【CEDEC2012】「音の見える化」作業効率の向上と、今後の課題〜バンダイナムコ「NUSound」の事例 | GameBusiness.jp

【CEDEC2012】「音の見える化」作業効率の向上と、今後の課題〜バンダイナムコ「NUSound」の事例

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バンダイナムコスタジオの社内サウンドフレームワークシステム「NUSound 3.0」。CEDEC2012、3日目に開発チームの黒畑喜弘氏と中西哲一氏により「システムのもたらした効率化と、今後の課題について」のセッションが行われました。
  • バンダイナムコスタジオの社内サウンドフレームワークシステム「NUSound 3.0」。CEDEC2012、3日目に開発チームの黒畑喜弘氏と中西哲一氏により「システムのもたらした効率化と、今後の課題について」のセッションが行われました。
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バンダイナムコスタジオの社内サウンドフレームワークシステム「NUSound 3.0」。CEDEC2012、3日目に開発チームの黒畑喜弘氏と中西哲一氏により「システムのもたらした効率化と、今後の課題について」のセッションが行われました。

■NUSound 3.0とは?

現在、3代目となるNUSoundは2000年頃からPS2プロジェクトでのサウンドドライバ共通化の試みから開発がスタートしました。2002年に初代の運用がスタートし、『ソウルキャリバー2』『R:RACING EVOLUTION』のマルチプラットフォームに対応しました。2005年から2代目の運用が開始されました。Xbox360、PS3、Wii、PSPのローンチに対応し、現在でも現役で使用されているということです。

そして2009年より、3代目となるNUSound 3.0が運用が開始されました。独自のオーディオエンジンで、マルチプラットフォーム(PS3/XBOX360/Windows/Linux/iOS/PS Vita/Wii U/Android/3DS)に対応しています。9割以上のプログラムソースが共通で、波形以外のデータは全機種で共通となっており、リニアPCMも共用可能だということです。また、DSPがある機種でも有効に利用できるとのこと。なおAPIはシンプルになっており、2代目との互換性はありませんが、API数は1/3程度まで減少しているそうです。

■NUSoundが生まれた経緯

では、どうしてこのような社内フレームワークが誕生したのでしょうか。会場も大きな笑いに包まれたサウンド実装の際の「あるある」をいくつかご紹介します。

・サウンド担当プログラマがサウンド知識ゼロ
・忙しいからといってサウンドテストモードを作ってもらえない
・最新のライブラリやデータを渡していたのに反映されていない
・マスター提出直前でプログラマの機嫌が悪そうで頼みにくい
・音がうるさいと思ったら、裏でいくつも鳴っている。いつの間にか修正されて小さくなっている
・音が鳴らないといわれたが、そもそも鳴らしていない
・マルチで制作する場合は全機種で確認作業が必要になって大変
・バグで修正箇所までたどりつけない

などなど、会場からも共感の声が聞こえた「あるある」ですが、これらを解決しようと開発されたのがNUSoundです。数行のソースコードで実装を可能にし、データさえあれば多彩な演出を可能にできる。また、耳だけでなく動作確認を簡単にでき、データ差し替えなしでパラメータの変更と確認ができるようにという目標で開発が進んだそうです。

なお、この3.0という名前は中西氏によれば「ちょうどWeb2.0が全盛だったので」つけられたそうで、「今見ると恥ずかしいですね」とのこと。現在までにPS3/XBOX360ソフト『アイドルマスター2』やこの後に実際に実演に使用されたPS Vitaソフト『リッジレーサー』、アーケードで大人気の『機動戦士ガンダム 戦場の絆』などに使用されています。

■実際に「見える化」を進めた「NUSound 3.0 Live」

そして、実際に「見える化」を実現したのが「NUSound 3.0 Live」というプロファイリングツールです。まず最大の特徴は各種パラメータがリアルタイムで取得、変更が可能になっていることです。また、PC側はツールのみインストール(SDK等は不要)し、ゲーム側はプログラムを1行追加するだけと、非常に簡単に実装できます。さらに、実際にPC側で確認するにはLAN接続のみで可能になっており、筐体の作業もノートパソコンさえ持って行けばすぐに可能になったということです。

■音の何が「見える」のかを『リッジレーサー』で実演

ツールの解説が終わると、「売ることはできないので、みなさんに全部お見せします」(中西氏)と、いうことで、リッジレーサーをプレイしながらの実演が行われました。まず最初にライブラリやデータのバージョンが確認できるので、最新データが反映されているかも一目瞭然です。他には

・処理負荷(DSP・CPU)、発音数、読み込み済データサイズ
・再生状況、発音制限、オートダッキングなどの内部状況
・3Dサウンドでの音源位置…発音位置の方角、距離も画面上に表示
・API呼び出し履歴
・波形データ(RMS、ピーク、ラウドネス)

などが確認可能です。

実際に「見える化」を進めたことで、調整やデバッグ作業は大変効率化されたということです。また、サウンドデバッグモードが不要なほどで、サウンド担当プログラマの負担も大きく低減しました。さらに今まで耳で聞こえず残ってしまっていた音も、目で確認できるようになったため、処理負荷の低減も達成されたそうです。

■「見える化」で見えてきた課題

ここまで「見える化」が進んだことでの利点があげられてきましたが、まだまだ課題も多いようです。ここで先ほども好評だった「あるある」ネタが再登場。主な問題点としては「そもそもサウンドクリエイターの仕事なの?」というような不毛な作業(データの不具合チェックや処理負荷の軽減など)や、プロジェクトとライブラリチームのコミュニケーション不足の2つがあげられました。コミュニケーションの問題については、黒畑氏の実体験として、「ニューヨーク旅行の前日にバグの報告をされ、徹夜で空港へ向かった」経験もあるそうです。さらに「金曜の夕方にバグ報告が上がってくる」ことも多いようで、「金曜は早めに退社するのが僕のライフハックです(笑)」と冗談交じりに語っていました。

■今後の改善点、実装すべき機能

「見える化」によって明らかになってきた課題ですが、解決すべくあげられた内容の1つ目は「不具合検知の自動化」です。サウンドクリエイターの負担となるノイズチェックを、出力波形の比較によって自動検知するという機能で、検知されればメールやチャットで担当者に通知の行くようなシステムにしたいとのこと。

2つ目にあげられたのが「調整支援機能の強化」です。APIログからツール側で動作を再現し、波形の差し替えやパラメータの変更を可能にするシステムにしていきたいということでした。また、ヒートマップから重要、不要な音を確認できるようにもしたいということです。

そして最後に「データの自動最適化」です。今後は現在以上に様々なプラットフォームで展開されることが予測されるため、1つのアセットから全機種向けに自動生成される仕組みを構築していきたいということです。最終的にはハイエンド機から低スペックのスマホ端末まで自動でエンコードできればということでした。

デバッグや調整には大きな効果をあげているにもかかわらず、まだまだ実装が遅れがちということで、様々な啓蒙活動を続けながら早期に実装してもらえるように働きかけていくということです。また、コミュニケーションの問題についてもサポート体制の充実を図りつつ、プロジェクトとの連携を密にして一つ一つ解決していきたいと、お二人の決意を語りセッションを締めくくりました。
《宮崎紘輔》

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