『勝利の女神:NIKKE』の成功に、初のコンシューマ進出となった『Stellar Blade』のヒットと、躍進を続けるSHIFT UP。その勢いは留まるところを知らず、2026年11月6日にはスイッチ2版『Stellar Blade(ステラーブレイド)』をリリースします。
3DアクションRPGとして国内外で高い評価を集めた『Stellar Blade』が、満を持してスイッチ2に登場。果たしてどんな作品に仕上がっているのか。また、どのような想いで開発にあたったのか。その背景をうかがうべく、同社の代表取締役社長を務めるキム・ヒョンテ氏へのインタビューを行いました。
しかし、インタビューの場に赴くと、まず手渡されたのは実機のスイッチ2。しかも画面の中には、スイッチ2版の発売に合わせて制作された『ベヨネッタ』コラボ衣装に身を包むイヴの姿がありました。

「まずは試遊をどうぞ」と、笑顔を浮かべるキム・ヒョンテ氏。予想もしていなかった、スイッチ2版『Stellar Blade』の試遊で幕開けを迎えた、前代未聞のインタビューをご覧ください。
「他のプラットフォームと同じ体験を」─スイッチ2版に込めたこだわり
――いきなりの試遊プレイで、興奮もまだ冷めやらずですが、手触りについてはインタビューのなかで伝えさせていただきます。一旦仕切り直しとして、まずは読者の方々に向けた自己紹介をお願いします。
キム・ヒョンテ氏:私は、SHIFT UPの代表であり、『Stellar Blade』のディレクターを務めるキム・ヒョンテと申します。この場をお借りして、皆さんとお会いできることを嬉しく思います。
『Stellar Blade』を開発するにあたり、すべての部分を統括してきました。また、ニンテンドースイッチ2版の開発においては、『ベヨネッタ』コラボの準備にも取り組んでおります。
──PS5版を開発されていた頃は、スイッチ2自体が発表されていなかったので、当時は任天堂のゲーム機に『Stellar Blade』を出すなんて、文字通り想像もしていなかったと思います。今回スイッチ2版を出すにあたり、率直な気持ちをお聞かせください。
キム・ヒョンテ氏:スイッチ系は、スイッチ2だけでなく初代も持っていますし、これまでの任天堂のハードウェアにも、とても愛情を持っています。
昔の私にとって、任天堂のハードウェアは夢のような存在でした。韓国では高くてなかなか買えなかったため、任天堂のゲーム機を持っている友達の家に遊びに行って、遊ばせてもらっていたんです。ちなみに、自分のものとして任天堂のハードウェアを手に入れたのは、Wiiが初めてでした。
長年憧れているプラットフォームだったので、任天堂のゲーム機に作品を出せるようになり、本当に感慨深いものがあります。
──それだけ想いのあるハードに出すとなると、目指すべきゴールも高いものになりそうですね。

キム・ヒョンテ氏:初めて任天堂のゲーム機に作品をリリースするにあたり、一番重視したのは、他のプラットフォームと比べたときに見劣りしない“同等なもの”“同じ経験”をお届けすることでした。
そのために操作感を大事にし、アクションの気持ちよさをうまく出すため、60フレームを極力維持できるよう努めました。すべてのシーンではありませんが、ほとんどのシーンで維持できるよう、最適化に力を入れました。
初の任天堂機へのデビューとしてユーザーの皆さんにお披露目した時に、良い印象を持ってもらえるように頑張りました。
――インタビューの前に、実機のスイッチ2で遊ばせていただくという、嬉しいサプライズをいただきました。10分ほどの体験でしたが、2年前にPS5版で遊んだ記憶と遜色なく、違和感はまったくありませんでした。この最適化には、本当に驚かされています。
キム・ヒョンテ氏:スタッフのみんなが本当に頑張った結果なのですが、最適化に関しては特に尽力してくれた主役がおります。最初はインターンとして合流してもらい、今は正社員になってくれているスタッフたちがいるのですが、本当に頑張って最適化に力を注いでくれました。
もちろんすべてのスタッフが全員頑張ってくれたんですけれども、特にコンバーティングの作業をしてくれたプログラム担当の人たちには、この場をお借りして改めて深く感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
――陰の立役者たちの尽力があってこそと。ここまでの完成度にたどり着いたスイッチ2版ですが、なぜスイッチ2にもリリースしようと決めたのでしょうか。

