「もじぴったん」中村隆之氏による「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」レポート | GameBusiness.jp

「もじぴったん」中村隆之氏による「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」レポート

2月21日、東京大学本郷キャンパス福武ホールにて人気パズルゲーム「もじぴったん」のプロデューサーとして知られる中村隆之氏(現在は神奈川工科大学特任准教授)を招き「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」が開催されました。

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2月21日、東京大学本郷キャンパス福武ホールにて人気パズルゲーム「もじぴったん」のプロデューサーとして知られる中村隆之氏(現在は神奈川工科大学特任准教授)を招き「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」が開催されました。
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2月21日、東京大学本郷キャンパス福武ホールにて人気パズルゲーム「もじぴったん」のプロデューサーとして知られる中村隆之氏(現在は神奈川工科大学特任准教授)を招き「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」が開催されました。

このワークショップは国内のシリアスゲーム研究の第一人者である藤本徹氏(東京大学大学院情報学環 特任助教)が設立した「Ludix Lab(NPO法人 EduceTechnologies)」主催企画の第一弾として開催。「デジタルゲームの面白さの要素や構造を分析するフレームワークを使って、実際のデジタルゲームを分析し、面白さのデザインの読み解き方への理解を深める」ことが目的。

藤本氏は冒頭、「この研究グループでは"ゲームと学習"に関するワークショップを今後も継続的に実施します。新しいゲームを使った学習方法、デジタルゲームアプリの開発支援などを題材として取り上げ、産官学連携の場として発展させていきたいです」と将来の展望について語りました。

続いて中村氏の挨拶。「デジタルゲームの面白さについて皆で集まって分析するというワークショップは、僕が知っている限り国内では実施されておらず、需要があるかなと考えました。もし、他にこのようなワークショップをしている方が居たら教えて下さい」とワークショップの背景について述べました。

神奈川工科大学特任准教授の中村氏。大ヒットした「もじぴったん」シリーズのプロデューサーとしても知られる。


■ゲームデザインを学ぶためにはどうしたら良いか?

ワークショップにはおおよそ40名程度の参加者が集まり6〜7人1組のテーブルに分けて着席。今回は、シリアスゲームに興味の強い教育関係の方が多く集まったということですが、参加者の種別は学生、ゲーム業界関係者、その他の業種など実に様々でした。

前半は中村氏と一緒に「ゲームデザインとは何か?」を考えるところからスタートしました。

「ゲーム」は本日の主目的であるゲーム(デジタルゲーム)を、「デザイン」には自然と〜出来るよう仕組むという意味をそれぞれ引用し、つまり「ゲームデザイン」とは「遊んでいて自然と楽しくなるようにデジタルゲームをデザインすること」であると中村氏は示しました。

続いては「ゲームデザインを学ぶためにはどうしたら良いか?」という問題が提起されます。

ゲームデザインを学ぼうとしても、教科書はあまりなく、ゲームデザインの先生も少ないのが実情です。中村氏はその背景として、「楽しい」という感覚には個人差があり、同じゲームを遊んでも楽しいと感じる人、感じない人がいたり、楽しいと感じる部分が違うため、体系化されにくいことが原因であると述べました。ただし、ゲームデザインの評価として「楽しい」という感覚は当然ながら評価の指標からは外せないこと、大多数が楽しいと思うゲームの共通点は存在することも付け加えました。

では、デジタルゲームにおける楽しさはどうしたら生まれるのでしょうか?

「ゲームとは障害を越えてゴールを達成する」ものであるというのは過去に多くのゲームデザイナーや学者が定義してきたことであり、中村氏も同様にその考えを持っているものの、今回中村氏はその障害を「ストレス」と表現しました。デジタルゲームをスタートしてからすぐゴールでは楽しくありません。デジタルゲームの中で課題、ハードルを乗り越えて初めて達成感が得られます。例えば、敵を倒す、モノを集める、対象を壊すなど・・・デジタルゲームには様々な課題が与えられ、その課題の難度によってストレスが与えられそれを克服することで達成感を得られるかどうかの鍵になります。

ただし、難度が高すぎても、その課題を達成できる上手い人にとってはより達成感が得られる要素となりますが、その課題を達成できない下手な人にとっては辛いだけになる恐れがあります。そのため、失敗しても楽しいと思えるデザインが必要となります。下手で失敗続きの人でも楽しさが持続するためには、短い時間の中に達成感を繰り返し与える仕掛けが必要で、途中で達成感が得られればクリアできなくても楽しいと感じてくれるのです。

またデジタルゲームの課題には段階があり、中村氏は以下のような5段階のモデルを提唱しました。

課題の段階 例
(1)物理的操作(プレイヤーの物理的な操作)・・・ボタンを押す
(2)手段(画面内のキャラクターが出来る事)・・・ゲーム内のキャラがアクションする
(3)小目的(ゲーム内で評価されるイベント)・・・アイテムを入手する
(4)中目的(ゲーム内の最初の到達地点)・・・・・1ステージをクリアする
(5)大目的(ゲームの最終目的地点)・・・・・・・全ステージをクリアする


