DiGRA夏季研究発表大会の個人的レビュー2014・・・「ゲーム・アカデミクス」第8回 | GameBusiness.jp

DiGRA夏季研究発表大会の個人的レビュー2014・・・「ゲーム・アカデミクス」第8回

GameBusiness.jpの読者のみなさま、こんにちは。DiGRA JAPAN(日本デジタルゲーム学会)の田端です。今回の「ゲーム・アカデミクス」では、8/24に東京工科大学 八王子キャンパスで開催された当学会の「2014年夏季研究発表大会」について報告いたします。どうして12月に8

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GameBusiness.jpの読者のみなさま、こんにちは。DiGRA JAPAN(日本デジタルゲーム学会)の田端です。今回の「ゲーム・アカデミクス」では、8/24に東京工科大学 八王子キャンパスで開催された当学会の「2014年夏季研究発表大会」について報告いたします。どうして12月に8月の話題を?という声もあるかと思いますが、そこは最後まで読んでいただければと。



■こんな発表がありました

夏季研究発表大会は今回が第三回ですが、発表件数が口頭発表24件・インタラクティブセッション12件、参加者120名と過去の夏季研究発表大会で最大の規模となりました。

口頭発表では、下記の8つのセッションに分かれて、ゲームという対象に対し、発表者それぞれの関心領域・分析方法での研究発表が行われました。ゲームをどう作るかだけではなく、ユーザー心理・文化・市場はどう評価しているのか、どのように遊ぶか・どのように別の領域で活用するかといったセッションもあります。

【ゲームデザイン】
・ゲームプレイ上の体験を高めるための物語とシステムの関連性の研究〜海外におけるナラティブゲームを参考とした新しいゲームの在り方〜
・本棚のメタファの複合によるハノイの塔の拡張と評価
・人はなぜゲームを途中でやめるのか?〜ゲームデザイン由来の理由〜

【ゲームと音】
・Collinsの手法によるアクション系ゲームのサウンド機能の分析
・モードを用いたアルゴリズム作曲のアダプティブミュージックへの応用
・音楽学を応用したゲーム構造分析および楽曲分析研究に向けた研究フレームワークの検討

【競技系ゲーム】
・FPSゲームにおけるプレイヤーに認識されにくい動的難易度調整手法の提案
・eスポーツの定義に関する基礎的考察
・e-Sportsの普及に向けたスポーツおよびゲームの再定義の試み -実践研究を通じて-

【ゲームの表現と評価】
・ストップモーションアニメーション表現のディジタル化に関する一考察
・ゲームの要素で設計した大学授業の評価と考察
・オノマトペによるコミュニケーション表現に関する一考察

【ユーザー心理】
・ゲーミフィケーション活用によるマーケティング効果の実証的分析
・短期大学講義におけるゲーミフィケーションの導入実践
・Gamified Real-現実世界における仮想性とフィクション性の導入-

【ゲームと文化】
・コンテンツツーリズムから見る日本文化に関する一考察
・没入型マンガエンタテイメントシステムの国際化と最適化
・ホームコンピュータはビデオゲーム機であったのか〜80年代初頭におけるMSXとCommodoreの雑誌報道を比較する〜

【ゲーム技術】
・iOS向けゲームにおける音の多重同期再生に関する処理負荷の検討
・頭部装着型ディスプレイの利用時におけるゲームアノテーションの適切な表示範囲の研究
・プロジェクタとフィジカルコンピューティングを用いた男児向け玩具のエンタテイメントシステム化

【ゲームと市場】
・「遊戯王」レアカードのヤフオク!での落札価格分析
・ソーシャルゲームにおける課金とソーシャル性─人気モバイルゲームの系統的分析─
・インディーズにおけるマーケティングの可能性

また最近は様々な学会で、実際に動くデモを展示し、来場者に触ってもらい反応を見て、その場でディスカッションを行うものもあります。DiGRA JAPANでも「インタラクティブセッション」という発表枠があります。やはりゲームはプレイするもの。ポスターでの発表だけでなく、発表者が開発したゲームをプレイしてもらっての発表もありました。なお、「新しいゲーム表現形態の研究と提唱」は、胸部と腕にLEDを敷き詰めた装置を着こんでプレイするというものでした。

【インタラクティブセッション】
・「シリアスゲームジャム」による英語学習ゲーム制作の事例
・世界中のプレイヤーに遊んでもらえる数学ゲーム「Global Math」プロジェクトへの取り組み事例
・数学的思考力が身に付くゲーム「BLOCK ARTIST」−言語に依存しない仕様でグローバル展開−
・脳波計と筋電計を利用したゲームプレイヤーの興味度と快適性に関する分析
・クラウゼヴィッツ『戦争論』と「科学の時代のゲーム」―学術・開発連携によるシリアス・ゲーム制作モデルの試行―
・MOBAゲームにおける熟練者の戦略に基づくAIキャラクタの戦略性の改善
・愛知県春日井市を舞台とした地域振興型恋愛シミュレーションゲームの企画開発
・「女性向け恋愛シミュレーションゲーム」の歴史的研究
・『ファイナルファンタジー』シリーズにみるゲームオーディオの変遷
・自己分析のためのゲーミフィケーションを用いたツール「3匹のコブタとワタシ」の開発
・新しいゲーム表現形態の研究と提唱
・MMORPGにおける音声認識を用いたショートカットのコントロール


