ユナイテッド航空のチームバトル・・・「世界を面白くするGamification」第22回 | GameBusiness.jp

ユナイテッド航空のチームバトル・・・「世界を面白くするGamification」第22回

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釣りスタの事例を分析する中で感じるのは、「チームバトル」の仕組みが秀逸だということ。ソーシャルの力を活用するという意味で、チームで遊べるような仕掛けを用意するということは非常に強力であることがこの事例からはよくわかる。ソーシャルゲームの世界やMMORPGの世界では目にするものの、他の分野では同様の事例をあまり見かけない。珍しくその成功例として紹介されていたのがユナイテッド航空のチームバトルキャンペーンだ。


Freddie Awardsにて紹介されている、「Industry Impact Award :: United Mileage Plus」というのがそれだ。ちなみにこのフレディアワードとは、Wikipediaによれば、旅行者向けのロイヤリティプログラムのうち優れたものを表彰するもので、最も古く影響力のある賞だそうだ。航空会社、ホテル、クレジットカードなどのロイヤリティプログラムの中から毎年選ばれている。このユナイテッド航空のプログラムが表彰されたのは第21回と書いてあるので、少なくとも21年以上は続けていることになる。


ユナイテッドが行ったキャンペーンは、「Elite Team Contest エリートチームコンテスト」と名付けられているものだ。英語だがやや詳しい説明がこちらにあり、実施は2008年となっている。簡単に内容を説明する。このコンテストでは、参加者は4人1組のチームを組み、昨年度獲得したマイルよりどの程度多いマイルを獲得できるかを競うことになる。差分を競うので、むしろ昨年度あまり飛ばなかった利用者にチャンスがより大きくなるようにデザインされている(もっと飛んで欲しい、という航空会社の意図としては適切だろう)。上位50チームにはそれぞれ100万マイル、一人当たり25万マイルがプレゼントされるとのこと。ただ、参加するにはメンバーがユナイテッドのプラチナメンバーでなければならないという制限がある。


どの程度の成果が上がったのかは明確に示されてはいないものの、フレディアワードの受賞文を見ると、ネット上で噂になっており参加者は非常に盛り上がっていたとのこと。楽しめるチャレンジを提供すればメンバーも喜んで参加することがわかった、というようなことが書かれている。


マイレージプログラムというのはゲーミフィケーションの仕掛けがうまく取り入れられているリアル事例として取り上げることのできるプログラムだが、チームバトルまで実施されたことがあるというのは興味深い。このユナイテッドのエリートチームコンテストは比較的シンプルな仕掛けだが、アワードを取ったということからある程度の成果は出たのだろうと推測される。このような手法は他でも十分に応用することが可能である。チーム式にする面白味は、サービスを利用する目的が「チームで勝つこと」もっと言えば「他のメンバーに迷惑をかけないようにすること」というようなベクトルに変わっていくことである。私はこれを「ゴールチェンジ」の手法と呼んでいる。ソーシャル性活用の最終的なゴールの1つとして、「コミュニティの形成」というものがあると考えているが、コミュニティが形成されれば、その中でメンバー同士で目標が設定され合うような状態が発生し、サービスの利用が目的というよりもコミュニティに参加し続けることが目的となっていく。利用者の活性化という点では最も持続性があり効果的であるといっていいだろう。



■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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