになるとのことでした。

2.命名


続いて早坂氏は、「名前を付ける行為はゲーム内で使用されるアイテムやスキルのなどが一般的だと思いますが、実務では無くもう一段階前の状態から意識して欲しい」と述べました。チーム内で物事の名前が統一されることで、共通認識を生まれやすくなるので「(伝達事項の)取り扱いのコストが減る」からです。


実際に優れた命名は社内だけでなく、ユーザーなど外に向けても広く定着するため、混乱が無いような命名を考えるべきだと言います。

3.ツリー構造



ゲームプランナーの仕事内容は多岐に渡るため、ともすれば手段や目的を見失いがち。そこで、自分の中で目的と達成するための手段を細分化するのがおすすめです。そうすることで、最終目的に辿り着く途中でいくつもの目的と手段が枝分かれしても整理することができ、一つ一つ達成しやすくなります。



『FGO』に例えるなら、最終目的は「『Fate』シリーズらしさ」。そのためにはサーヴァント&マスターらしいバトルを作る必要があり、マスターがサーヴァントに指示する手段としてコマンドカードシステムというアドバトルを作ったとのこと。

このツリー構造はゲーム開発に限らず応用性がとても高く、人事採用で面接官を担当することもある早坂氏は、相手への質問の際にも活かしていると述べました。

4.マトリクス図にする


また、『FGO』のコマンドカードの機能説明を見せた早坂氏は、「コスト指定に3つの分類があり、それぞれに特化した性能をもたせることが工夫として明確にある」ということを伝えるのに、「図にすると1枚で済んでしまうが、文章にすると非常に冗長になってしまう」と言いました。



同じく「ゲーム内へのサーヴァントへのバトル中のクリティカル率を高めるスター集中度」に関しても、条件によって変化することを1枚の図にすることで明確に伝わると説明しました。

5.チャート図にする



続いて、ゲームでは頻繁に使うチャート図についても、じゃんけんを例に「勝ち負けを文章で説明すると伝達のコストがかかり、プログラマーに伝えても間違った実装で返ってくることがあるが、図にすることで誤解なく伝えられる」と述べました。


同様のことは、シナリオルート分岐のフローチャート、キャラクターパラメーターのレーダーチャートにも言えるそうです。

6.リスト化する


こちらはシンプルに箇条書きするだけ。


リストの種類は大きく2つに分けられ、「要素のリスト」はゲームを構成するパーツ。「やることのリスト」はゲームを作るためのプロセスです。後者は前者から分解できる、ゲーム制作においては始める前にプロセスをリスト化する必要があります。

こちらは社内のプログラマー、外部へのプログラマーなどへの発注リストをつくるのに役立つテクニックだそうで、早坂氏は「ゲームプランナーは作業に取りかかる前にリスト化することが非常に有効」だと述べました。ちなみに、ここまでの「フレームワーク」は、社会一般的に浸透していることなので、「フレームワーク」を調べて自分が使いやすい方法を探してみることがおすすめとのこと。

7.検算する


「検算する=確認する」であり、アイデアをいかに形にするか、ゲームをユーザーに届けるベストな形を模索するかで重要な段階と言えます。

・思いつきを練り上げる


アイデアを思いついた時、ただの思いつきで終わらせないために、「実行した場合」のメリット・デメリットを比較しただけでは不十分。「実行しない場合」のメリット・デメリットまで考えてこそ、取捨選択できると言います。「これこそ、まさにプランナーに期待されていることだと思います」(早坂氏)

・無理矢理初心者になる


また、全てのゲームに共通することとして、「プレイヤー自身が答えを出して、操作をして画面に結果が反映される」を挙げ、「こちらを想定してゲーム開発をするのが一般的ですが、ゲーム初心者の方々には必ずしも当てはまらないことを忘れてはいけない」と警鐘を鳴らしました。「ゲームにあまり触れたことがない方にとって、そもそもその画面を見ても伝わらないデザインになっていたり、何をしたらいいか分からなかったりすることも考えられるため、それを想定したゲーム開発を進めないといけない」(早坂氏)。

・逆さまプレイ
そのため、早坂氏は「コンシューマーゲームであるなら、コントローラーを逆さまに持って自らゲームを操作してみる」など、画面から得られる情報を正しく操作できない状況に身を置くことを説きます。早坂氏は「社内でもこの話をするんですけど、本気に取ってくれる人は少ないが、私は本気でやっていている。『FGO』の開発でもそうでした」と力強く述べました。

8.まとめ


早坂氏は「何のためにゲームプランナーを担っているのかを考えた時、『チームの仕事をつくる』ことだと最近は考えている」ことを明かし、「トラブルシュート、仕様書を書くなど、チームを前進させるためにありとあらゆることを行うことが期待され、プロデューサーやディレクターが決定を下すための材料を集めるのが仕事ではないか」と締めくくりました。また、この7つのテクニックを明日からでも使って、トライアンドエラーを繰り返して欲しいと呼びかけました。


第2回「R&Dことはじめ ~ゼロから始める研究開発~」は、2019年1月23日(水)開催です。


その他にも定期開催のキャリア相談会である「肉会」を2019年1月11日(金)、FGO PROJECT クリエイティブプロデューサーの塩川洋介氏の弟子入りプロジェクト「新春! 塩川洋介独演会」が2019年1月27日に開催。



ゲームのリアルイベントに限らず様々なイベントを定期開催するディライトワークスの熱量はどこから来るのかを知る機会です。



(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
《乃木章@インサイド》

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