【PSVitaゲームカンファレンス】『GRAVITY DAZE』を支えたプログラムとチーム運営 | GameBusiness.jp

【PSVitaゲームカンファレンス】『GRAVITY DAZE』を支えたプログラムとチーム運営

独特のビジュアルスタイルとゲームプレイで、日本だけでなく世界中で高い評価を集めた『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』。SCE JAPANスタジオの五十峯誠プロデューサーをはじめ、アートディレクターの山口由晃氏、ゲームデザ

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独特のビジュアルスタイルとゲームプレイで、日本だけでなく世界中で高い評価を集めた『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』。SCE JAPANスタジオの五十峯誠プロデューサーをはじめ、アートディレクターの山口由晃氏、ゲームデザ
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独特のビジュアルスタイルとゲームプレイで、日本だけでなく世界中で高い評価を集めた『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』。SCE JAPANスタジオの五十峯誠プロデューサーをはじめ、アートディレクターの山口由晃氏、ゲームデザイナーの後藤浩之氏、リードプログラマーの横川裕氏の4名は、本作の開発ポストモータムを、ビジュアルスタイル&ディレクション、プログラム、チーム運営の3点から行いました。

このうち山口氏が行ったビジュアルスタイル&ディレクションパートは、先だってGDC2012で行われた講演と重複する部分も多く、すでに本サイトでもレポート記事が掲載されています。そこで本講では残り2つのパートについて、概要をレポートしましょう。

講演を行った開発チームの面々プロデューサーの五十峯誠氏
アートディレクターの山口由晃氏リードプログラマーの横川裕氏


■当初PS3でスタートし、「天の声」でPS Vitaに変更
本作の開発がスタートしたのは2008年夏で、プラットフォームはPS3でした。当時は技術もこなれてきて開発しやすくなっており、参考となる開発事例も海外を中心に数多くありました。オープンワールド、重力を制御する遊び、バンドデシネ調のグラフィックといった基本コンセプトも確定。ゲームメカニクスやキービジュアルなどを盛り込んだコンセプトムービーも作成されました。横川氏はこれらを横目に見ながら、プログラミング上の課題を徐々に絞り込んでいったと語ります。

しかし、2009年にSCEワールドワイド・スタジオ代表取締役会長、吉田修平氏の「天の声」で、急遽プラットフォームがVitaに変更となります。プロジェクトも急遽再編され、プログラマに至っては2名という状態から、手探りで再始動することになります。

内製タイトルとはいえ、開発チームに届くハードウェア情報は限定的かつ流動的。一方で1STパーティとしての責任感がのし掛かります。そこでデュアルスティックやフロントタッチといったVitaの操作系をどのようにゲームに落とし込んでいくか、そこから検討が始まりました。とはいうものの、実機がなければ所詮は絵に描いた餅。「それまでのイメージがどこまで保てるのか迷った」と横川氏は言います。

PS3の開発技術をどこまで落とし込めるかも重要な課題でした。クアッドコアCPUにシェーダーの使えるGPU、SDとHDの中間的な画面解像度、メモリは512MB+128MBと、Vitaは現代的なPCの縮小版的なスペックを持っています。PS3の開発技術を実践できるハードであることは間違いありません。その一方でボリュームやコストのバランスも重要です。キャラクターや背景のポリゴン数、テクスチャサイズ、「壊れ物」の量など、情報が不確定な中で見積もりを出し、試作を進めていく必要に迫られました。

そこで、まずはWindows上で開発を先行。ある程度試作版の開発が進んだところで、待望のVita開発機がチームに到着。いよいよ本開発がスタートします。しかし、すぐにオープンワールドゆえの壁に突き当たりました。データ量の多さ、フレームレートがでない、ロード時間が長いといった問題です。さらにVitaを使って、直感的な操作をいかに実現するかという問題も発生しました。はたして「重力を制御する遊び」という基本コンセプトを曲げずに、突き進んで良いのか、プレッシャーがのしかかります。

このように五里霧中で進められた開発でしたが、何度も試作版を作って社内レビューやユーザーテストを繰り返すことで、徐々に光明が見えてきました。こうしたプロファイリングとチューニングの連続の中で、次第にリダクションやレベルオブディティール、カリングなどの最適化が進められていきます。ロード時間もできる限り裏読みを行うことで縮小。最終的にPS3版のコンセプトをほぼ踏襲することができました。

