"東南アジアでオフショア開発"は本当にコストカットになるのか?東南アジア各国のお国事情とROIを真剣に考えてみた・・・「東南アジアゲーム事情」第2回 | GameBusiness.jp

"東南アジアでオフショア開発"は本当にコストカットになるのか?東南アジア各国のお国事情とROIを真剣に考えてみた・・・「東南アジアゲーム事情」第2回

その他 その他

近年、東南アジアにオフショア開発の拠点を持つ企業が非常に増えています。特にベトナムは政府の後押しもあり、異常なほど日本企業の進出が相次いでいます。またインドネシアは将来、市場としても期待できるということでジャカルタを中心に進出する企業が後を絶ちません。

今回は東南アジア各国で実際にビジネスされている方からヒアリングした結果を踏まえ、東南アジア各国を分析し、私なりの「ベスト・オブ・オフショア開発国」を結論付けてみたいと思う。

■ベトナム事情

まずはベトナム。人件費から見ていこう。

私調べによるとベトナムの人件費は、新卒で350ドル前後。2、3年のLAMPキャリアで500〜800ドル、ブリッジSE・PMは1500ドル前後。う〜ん、やはり安い。確かに日本の相場からしたら夢のような給与水準だ。ただし、年率で約10%は昇給させないと国のインフレ率を考慮に入れると昇給にならないようなのでご注意を。

ベトナムでの開発のメリットは、人件費の他にも数点ある。まずはソフトウェア開発というコトで政府に申請し、通れば完全免税4年間+50%免税5年のメリットを享受できる。

あとは何よりエンジニア、プログラマの頭数がいること。日本では、「数が足りない→価格が高騰する」という現象が起きているが、ベトナムはまだまだ数がいるので採用がしやすい。

デメリットももちろんある。まずはデザインセンスがあり得ない。多くの企業は、デザインは日本行っているのが現状。私も各社にサンプルを出して頂いた事があるが、ここだけの話、だいぶ厳しい印象。

あとは何と言っても現地スタッフの英語レベル。英語のレベルは恐らく日本人と同レベルくらいだと思う。要は、会話は厳しいけどメールならOKってやつだ。日本語が軽く出来る現地人も少なくなく、そこはうまくカバーできるかもしれない。

そんなこんなでオフショア開発ラッシュですので、ブリッジSEといわれる職種の給与が高騰しているのもまた事実。少なくとも開発者5人に対し、1人はブリッジSE兼QA担当をつけることをお勧めする。ベトナムに進出の際には、日本品質のデザイン代+ブリッジSEの給料も考慮に入れる必要がある。

インドネシアについて後日詳しく紹介するが、人件費についてはインドネシアも大体ベトナムとよく似た感じだと思うのだが全体的に30%程度ベトナムより高い印象がある。ベトナム同様、こちらも家賃が実は結構する!ということも覚えておきたい。

■マレーシア事情

続いて私のいるマレーシアでのオフショア開発。

まずは人件費から。新卒で700ドル前後。2、3年のLAMPキャリアで1200ドル〜1500ドル。ブリッジSE・PMクラスは2000ドル前後。う〜ん。高い!もの凄く高い!ちなみにこちらも年率で約10%は昇給させないともれなく離職率UP!

マレーシアでの開発のメリットは、何と言っても多言語開発だ。特に中華系マレーシア人は北京語、広東語、英語、マレー語(インドネシア語も頑張れば)といった多言語を読み書きすることができる。弊社のように中国やアメリカの会社と技術的な話をする場合は、マレーシアは最高の場所である。

あとはMSCステータスというIT企業に与えられるライセンスがあり、こちらは弊社も頂いているが最大10年間の免税措置や外国人向けビザの無制限発給とこれは文句無しでいい!あと家賃がクオリティーの割には安い。

デメリットとしては、とにかく高い!高いのに作業が遅い。これはマレーシア人のスキルの問題もあるが、マレーシアという国の問題でもある。とにかく休日が多い。マレー系、中華系、インド系が混在するマレーシアなので、それぞれの正月がある。これに加えて州ごとに定められた休日がある。さらにさらにこれに加えて病欠(マレーシアでは有給です)+通常の有給休暇があり、スタッフからしたら最高ですが、会社をやってる方はたまったもんじゃありません。

■シンガポール事情

続いてシンガポールのオフショア開発。人件費は新卒で1400ドル前後。2、3年のLAMPキャリアで3000ドル前後。ブリッジSE・PMクラスは5000ドル。はい。ご覧の通り、ありえないです。

とはいえ、一概に全く無しかと言われれば無しでもないです。やはりシンガポールだけあって情報がマレーシアとは桁違い。よって小さい事から触れてきたものが、アメリカの最新テクノロジーだったりするのでITリテラシーは明らかにマレーシア人より高い。恐らく日本人と同等レベルといえよう。

ま、あとはソフトアジアと呼ばれるシンガポールだけあって、欧米人が多く、彼らの採用が容易である。欧米向けのサービスや欧米のDNAを持ったサービスを展開したい場合は、シンガポールが東南アジア唯一の正解の場所となる。そういう意味ではフィリピンも無しではないが、やはりシンガポールの方がビジネスセンスを持った欧米人が多い印象がある。

実際に弊社のビジネスパートナーでもあるインドネシアのSNS大手「Mig33」やタイに上場していて東南アジア最大のゲームパブリッシング会社「アジアソフト」も自国内でなくシンガポールを開発の拠点としてサービスを展開している。つまり早い話、お金がある企業にとってシンガポールでの開発はアリということになる。

■まとめ

以上のように、企業のフェーズやサービス内容によってベストな国は違ってくるものの、単純にウェブベースのプロジェクトをオフショア開発するのであれば、ベトナムに日本人のブリッジSEが駐在し、プロジェクトマネージメントも行う。というのが現時点での正解のような気がしている。

ではまた次回。

■著者紹介

澤田将司(さわだまさし)Funnel Malaysia、Funnel Singapore代表取締役
1981年 三重県生まれ。2007年にFunnel Malaysiaを設立。設立当初は日本の携帯キャリア公式サイトの構築をマレーシアで開発すべくオフショア開発拠点としてスタート。2011年より東南アジア市場をターゲットにオンラインゲームのプラットフォーム『funnel.asia』をサービス開始、東南アジアを中心に約220の国と地域に約100万人のユーザを抱える巨大ゲームポータルを運営中。ブログも執筆中。
《澤田将司》

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら