【CEDEC 2016】バンダイナムコが挑戦する、子供でも楽しめるVR遊具は「飽きてもOK」 | GameBusiness.jp

【CEDEC 2016】バンダイナムコが挑戦する、子供でも楽しめるVR遊具は「飽きてもOK」

ゲーム開発 バーチャルリアリティ

【CEDEC 2016】バンダイナムコが挑戦する、子供でも楽しめるVR遊具は「飽きてもOK」
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今年はVR元年と言われますが、HMDを装着するばかりがバーチャルリアリティではありません。ナムコが全国8箇所のアミューズメント施設で展開する『屋内砂浜 海の子』は床面や壁面を巨大ディスプレイとして使って、砂浜での遊びを屋内にいながらにして仮想体験できるという本来の意味でのVRを体現した遊具です。

『屋内砂浜 海の子』では、まるで現実の砂浜にいるかのように、砂の上を走り回り、海で魚をすくって楽しむ体験ができます。代表的なサイズで、砂場は4.5m×6.5mで、砂は約6.5トンを使用。10台程度のプロジェクターで映像を映し出し、Kinect V2を4台用いて、子供たちの動きを検知します。バンダイナムコが独自開発したインタラクティブサウンドエンジンVSSS(Virtual SoundScape System)を初採用し、8台のスピーカーを設置しているそうです。床面と壁面をディスプレイとして使い、HMDを使用しないことで、子供でもバーチャルリアリティを楽しめる遊具となっています。





CEDEC 2016の二日目、開発を担当するバンダイナムコスタジオの本山博文氏が「子供とバーチャルリアリティ」というテーマで語りました。

アミューズメント施設内という屋内空間で、砂浜を体験させるにあたってキーとなったのは、コンテンツの中に入る第一歩の設計だったと本山氏は話しました。『屋内砂浜 海の子』では、入り口で靴を脱ぎ、足の裏に本物の砂の冷たい感触を味わってもらうことで、本物の砂浜の記憶と今の体験がリンクし、"自然とスイッチが入る"そうです。バーチャルな世界ながら、本物の砂という、現物をワンポイントで使っている点もリアルさを増す要因となっているようです。



また、視覚だけでなく、聴覚も含めて、全身で砂浜を感じてもらうことを狙ったとのこと。「関東の波と、南国の波では全く音が違います。なので、実際に南の島にいって採音してきました」とこだわりを紹介しました。また、バンダイナムコスタジオが開発してきたインタラクティブサウンドシステムも効果を発揮したようです。



本山氏は「子供向けのバーチャルリアリティ」を開発するに当たっては、(1)インタラクティブなビジュアルとサウンド (2)体験への入り口でスイッチを入れる工夫 (3)現物を使うことで現実感を増す の3点の工夫が大きな成果を生むのではないかと語りました。

後半ではゲームデザイン的な視点からデジタル遊具の可能性について紹介されました。

『屋内砂浜 海の子』が目指したのは、多くの子供が楽しさを感じるであろう、水溜りで水をパシャパシャしたり、魚を追いかけたりするといった、単純ながらプリミティブ(原始的)な気持ち良さの再現です。走り回ると水しぶきが上がって、動くだけで楽しい。魚をすくうと、本当に捕まえられる。そういった極単純ながら、プリミティブな面白さを追求したということです。





この単純さは「飽き」に繋がる危険性がありますが、本山氏は「飽きを許容するデザイン」であると強調しました。本作品はデジタルな遊具であり、子供たちが公園で遊具を次々に変えながら遊んで、翌日はまた同じように色々な遊具を巡りながら遊ぶ、というような形が再現できるのが理想ではないか、ということです。設置場所がナムコのアミューズメント施設ですから、まさに色々な遊具がある公園に近しい空間と言えそうです。



「飽きを許容する」ということで、ゲーム的な熱中を生む要素は排除しました。他のプレイヤーとの競争や、魚を全部集める、といった要素は含まれていません。熱中させることはあえて控えて、本物の砂浜と同じように遊べる。子供に熱中させないというのは、親にとっても安心感を与える材料になるかもしれないと本山氏は話していました。

今回の取り組みを通じて、実在する遊びにデジタル的な楽しさを付加し、一方で熱中させるゲーム性ではなく、プレゼンス(実在感)を追求したバーチャルリアリティ体験を構築できたとして、「プレイグラウンド(遊び場)ゲーム」というゲームデザインの新しい方向性が考えられるのではないかと本山氏は話し、講演は締めくくられました。

元々人気があった『屋内砂場』を発展させる形で作られたという本作。実際の海は遠く、なかなか楽しめないという子供も多い中で、遊ぶ本人にとって楽しく、親としても安心して遊ばせられる遊具になっているようです。
《土本学》

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