■Windows環境での開発が大きく貢献
開発の後期で大きく貢献したのが、ビルドをルール化して自動化したことです。ビルドとは開発中のプログラムをまとめて、最終的な実行ファイルを作成する作業のこと。ゲーム開発では要所でビルドを行い、完成度を確認していきます。しかし今日では大作化の結果、ビルドにかかる時間もバカになりません。また開発の終盤はチームが疲弊し、ファイルのバージョン違いといったケアレスミスが発生することも。そこで本作では毎日3時間おきにビルドを行うように、ルール決めがなされました。このことが開発にリズム感をもたらし、イテレーションが確実に向上したと言います。

また実機上での開発と共に、Windows上で動作するコンパチブルなリファレンス環境が作られました。PC上で創ったものをPC上で確認することで、これもイテレーションの向上に貢献。特にローンチ時期は開発機の割り当てが不足するため、Windows環境での開発が役に立ったといいます。「もっとも最終ターゲットはVitaなので、依存のしすぎには注意が必要です」(横川氏)。また操作方法やメモリーサイズなど、両者で越えられない壁は存在すると指摘。特にタイミング依存のバグには注意すべきだとされました。

一方でマスターまで存在した悩みとして、多言語対応前提の開発負荷が上げられました。本作は日本語版(GRAVITY DAYS)と英語版(GRAVITY RUSH)のタイトル違いなど、リージョンや言語で細かな差異が存在します。この組み合わせでデバッグが大変だったと語られました。横川氏は「最近では案内図なども日本語・英語・中国語・韓国語の併記が普通になっている」と語り、今後は日本語版といえども日英中韓の同時進行で作ることが求められるのではないかと指摘。そのための開発フロー構築が重要だと語ります。

このほかライティングやポストエフェクトについても、具体的な技法紹介が行われました。本作ではキャラクターはトゥーンシェーディング、背景はハイダイナミックレンジという2種類のライティングモデルが共存しています。これによりキャラクターと背景でテイストが異なるという、バンドデシネやコミック調の世界観を表現。中でも背景については、フォグ・描画(背景の主要な主線の強調)・ブルーム(ぼかし)・露光調整・トーンマッピングという複雑なポストエフェクトを経て、表現されていることが紹介されました。

他に主人公のキトゥンをはじめ、なめらかなキャラクターアニメーションも本作の特徴の一つです。こちらについては剛体ラグドールを用いずに、約20関節をFK(フォワード/キネマティクス)で細かく制御していることが明かされました。髪などの揺れモノも物理挙動がなされています。その上で細部の挙動で手付けアニメーションをブレンドしており、比率を入力や状況に応じて動的に変化。さらに乱数を加えて、複雑な挙動を表現しているということです。

もっとも、描画の発展余地はまだまだ残されています。具体的には▽さらなる最適化▽描画解像度の向上▽ロード速度の高速化▽ボリュームアップ――などです。その上で「VitaでもPS3なみの開発ができる(PSPではオープンフィールドのレンダリングも難しかった)」「Windows開発は本作で有用だった」と続け「リアクティブ(=柔軟)に開発する、あきらめないクリエイター魂」が大切だとまとめました。

■サッカーチームを意識したチーム運営
最後に五十峯プロデューサーは、チーム運営を行う上で「階層構造ではない、ニューロン型の人間関係」を意識したと語りました。近年の大規模開発ではゲームデザインドキュメントなどを事前に整備し、高性能なゲームエンジンの上で、ローラー作戦のように人海戦術で開発する例が主流ですが、それとは異なるアプローチとなります。

例として上げられたのがサッカーチームです。具体的には個々のセクションの責任範囲を明確にして、それぞれが範囲を互いに重ねつつ、平面的に分散。オーダーや要望を、チームリーダーなどを介して間接的に伝えるのではなく、蜘蛛の巣のようにダイレクトに繋げていくように心がけたと語られました。「ドキュメントではなく、コミュニケーション重視」「縦割りではなく、局面ごとに応じて臨機応変に対応」(五十峯氏)。机も職分で分けずに雑多に配置して、コミュニケーションをとりやすくしたそうです。

五十峯氏はこのスタイルが、オープンフィールドのゲームシステムと相性が良かったのではないかと説明します。その上で「開発チームはシステムではなく、文化を手に入れた」と述べ、客観的に見ても非常に優れたチームになったと総括しました。

(C)Sony Computer Entertainment Inc.
《小野憲史》

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