キム・ヒョンテ氏:ニンテンドースイッチ2が発表された時、この性能なら任天堂のゲーム機にも私たちの作品が出せるのでは、と考えました。
そして技術的に何度か模索してみた結果、いけるという手ごたえがあったため、「せっかくなら、より多くの人に届けたい」と想い、プロジェクトを進めたのです。
そう決心したのが、1年ちょっとぐらい前ですね。そして今、発売を目前に控えるところまでたどり着きました。
――チームの支えによって自信が得られて、踏み込めたわけですね。
キム・ヒョンテ氏:弊社のチームは『Stellar Blade』を開発しながら、非常に成長しました。その成長の結果を、このスイッチ2版でもお見せできると思います。
「安心して『Stellar Blade』に来てください」と推す本作のプレイ感
――スイッチ系のユーザーは、他機種と比べて年齢層が広めで、特に若年層も多いと言われています。本作は高難易度のアクションゲームなので、ユーザー層についての悩みや戸惑いはありませんでしたか?
キム・ヒョンテ氏:若い方々には、より能動的なプレイを求めるゲームが合うと考えており、『Stellar Blade』とも相性がいいと思っております。
ケースバイケースではありますが、例えば私の例で申し上げますと、昔は複雑なプレイを要求するゲームを好み、実際に遊んでいました。
ただ、会社の仕事がどんどん複雑になり、疲れ切った状態で家に帰ると、そこで手に取るゲームは、割とシンプルなものがいいなと思うようになりました。脳も休ませないといけませんし。
でも、若い方はエネルギッシュなので、同じように考えたらむしろ失礼ですよね。だから若い方には、逆に『Stellar Blade』がより合っていると思います。
一方で、「これはプレイするのが難しいな」と思う人のために、アクションゲームとしての手触り感は保ちつつ、難易度の調整ができるようなモードも設けております。アクションの腕前にとらわれることなく、幅広い方々にプレイしていただきたいですね。
――これは完全に私見で申し訳ないのですが、『Stellar Blade』は高難易度アクションに含まれつつも、そのジャンルの中では比較的易しく、“高難易度アクションの入門用”として最適かつ絶妙な難易度を誇っていると受け止めています。
そうした作品だからこそ、スイッチ2版の存在意義は大きいと個人的に考えており、SHIFT UPから強くアピールしてほしいと願っていました。

キム・ヒョンテ氏:私も、その部分を応援したいという気持ちが強くありまして、指摘していただきありがたいばかりです。
『Stellar Blade』は、いわゆるソウルライクのようなゲームではありません。一見すると、死にゲーじゃないかと思えるかもしれませんが、慣れていくにつれ、システムがユーザーを支えてくれます。
手ごわさを求めてアグレッシブにも遊べますし、少し余裕を持ってゆっくり楽しむこともできます。自分の好みや気分に合わせながらどんどん前に進んでいける、そういったゲームになっています。
ハードルの高さを感じている方がもしいらっしゃったら、安心して『Stellar Blade』に来てくださいとお伝えします。きっと気がついたら、本作のバトルにはまっていると思います。
──新たな層にも広がってほしいばかりです。そうした期待を集めるスイッチ2版について、苦労した点として最適化を挙げていただきましたが、逆に良かった点はありますか?
キム・ヒョンテ氏:最適化に悩まされましたが、解像度とフレームレートの間で良質なバランスを取れたと実感しています。その苦労の甲斐があり、TVモードだけでなく、テーブルモードや携帯モードでも楽しめるようなゲームになっていると、胸を張って言えます。
スイッチ2というハードの魅力は、やっぱり手に持ってプレイできるところなので、ベッドの上でゴロゴロ寝そべってプレイできるのは、代えがたい魅力がありますね。
――これからは、ベッドに寝転がりながら『Stellar Blade』が遊べますね。もちろん、携帯して友達と一緒に楽しんでもいいですし、お互いハードとゲームを持っていたら、「同じボスをどちらが早く倒すか」みたいな競争もできるかもしれません。

キム・ヒョンテ氏:そのお話とまったく同じ形ではありませんが、開発チームの中でも競争して楽しんだりしていました。確かに、友達と一緒にそういうのをやっても楽しそうですね。
ただ、私はあまり友達がいないので、家でひとり寂しくプレイしますが(笑)。
――ひとりで遊んで楽しいのが『Stellar Blade』ですから!(笑)
キム・ヒョンテ氏:(笑)
――スイッチ2版といえば、本作のアクティビティがJoy-Con 2のモーション操作に対応しているとのことですが、具体的に教えていただけますか?
キム・ヒョンテ氏:まず大前提として、他のプラットフォームと違う経験を提供してしまうと、プラットフォーム間で差が出てしまいます。そういった要素は極力避け、どのプラットフォームでも同じ体験を楽しめるように開発しています。
そのため、他のプラットフォームと比べてプレイ経験やプレイの質が落ちないようにという方向性の延長線としてJoy-Conをサポートしているのですが、例えば釣りのミニゲームや、『勝利の女神:NIKKE』コラボのTPSシューティングシーンでエイム操作に対応させ、Joy-Conを生かした部分はあります。
――ちょっと大きな投げかけになってしまいますが、スイッチ2版を遊ぶ際に「ぜひここに注目してほしい」というポイントをお聞かせください。