「新しいゲーム表現形態の研究と提唱」デモ


ざっとタイトルを上げてみましたが、タイトルから興味を持ったものがございましたら、是非下記リンクから、予稿集や発表の様子を収録した動画をご覧ください。

大会Webページ
発表一覧
予稿集
発表動画
ツイッターつぶやきまとめ

■2014年夏季研究発表大会 超個人的に気になった発表

【ゲームデザイン】セッションでは、遠藤雅伸さんがユーザーがゲームを途中でやめる理由を大量のデータから解析した発表を行ったり(いくつかのWebメディアで取り上げて頂きました)と、学生から研究者・開発者が様々な発表がありました。これらの発表をひとつひとつ紹介したい所ではありますが、ここでは筆者が個人的に気になった発表を4つ取り上げます。

○Gamified Real-現実世界における仮想性とフィクション性の導入-
坂本瑞季氏(早稲田大学大学院基幹理工学研究科) ※2014年夏季研究発表大会 学生大会奨励賞 受賞

ゲームが持つ要素を「仮想性やフィクション性を付加するための意味のある要素」として抽出するために、Value-based FrameworkとGamiMedia Modelという2種類のフレームワークを提案しています。前者はプレイヤーがゲームでどのような「価値」を感じるかを体系的にまとめたもの。後者は、ゲームとゲーム以外のメディアの各コンポーネントがVisuals, Dynamics, Narrative の3つの要素で構成されるとし、そこから関係を見るもの。本発表ではそれらを用いて「ポケットモンスター」に対し分析を行っています。そして、これらの手法を用いることで、ゲームの力である仮想性とフィクション性を現実世界に導入する際の知見が提供できるとしています。個人的な話をすると、このフレームワークを使って私(田端)の好きなゲーム・サービスを分析してみたいです。
予稿集:63ページ
動画:
https://www.youtube.com/watch?v=Xj88CS3o6Eo&index=7&list=PLsKFioSxwiJN62DynZDAErvVjleddn49e#t=39m47s

○ゲーミフィケーション活用によるマーケティング効果の実証的分析
浜田俊也氏(京都大学大学院経済学研究科博士課程) ※2014年夏季研究発表大会 学生大会奨励賞 受賞

実際にゲーミフィケーションが活用されている複数のB2Cビジネスについて、夢中や集中、没入といった心理を表す「フロー体験」という概念に着目し、定量データを用いて効果メカニズムの解明を行ったものです。回答者の「アクティビティへの態度」や「ゲームのメカニズム・要素に対する印象」がどうフロー体験へつながるのか、そしてそれらが「アクティビティの継続意向」や「ブランドへの態度」を通じて「ブランドへの購入意向」に影響するのかを示し、デジタルゲーム研究だけでなく消費者行動研究としても見どころがある発表になっています。この要因がこういう効果に影響するんだしないんだという評価は定量データだからこそですね。
予稿集:55ページ
動画:
https://www.youtube.com/watch?v=Xj88CS3o6Eo&index=7&list=PLsKFioSxwiJN62DynZDAErvVjleddn49e#t=20m58s

○音楽学を応用したゲーム構造分析および楽曲分析研究に向けた研究フレームワークの検討
伊藤彰教氏、伊藤謙一郎氏(東京工科大学)

音楽学、構造・映画音楽・サウンド研究とコンテンツ構造分析の手法から、デジタルゲームにおける音楽・分析手法の可能性を探る報告。報告では先行研究のまとめといくつかの試みまでとのことでしたが、音楽というゲームの一要素の評価とゲーム全体の評価の相互作用について今後が楽しみです。
予稿集:27ページ (機材の具合で録画されてません。申し訳ありません)

○デジタルゲーム研究の新地平 〜高度複合領域の挑戦〜
渋谷明子氏、玉井建也氏、七邊信重氏、藤本徹氏、山口浩氏 コーディネータ:三上浩司氏(日本デジタルゲーム学会 編集委員)

当学会の論文誌編集委員による企画セッション。それぞれの専門分野から、ホットトピックスや研究に用いられる調査研究手法の紹介。ゲーム研究の攻め口の広さが俯瞰できるセッションでした。今回は人文科学系の方々からの紹介だったので、次は他の分野の紹介と、それぞれがクロスした時に何が生まれるかについてのディスカッションを期待しています。
動画:
https://www.youtube.com/watch?v=YfX9dyhoH58&index=6&list=PLsKFioSxwiJN62DynZDAErvVjleddn49e
(予稿は無し)


企画セッション「デジタルゲーム研究の新地平 〜高度複合領域の挑戦〜」の様子


■次は来年3月に宮城で

と、一口でゲームといっても様々な切り口での発表がありました夏季研究大会でしたが、次は2015年3月7日(土)、8日(日)に宮城大学で年次大会があります!発表申込は12/25(木)までです。まずは200字程度の研究概要を付けてお申込みください。年明けには会場参加受付も開始する予定(年次大会の研究発表は動画公開無し)です。いろいろ刺激的な企画も仕込み中ですので、聞いてみたいという方の参加もお待ちしております。
それではみなさん、宮城でお会いしましょう!

○日程:2015年3月7日(土)、8日(日)
○場所:宮城大学(大和キャンパス)
○テーマ:「ゲームの杜へようこそ」
○招待講演(予定):

白岩 靖史 氏(仙台市経済局)
「地方と世界をつなぐゲーム産業振興―仙台・オウルの国際都市間連携の取組みー(仮)」

吉田 正高 氏(東北芸術工科大学教養教育センター准教授/コンテンツ文化史学会会長)
「東北地方とコンテンツ」

発表申込概要 (発表申込締切:12/25)
○問い合わせ先: conf2014@digrajapan.org (日本デジタルゲーム学会2014年度年次大会 実行委員会)
※参加申込は1月に学会公式Webページ にて開始する予定です。

※下記学会公式Facebookページ、Twitterアカウントでも随時大会についてお知らせしておりますので、フォローをよろしくお願いいたします。

・Facebookページ : https://www.facebook.com/digrajapan
・Twitterアカウント : https://twitter.com/DiGRA_JAPAN

《田端秀輝》

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