モバイル環境でもハイエンドゲームを実現する「Unreal Engine」の今後について、Epic Gamesジェイ・ウィルバー副社長に聞く | GameBusiness.jp

モバイル環境でもハイエンドゲームを実現する「Unreal Engine」の今後について、Epic Gamesジェイ・ウィルバー副社長に聞く

ゲームエンジンとして様々な著名タイトルで採用されている「Unreal Engine」。GameBusiness.jpでは1年ぶりにEpic Games 副社長のジェイ・ウィルバー氏とEpic Games Japan代表の河崎高之氏にお話を伺う事ができました。

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ゲームエンジンとして様々な著名タイトルで採用されている「Unreal Engine」。GameBusiness.jpでは1年ぶりにEpic Games 副社長のジェイ・ウィルバー氏とEpic Games Japan代表の河崎高之氏にお話を伺う事ができました。
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ゲームエンジンとして様々な著名タイトルで採用されている「Unreal Engine」。GameBusiness.jpでは1年ぶりにEpic Games 副社長のジェイ・ウィルバー氏とEpic Games Japan代表の河崎高之氏にお話を伺う事ができました。

―――昨年のCEDECぶりですね。またお会いできて嬉しいです。まず最近一年間のUnreal Engineの動向について教えていただけますでしょうか?

ジェイ・ウィルバー: 目に見える大きな進捗としてはプラットフォームの対応が増えた事です。iOS向けのUnreal Engineを昨年の半ばから提供開始し、12月にはEpicとして自ら活用した『Infinity Blade』をリリースして、多くの方に印象付ける事が出来たと思います。また、Androidのサポートも開始しています。1月にはPSVitaにも対応しました。

また今年のGDCではDirectX 11への対応を発表し、ハイエンドPC環境においてUnreal Engineがどのようなことを実現できるかをお見せしました。既存の家庭用やPC向けの対応ももちろん充実させてきています。ですから、iOSやAndroidなどでモバイル方面でサポートするプラットフォームの幅を広げる一方で、最先端のテクノロジーの充実にも取り組んだ一年と言えると思います。

―――モバイルでもハイエンドなゲームが実現できるようになってきました

『Infinity Blade』ではかなりの成功を収めましたし、iOS/Androidなどモバイルのパフォーマンスは急速に上がってきているので、我々としてはいわゆるAAA(トリプルエー)タイトルが、もはや家庭用ゲーム機に縛られたものではなく、同じクオリティのものがモバイルでも実現できる時代になりつつあると思っています。ですから、我々のUnreal Engineを使う事でそのどちらででも最先端の遊びが実現できる環境を提供していくことが重要だと思います。

その一方で、既存の家庭用市場を軽視しているわけではなく、日本でも22日に『Gears of War 3』が発売されますが、トリロジーの最終作でストーリー的にもクライマックスを迎えますし、マルチプレイヤーも非常に素晴らしい物になっているので、ぜひXbox360を持っていない方は買って遊んでみてください。

―――『Infinity Blade』に続く作品をEpic自身として手掛ける可能性はあるのでしょうか?

実は『Gears of War 3』が終わった後に社内でGame Jamをやりまして、小さなチームでゲームのアイデアを出して開発するという取り組みをしました。そこでもスマートフォンやF2P(基本無料プレイ)を前提にしたようなとても良いアイデアが沢山生まれました。その中の幾つかは商業化に向けて動こうとしています。

また、『Infinity Blade』を開発したChair Entertainment(Epicの子会社)としても凄いタイトルを作っていますので、近々発表できると思います。

―――Mobageの『Infinity Blade』はどのようなものになるのでしょうか?

元々はディー・エヌ・エーさんに『Infinity Blade』を非常に気に入っていただいて、何か一緒に出来ないかという話がスタートしました。我々の本社の方はなかなか彼らのビジネスについて理解が無かったのですが、Epic Games Japanを通じて色々なお話をする中でその面白さが分かり、彼らが『Infinity Blade』をMobage向けに開発する事は我々や『Infinity Blade』にとっても有益だろうと考えるようになりました。

ディー・エヌ・エーは日本のトッププレイヤーの一人で、非常に大きなシェアを持っています。当然、Mobageというプラットフォームでいかに展開すれば成果を挙げられるかという点では優れたノウハウと知識をお持ちなので、『Infinity Blade』というフランチャイズも大きく育ててくれるのではないかと期待しています。

―――スマートフォン向けの開発は主にUDKが担う事になるのでしょうか?

