節電.jpのゲーミフィケーションを考える・・・「世界を面白くするGamification」第21回 | GameBusiness.jp

節電.jpのゲーミフィケーションを考える・・・「世界を面白くするGamification」第21回

夏の電力不足に向け、節電が様々に呼びかけられている。企業が節電に協力をする一方で、家庭での節電も政府からの呼びかけがあった。経済産業省が立ち上げた、 「節電.jp」 というサイトがそれだ。

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夏の電力不足に向け、節電が様々に呼びかけられている。企業が節電に協力をする一方で、家庭での節電も政府からの呼びかけがあった。経済産業省が立ち上げた、「節電.jp」というサイトがそれだ。

5月31日のニュースリリース「節電目標達成の家庭に景品 15%削減でLEDや映画鑑賞券(ヤフー)」などで要旨が簡潔に説明されているが、昨年度と比べて使用電力を15%削減できれば景品がもらえるという施策だ。


ゲーミフィケーションの観点からこの施策を考えてみよう。ここで用いられているゲーミフィケーション手法を見ていくと、まず目的は「節電」、もっと具体的には「昨年度対比で15%以上の節電」である。そして家庭の電力消費量を昨年度と比較できるという点で、電力の数値化・可視化がなされている。また、節電対策メニューとして、家庭での節電に何がどの程度効果があるのかが示されており、目標の設定に役に立つ情報が公開されている。そして報酬としては、参加した家庭、削減に達成した家庭には「参加賞・達成賞」が用意されている。


まだ告知サイト以上ではないようで、サービス自体は本日時点では開始されていないのだが、サンプル画面が垣間見えるのでそこからゲーミフィケーション手法に基づく改善案(サービス実施時には導入されているかもしれないが)をいくつか考えてみたいと思う。



  • 参加のハードルをいかに下げるか

  • 目標がいかに簡単に設定出来るか

  • フィードバックをどのように行うか

  • ソーシャル性をいかに持たせるか


といった点でできることがありそうだ。それぞれの点で考えてみよう。


参加のハードルをいかに下げるか


ニュースリリースによればこのサービスに参加するには東電の顧客番号が必要とのことだ。しかし、東電の顧客番号はどのようにしてわかるのだろうか。私の場合は、家庭に東電から送付される電気料金通知書に記載されているのだろうと想像したのだが、それ以外に顧客番号を入手する方法が思い浮かばない(自宅のブレーカーには特に記載がなかった)。オンライン上で顧客番号を入手できるような仕組みがあるとベストだが、個人情報保護の観点で難しいのであればせめてこのサービスへの参加自体は顧客番号なしで開始できるようにするといいだろう。「参加賞」は開始後に顧客番号を入力すればもらえるようにすると良い。何もなくてもアクセスしただけで始められるというのがまずは重要だ。


それと、見たところPCサイトしか用意されていないようなのだが、携帯電話からも同様にアクセスできるようにすべきだ。もちろんフィーチャーフォン(ガラケー)、スマートフォン双方対応だ。専業主婦の利用もかなり想定されることを考えてもこの対応は必須だろう。


目標がいかに簡単に設定出来るか


画面イメージを見ると「あなたの節電メニュー」とあり、節電項目と達成できる削減率の目安が書かれている。こちら、より具体的な目標設定が出来るようになっていると良い。例えば1日単位での目標設定だ。今日は冷房を2度下げられたのであれば達成!とできるような、短い単位ですぐに達成出来るような目標設定を自分で出来るようにしておくのだ。達成目標が15%なのだから、1日単位での達成度、週単位、月単位で可視化し、現行のペースで月単位での達成が可能かどうかを自分でわかるようにすると良い。チェックリスト感覚で達成を自分で入力できるといいだろう。


フィードバックをどのように行うか


現在のフィードバックは参加賞と達成賞のみだが、もっと多様なフィードバックを用意すると良い。それは単純に「節電レベル」でも「節電称号」でもいいだろう。一定水準に達するたびに新たな称号を付与するような仕組みを導入するのは簡単だ。フェイスブックや他のSNSの顔写真に貼れるような画像を付与してもいいのではないか(Pray for Japanのような)。クチコミ効果も得やすくなるだろう。


ソーシャル性をいかに持たせるか


上でも少しふれたが、既存ソーシャルメディアとの連携は必須だ。実名前提のフェイスブックのアカウントであれば、顧客番号の入力は後回しでもなおのこと構わないだろう。達成ごとにフィードが流れるのはもちろんだが、ソーシャルグラフ上での友人同士でのランキングが最も効果を発揮するだろう。地域別・企業別・学区別などで対抗戦をしてもおもしろい。節電ノウハウの共有も有効だろう。

このように、ゲーミフィケーション手法を応用することで様々なアイデアが出てくる。この他にも、電力不足が予想される期間には「期間限定のイベント」としてより大きな節電を呼び掛けてみたり、涼しい場所を提供する大型施設への誘致を試みたり、出来ることは様々にありそうだ。楽しみながら節電が出来るような環境が準備出来れば、自然に15%も達成できるだろう。本ブログを通じて経産省への提案としたい。このうちのいくつかでも採用されていれば(もちろんアイデアは勝手に使ってもらって構わない)幸いだ。

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。

《深田浩嗣》

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