これら(1)〜(5)の間には全てストレスが存在し、(1)から(5)に向けて課題のサイズがアップしていきます。つまり、デジタルゲームが下手な人でも(1)や(2)を楽しめるようにデジタルゲームをデザインしなければいけないし、上手い人には(3)〜(5)に大して満足してもらえるように作らなければいけないということです。

蛇足ですが、短時間で操作方法や基本的なルールだけでなく、楽しさを感じて貰うことは、最初のワンコインで印象が決まるアーケードゲームにおいては強く求められてきた要素で、最近ではスマートフォンアプリも同様となっています。最初の数十秒で理解されないとすぐに削除されてしまうため、(1)や(2)にあたる操作やルールを理解してもらうための敷居は低い必要があると中村氏は説明しました。(そのためスマートフォンアプリ市場は一度プレイした後二度と遊ばれないアプリケーションの溜まり場になりやすいとのこと)

話はゲームデザインはどう覚えればいいのか?というところに戻ります。

中村氏自身は「創作、模倣を含め何本も作って覚えた」とのこと。しかし、この経験は誰しもが簡単に得られるものではなく、時間的コストも非常に高いことが大きなハードルとなります。そこで、今回のワークショップの手法として中村氏が考案したのが、リバースエンジニアリング(機械を分解したり、製品の動作を観察することで製造方法や動作原理を考察する手法)に着想を得たやり方です。

先ほどのストレスの段階モデルを使い、デジタルゲームを(1)〜(5)までの要素に分解し各々の間に含まれるストレス、課題、快感について要素分解しようという試みです。

■グループワークでゲームの面白さを知る

ここまでの話を踏まえて実際に「デジタルゲームの面白さを分析する」グループワークが行われました。まず、ゲームを先ほどのモデルに当てはめて分析するための「ゲームデザイン手段⇒目的分析シート」が配布され、各チームには『Angry Birds』『Fruit Ninja』といった、作りがシンプルで分析しやすいスマートフォン、タブレット用のゲームが各テーブルに用意されました。

もはやスマートフォンゲームの定番中の定番となった『Angry Birds』Halfbricが開発した『Fruits Ninja』はスライド操作で飛んでくるフルーツを切り続けるシンプルなアクションゲーム。


グループでは各々が1人ずつプレイしながら他の人はプレイしている人間の様子を観察し、デジタルゲーム上のどんな状況で快感を得ているかストレスを感じているのかなどを入念に観察しながら、シートに記入を進めていきます。中にはタブレットPCでプレイ中の人の表情を録画する人なども。その後、チームごとに分析結果を発表しました。

ワークショップで用いたシート。これを用いることで分かりやすくゲームの構造を分析。


分析結果について中村氏は、「概ね予想の通りですが、中には予想外のコメントもあり勉強になった」と話していました。また、良いデジタルゲーム、悪いデジタルゲームの要素を把握するために、世間的に評判の良いデジタルゲームと悪いデジタルゲームを配布物に織り交ぜており、シートの内容から、そのゲームの良い部分、悪い部分についての観察などにも利用出来ると話しました。

■教育分野とデジタルゲームの親和性

最後に、中村氏は教育分野とデジタルゲームの親和性について語りました。

中村氏は、学習に先生とコーチがいるとして、デジタルゲームにおける「快感」はコーチの方に当たるのではないかと言います。先生が生徒に大筋のカリキュラムを教え、コーチは生徒に常に寄り添いフィードバックを与え、点が取れたときに誉めるだけでなく、出来なかったところを指摘し修正させる。過程を誉めてあげる、過程が快感であることはデジタルデバイスに必要とされる要素であり教育において重要なものと考えると述べ、ワークショップを締め括りました。


過去にも有名ゲームクリエイター(桜井政博氏など)によるデジタルゲームの面白さについての講義はいくつかあり、今回の講義の内容はそれらの過去の講義と似通った点はあるものの、中村氏の「デジタルゲームによるストレスがゲームを面白くする」という解釈は独特なものでした。何より、本人の弁にも有った通り、デジタルゲームについての分析を実施する参加型のワークショップは他に類を見ないこと、デジタルゲームとストレス階層のモデル、「ゲームデザイン手段⇒目的分析シート」がデジタルゲームの分析手法として非常に納得感のあるツールであったことを特筆しておきます。

体験の複雑なデジタルゲームにこの分析が適用出来るかどうかは分かりませんし、そういったデジタルゲームを開発しているようなクリエイターに向けたワークショップではありませんが、ゲームの面白さをどういうところに感じているのかという基本的なパーツを見直す上で、このワークショップが非常に有意義なものではないかと感じられました。また、参加型であることがこのワークショップの売りなので、気になった方は是非次の機会に体験に行かれることをお薦めしたいです。

このワークショップで利用した 「ゲームデザイン手段⇒目的分析シート」とマニュアルは中村氏のブログ(http://pdblog.play-app-lab.com/)にて公開されるとのことなので、こちらも期待して待ちたいところです。
《吉川真人》

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