プロジェクトに依存すると思います。UDKでももちろん開発できますし、プロ用のソースエンジンでも当然開発ができます。ライセンス形態以外の大きな差異としてはソースコードが提供されるか否かという違いがあります。

ですから、これまでもゲームを開発してきたようなデベロッパーさんやパブリッシャーさんにとってはソースエンジンを利用していただいた方がカスタマイズも可能ですので、良いゲームが作れると思います。小規模なデベロッパーさんやアマチュアの方、あるいは開発初期のプロトタイプ用などにはウェブサイトから無料でダウンロードできるUDKを使うのが良いと思います。『Hawken』(過去記事参照)などはこれから名乗りを上げたいデベロッパーがUDKを使った好例だと思いますね。

東京ゲームショウで発表された、スクウェア・エニックスのAndroid向けに時田氏が開発する『DEMON'S SCORE』はソースエンジンを使って開発されているものです。

―――Epic Gamesにとってスマートフォン市場はどのような状況でしょうか?

ライセンスの数は公表していませんが、成長しているのは間違いありません。我々もエンジンのライセンスビジネスは15年以上続けていますが、デベロッパーにとって信頼できるパイプラインを提供する重要性は理解していますし、それを実現できているのが現在の好調に繋がっていると思います。

―――スマートTVなど更にサポートするプラットフォームを広げる可能性は?

将来的にはもちろんやっていきたいと考えています。ただ現状ではスマートTVはUnreal Engineを必要とするようなゲームを実現できるCPUやGPUを備えていません。しかしそうした未来は容易に予見可能ですので、注目しているところです。

―――先日、竹中工務店がUDKを活用した事例を紹介しましたが、同様の事例は世界的に増えているのでしょうか?

ゲーム以外のUDKの採用は世界的に増えていて、竹中工務店さんに代表されるような建築系やVR系、具体的な事例は紹介できませんが工業シミュレーションで工場の訓練を実現するようなものや、マシネマ(仮想空間で映像を撮影するようなもの)、いわゆる映画やCGムービーの制作など。米国のある州と一緒に教習所のドライビングシミュレーターをUDKで開発するという事もやりました。

我々の方から積極的に営業をかけているわけではないのですが、UDKを公開したら、色々な方から声をかけて頂くことが増えたという形です。

―――全体として日本の状況はいかがでしょうか?

河崎: 暫くは大型のライセンスのリリースは時間が空いてしまっていますが、お話は色々と進んでいて、近々でお話ができると思います。ここ1、2年を振り返ると、既に使っていただいている会社さんで評価いただいて、次の作品でも採用という形が非常に多くなっています。プロジェクトの数が増えて有難い状況ではありますが、採用いただく会社さんの数も増やしていくのが課題だと認識しています。

最近の大きな動きとしては、日本工学院さんで後期からUDKの授業を始めることになりまして、技術の人間が講師役となって教えていきます。ゲーム会社でもUnreal Engineを使いたいけど、使える人材が少ないという声を聞いていますし、ゲーム業界を目指す学生さんにとっても、差別化の武器の一つとしていただければと思っています。

―――それではUnreal Engineとして今後の目標を教えて下さい

一番重要なのは技術面でのリーダーシップを維持していくことだと思っています。現世代機の製品寿命も暫く続くと思いますが、次世代機も出てくると思いますので、その技術の移り変わりをライセンシー様が円滑に出来るようにサポートしていきたいと思います。また、その技術のトレンドを作ったり、引っ張っていく役割もしていかなければならないと思います。

一方でAAAタイトルをスマートフォンで実現していくという点でもリーダーシップを発揮し、マーケットリーダーでありたいと考えています。近いうちにスマートフォンやタブレットが家庭用ゲーム機のパフォーマンスを上回る時期が来ると思いますので、プラットフォームを超えたゲームの重要性も高まると考えられます。そうした場合にも技術的に牽引していく役割を担うつもりです。

―――ちなみに、成長を続けるUnityが気になったりすることはありますか?

Unity社の色々な方を存じていますし、彼らのビジネスには敬意を抱いています。ただ、メインの客層が今のところかなり違うので、直接の競合としては余り意識してはいません。我々はやはり大型やハイエンド志向のタイトルがお客さんになりますし、Unityの方は小さなチームが主流になっていますので。

―――日本のデベロッパーにもアピールのコメントをいただけますでしょうか?

家庭用のAAAの非常にリッチなタイトルの重要性はこれからも変わらないと思っています。しかしリスクは非常に高くなっています。一方でスマートフォンの場合はリスクが低く、フリーミアムなどを駆使すれば、場合によってはAAA以上のリターンが期待できるようになっていますので、スマートフォンは非常に面白い市場だと思います。日本のデベロッパーさんがこれまでに蓄積したノウハウや知見をスマートフォンに持ってくる際にはUnreal Engineというプラットフォームは非常に役に立てると思っています。一緒にスマートフォンでリッチな体験を実現していきましょう。

―――ありがとうございました!
《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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