過去を振り返り、未来に思いをはせる熱いトークが展開─「ゲームグラフィックス20年の進化とこれから」聴講レポート【CEDEC 2018】 2ページ目 | GameBusiness.jp

過去を振り返り、未来に思いをはせる熱いトークが展開─「ゲームグラフィックス20年の進化とこれから」聴講レポート【CEDEC 2018】

8月22日~24日にかけて、神奈川・パシフィコ横浜 会議センターでCESAによる開発者向け大規模カンファレンス「CEDEC 2018」が開催されました。2日目に行われた「ゲームグラフィックス20年の進化とこれから」の聴講レポートをお届けします。

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◆第8世代の現状


■PS3からPS4に移行しての感想は?

PS3は自由度がすごく高い一方でパフォーマンス的に厳しい面もあり、開発はトリッキーなテクニックを駆使してがんばっていました。ですが、PS4で開発する段になって、素直に組んでそのまま動く時代がようやくきたと感じました。本当の意味で、コンテンツ作りに専念できる時代になったのかなと。

山田やれることがどんどん広がって、(どこに的を絞るかの)ディレクションが難しくなりました。グラフィックは、PBR(フィジカル・ベースド・レンダリング)をつきつめていくのがひとつのトレンドに。ゲームのジャンルとしては、オープンワールドが一層流行ってきて、開発の際の物量がものすごいことになりました。効率的なアセットの作り方、実機におとしこむまでのフロー構築などに苦心しました。

岩永ここまでくると、作り方はPCとほぼ同じになりましたね。性能の差で、さばける量がハードによって異なるくらい……という認識です。

■絵作りで工夫している点は?

目指すべき絵はフォトリアルで、PBRがきちんとできていることが第一目標です。そこからのポスト処理(ポストプロダクション。映像制作において、撮影が済んだ映像に特殊効果処理や編集などを施すプロセス)で、どのような方向に寄せていくかというのが弊社の方針です。フィルムと同じですね。

山田「Unreal Engine」の登場もあり、リアルな絵が作りやすくなりました。だからこそ、それをどうやって差別化するかが大きな課題です。それはポスト処理によるものか? それともカメラワークによるものか? コンテンツの力がいっそう重要になりました。

岩永日本では、脳内で思い描いた光景をゲームで表現したいという人が必ず出てきますので、PBRなどのリアリスティックなレンダリング技法を使いこなしたうえで、いかにしてそこに独自の絵作りを乗せていくか……が重要だと思っています。

■フォトリアルではなく、ノンフォトやトゥーンシェードの可能性は?

山田弊社のタイトルですと『GRAVITY DAZE』ですね。ファンが多い作品で、特に日本の方はこういう表現も好んでもらえます。ノンフォトでも、フォトリアルの技術を使って新しい表現をやっていける余地はあると思っています。

岩永ノンフォトも、あるところまではリアリスティックレンダリングの技術を使えます。そこに、どうやってひと味や手心を加えるかが大事で、ゼロからすべてやる必要はないと思っています。

弊社としては、トゥーンシェードというより『ジェット セット ラジオ』の"マンガディメンション"というのがいいですかね! 今日のトゥーンシェードの元祖ではと思っています。それはともあれ、最後の味付けとしてノンフォトやアニメ調に持っていくわけで、その裏で動いている素材は、PBRと共通するものです。

独自の"味付け"が多くのファンを獲得したSIEの『GRAVITY DAZE』(画像は公式サイトより)

◆これからのゲーム業界に期待すること


■8月21日、NVIDIAがレイトレーシング技術を実現させるという「GeForce RTX」シリーズを発表した。レイトレーシングについてどう感じるか?

今までは見えないところ(画面に映らないところ)はやりようがないと現状で満足していましたが、NVIDIAさんの発表を見て、次はレイトレーシングにいくしかないのかなと感じました。研究しないといけませんね。

山田レイトレーシングは、NVIDIAさんの発表で一気に近くなったと思います。新しいハードウェアがレイトレーシングを取り入れて業界をグイグイ引っ張っていってくれるかもしれないと思うと、開発者として楽しみです。

岩永今までもレイトレーシングに近いものはやってきているので、そこまで怖くはないのかな、と感じています。流行るのはそんなに先ではないのかもしれませんね。

■ゲームエンジンは独自のものがいいか? 既存の商用のものがいいか?

弊社は独自エンジンでがんばっています。"元プラットフォームベンダー"という誇りのようなものありますが、他のどこよりも先んじて何か新しいことをしようと思ったら、コアな部分の手綱は自分たちで握っておかなければな、と。もちろん、商用エンジンもとてもすばらしいので、お手本にさせていただくこともありますよ。

山田どういったゲームエンジンを用いるかは、タイトルによって決めています。ただ、技術力は高め続けないといけませんので、弊社独自のゲームエンジンも作っていきたいです。

岩永「このゲームは大改造が必要だぞ」となったら、オリジナルエンジンの出番かなと。その時にすぐ動けるように、オリジナルのエンジンは普段から作ってないといけないなと思います。既存のゲームエンジンが向かないゲームを手がけるときに、それに合ったエンジンを最短で作る。そうできればと。

独自のエンジンで制作されているセガゲームスの『龍が如く6 命の詩。』(画像は公式サイトより)

■次世代のハードウェアに期待することは?

グラフィックの話にかぎりませんが、とにかく作るのが楽になったらいいなと思います。PS3からPS4に移行したときはそこがすごく大きかったので、PS4は大好きです! 今後、4Kや8Kが当然になって、レイトレーシングが一般的になったりした場合に、マシンパワーが足りず苦しい……というような時代にならないといいですね。

山田PS4で開発しやすくなったというお声は多くいただいていますので、今後も、みなさんがより開発しやすい環境を保っていきたいですね。具体的にどうすればよいかは、私が知りたいくらいですが(笑)。

岩永グラフィックは相当よくなりましたので、音のような、その周りにも力を入れたいですね。Nintendo Switchの「HD振動」はそのひとつだと思います。そういう"手触り感"にもマシンパワーを割いて、よりよいものを作れればと思います。


取り上げるゲーム機をいわゆる据え置き機にしぼってなお、まったく語り足りない濃密なセッションは、あっという間に終了時間に。聴講者の中には若い人が多いということで、最後は登壇者から若い開発者たちへエールが贈られました。

かつてゲームの表現が2Dから3Dになったとき、若い層に世代交代したという感覚がありました。そして今後、レイトレーシングのような新しい技術が取り入れられたときにそういう波がもう一回くるかなと思っています。若い世代のみなさんはその時に備えてたくさん勉強して育ってくれていると、私が楽できます(笑)。

山田昔は20ポリゴンや30ポリゴンでキャラを作っていたのに、今は何十万ポリゴンとか、PBRだとか、おじさんは疲れてきた感があります(笑)。今はゲーム機と映像の境目がなくなってきて、技術的にも共通する部分が多くなってきました。最先端の技術が毎年開発される刺激の多いジャンルだと思いますので、どんどん(この業界に)入ってきてください。

岩永覚えることがたくさんあって大変だと思うかもしれません。でも、(技術の進歩で)楽になってることもたくさんありますので、立ち向かってきてほしい。会社としても、レンダリングができる人は引く手あまたですよ。さまざまな会社で、すばらしいものを作っていってほしいなと思います。

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《蚩尤@インサイド》

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