Googleは8月26日(日本時間27日未明)、音声テキスト変換モデル「Gemini 3.5 Transcribe」を発表しました。
Gemini 3.5 Transcribe は、従来のいわゆる音声認識をAIで補い、話し言葉を清書レベルに整えてくれる文字起こし・音声入力モデル。
文脈を読んだ適切な単語選びや、「あー」や「えー」などフィラーワードの除去、言い直しの反映、箇条書きやカッコの対応といったフォーマットの推定など、散漫な話し言葉を整った書き言葉に変換できる点が特徴です。
すでにPixel 11シリーズの目玉機能のひとつである「AI音声入力」(英語名Rambler)や、先月末からmacOS版Geminiアプリに加わった音声入力機能「Speak to Window」として利用できるようになっており、今回の発表では機能の詳細と今後の展開、API提供や開発者向けプレビューなどが明かされました。
■ 高い認識精度と「言い直し」対応、散漫な話し言葉を清書
Gemini 3.5 Transcribe の特徴は、
・ノイズに強く、精度の高いテキスト変換
・専門用語など文脈を読んだテキスト化
・言い直しの反映、フィラーワードの除去
・箇条書きやカッコ対応など、フォーマットを適用した清書
・誰が話したかを認識、タイムスタンプごとに分ける話者分離(3人まで、4人以上は試験提供)
・カスタム語彙辞書への対応
・内容に応じたファンクション呼び出し(他のモデルに画像生成させる等)
・85以上の言語や地域アクセントの自動認識に対応

スマートフォンを二台並べて話した簡易的な比較がこちら。左の従来型音声入力では、Google Pixelmator や iPhone 7 Pro Maxなど謎のスマホ名が登場するのに対して、Gemini 3.5 Transcribeでは正確。
「どちらもキーボードはキーボード」→ 「どららもキーボードはGbord」
「英語だと1部はという機能」→ 「英語だと「Rambler」という機能」
など、文脈を読んで認識できています。
注目は「いわゆるフィラー(あー、うー)」の部分。ここは実際に「いわゆるフィラー、あーとかうーとかが」と発音しています。
従来型では「いわゆるフィラーが」と無視した形に文字起こししている、つまりフィラーを「正しく」、機械的に除去しているのに対して、後者のAI音声入力では文脈的に必要だと判断して、「いわゆるフィラー(あー、うー)が」と、カッコに入れて残しています。
最後の「読み取って無地に文字に」は、言い淀んで言い直した部分。前者では意味が通じないまま書き起こしですが、AI音声入力では後から言い直した「文字に」を残しています。
Gemini 3.5 Transcribe モデルそのものというより、Gboard AI音声入力の機能としては、入力後に音声で特定の場所を編集したり、文章全体のスタイルを書き換えさせる等にも対応。
Gemini や ChatGPT、Claudeなどのチャットでテキストを書き換えるような動作を、任意の入力欄で使えます。
■ 使えるアプリやプラットフォーム
| 提供面 | 対象・条件 | 地域 | 言語 |
|---|---|---|---|
| Gboard「AI音声入力」(Rambler) | Pixel 11シリーズほか対応端末 | 一部の国 | 日本語を含む11系統 |
| Geminiアプリ(macOS) | 全ユーザー、Fnキー長押し | 全世界 | 英語のみ |
| Google Antigravity | 開発者向け・公開プレビュー | 記載なし | 記載なし |
| Google AI Studio | 開発者向け・公開プレビュー | 記載なし | 85以上のロケール |
| Gemini Enterprise Agent Platform | 法人向け・公開プレビュー | 記載なし | 記載なし |
| Chrome | 未提供 | 時期未定(まもなく) | 記載なし |
▲ 使える端末・アプリと時期
・Pixel 11シリーズ: Gboard更新後、設定から「AI音声入力」を選び、星がついたマイクアイコンのタップで有効になります。対応言語に日本語を含み、編集部のPixel 11でも動作を確認しました。
・macOS版Geminiアプリ: 権限を与えてSpeak to Windows機能を有効にすると、ショートカットキーであらゆるアプリやウィンドウのテキスト入力エリアでAI音声入力できるようになります。(既定でFn地球儀ボタン)。
・開発者向け(Google AI Studio、Antigravity): 公開プレビュー中
2026年5月のGemini Intelligence 発表では、機能のひとつとして AI音声入力を挙げ、最新Galaxy端末への展開を予告済み。
Geminiを含むGoogleアプリ・サービスの話として、提供地域・プラットフォームでも段階的な提供になることはよくあるため、提供が始まっても多少待つ必要があるかもしれません。
・Chrome、Gemini Enterprise for Customer Experience: いずれも「近日提供」で時期は未定です。
■ 認識精度は過去最高(※自社比)
Googleは Gemini 3.5 Transcribe について、Artificial Analysisの計測で単語誤り率(WER)がストリーミング4.0%、非ストリーミング2.6%を達成したほか、従来の Chirp 3比で最終確定までの時間は70%改善したと説明しています。
ただし、Artificial Analysisの非ストリーミングのリーダーボードでは2.6%は5位です。上位にはFun-Realtime-ASR-preview(1.7%)、ElevenLabsのScribe v2(2.2%)、MicrosoftのMAI-Transcribe-1.5(2.4%)、Smallest AI Pulse Pro(2.4%)など、わずかな差ではあるもののさらに優秀なモデルが並びます。
■ APIは2系統、音声1分あたり約0.005ドルから
開発者向けには録音済み音声用のgemini-3.5-transcribeと、双方向ストリーミング用のgemini-3.5-transcribe-liveを提供します。日本語を含む85以上のロケールを自動判別し、最大1000語のカスタム用語を登録できます。
話者分離の人数は、APIドキュメントでは最大8人(3人以上は実験的)。音声の長さは1時間まで、話者分離やタイムスタンプを有効にすると30分までに制限されます。
価格は推定値で、録音済みが約0.005ドル/分、リアルタイム版が約0.009ドル/分です。いずれも無料枠を設定しています。