キム・ヒョンテ氏:今までは、テレビに映っている主人公(イヴ)を見ていました。しかし、スイッチ2版の携帯モードなら、イヴの姿が手元にあり、より近い距離で見られるようになります。その「近さ」の臨場感も、ぜひ味わってほしいですね。
あと、もうひとつおすすめしたいのが「衣装」です。『ベヨネッタ』のコラボ衣装を含め、たくさんの衣装が実装されています。
キャラクターの衣装の表現にも本当にこだわりました。その衣装に合ったモデルさんを探して撮影をしており、7人くらいのモデルさんが関わっています。
そのため、服の紐や肉の食い込みの表現といった細部の再現にも力を入れることができましたし、その服が映えるようなスタイルのモデルさんに着てもらうことで、臨場感のある魅力を引き出すことができました。
試行錯誤とこだわりを重ねて作り上げたイヴの衣装を、スイッチ2でもぜひじっくり見てほしいですね。
ただ、こういう話を任天堂さんが喜んでくれるかというと、ちょっと微妙ですが(笑)。
──任天堂さんには、みんなで内緒にしておきましょう(笑)。
最後の1着「Black Tresses」を、まさかの“インタビューでお披露目”!
──スイッチ2版の発売に合わせ、『ベヨネッタ』コラボ衣装4着の実装も発表されました。そのうち3着は、ゲーム内ビジュアルもお披露目されましたが、残り1着はまだ未発表ですよね。こちらは、いつ教えていただけますか。

キム・ヒョンテ氏:実は、今回のタイミングでお伝えしようと思いまして。最後の1着「Black Tresses」は、私がデザイナーとして関わった描き下ろしのオリジナルコラボ衣装になります。
──コラボ衣装なのに、オリジナルなんですか? 『ベヨネッタ』コラボ衣装に関して、詳しくお聞かせください。
キム・ヒョンテ氏:まず、『ベヨネッタ』コラボについてですが、「『ベヨネッタ』を愛する人たちが見たときに納得できるクオリティ」で作ることを目標にしました。
アクセサリーにあしらわれている模様や衣装を彩る飾りなどは、文字なんですよね。その文字もしっかり表現できるよう、細部まで気をつけています。そうした再現を積み重ねて、『ベヨネッタ』の魅力をしっかりイヴが受け継げるように力を入れました。
──さきほど見せていただいた実機の画面でも、『ベヨネッタ』の衣装が『Stellar Blade』の世界にしっかりと馴染んでいると感じました。

キム・ヒョンテ氏:そして、このタイミングで発表するオリジナル衣装「Black Tresses」は、こちらでデザインしていますが、『ベヨネッタ』の世界にこの衣装があっても浮いたりはせず、「おかしくないよね」というものにし、溶け込めるよう注力しました。
とことん『ベヨネッタ』の世界観に合わせてデザインしたつもりです。だから、ぜひ『ベヨネッタ』の衣装でもプレイしていただきたいと思います。
――「Black Tresses」は、「『ベヨネッタ』の世界にコラボレーションしたイヴ」のようなデザインなのでしょうか?
キム・ヒョンテ氏:いろいろな見方ができると思っています。例えば、イヴが『ベヨネッタ』の世界に登場するなら、こういう服を着るだろうなっていう意味にもなりますし、ベヨネッタが着てもおかしくない服だ、という意味にもなり得ると思います。

──ある意味、相互コラボレーションのようなデザインなんですね。『ベヨネッタ』の世界でも、この衣装をまとったイヴが見たいものです。
キム・ヒョンテ氏:では、このインタビューが終わったら、プラチナゲームズさんにお邪魔して、「これゲームに入れてもらえませんか」ってお願いしないと(笑)。
――万が一でも希望があるなら、全力でお願いしたいです!(笑)
キム・ヒョンテ氏:じゃあ、やっぱりプラチナゲームズさんに行かないといけないですね(笑)
『BLOOD RAIN』が広げる『Stellar Blade』の世界
――まだまだお話を伺いたいところなんですが、残り時間が少なくなってしまったので、最後の質問をさせてください。
スイッチ2版が出ると、より多くの方が『Stellar Blade』という作品を魅力的に感じ、現在開発されている『Stellar Blade BLOOD RAIN』に興味を持つ人がさらに増えると思います。その『Stellar Blade BLOOD RAIN』は、果たしてどのような作品になるのでしょうか。

キム・ヒョンテ氏:まだ今は、『BLOOD RAIN』に関して多くは語れません。ただし、『BLOOD RAIN』をプレイしていただくと、皆さんのなかで1作目の『Stellar Blade』の物語がよりはっきりとイメージでき、深いところまで理解できるようになると思います。
もちろん、『Stellar Blade』をまだ遊んでいない方が『BLOOD RAIN』から遊んでいただいても、十分楽しいゲームになります。
しかし、『Stellar Blade』をまず遊んでから、次に『BLOOD RAIN』を手に取っていただくと、いろいろなところで魅力に気づく機会が生まれますので、ぜひ両方プレイしていただきたいですね。その際は、1作目の『Stellar Blade』からプレイし、その後『BLOOD RAIN』をプレイしていただくのがおすすめです。
――2作品の構成が『Stellar Blade』という世界全体を広げ、プレイヤーはその広がりを追っていくことで、さらに深い体験ができると。
キム・ヒョンテ氏:より深く楽しめる世界になっていきます。そして、「この時代の地球って本当に興味深い、興味津々なところだな」というふうに思えるようなものになるように作り込んでいますので、ぜひ楽しみにしておいてください。
――スイッチ2版『Stellar Blade』の発売と、『BLOOD RAIN』の続報、どちらも楽しみに待っています。本日はありがとうございました!

取材協力:SHIFT UP







