『ウマ娘』『ブルアカ』は納得感のあるトラブル対応でユーザー増―ゲームエイジ総研の調査より | GameBusiness.jp

『ウマ娘』『ブルアカ』は納得感のあるトラブル対応でユーザー増―ゲームエイジ総研の調査より

ゲームの長期運営にはつきものであるトラブル。『ウマ娘』と『ブルーアーカイブ』がその対応で逆にユーザー数を増やしていたことが分かりました。

企業動向 発表
『ウマ娘』『ブルアカ』は納得感のあるトラブル対応でユーザー増―ゲームエイジ総研の調査より
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ゲームエイジ総研は『ウマ娘 プリティーダービー』と『ブルーアーカイブ』に関する調査結果を報告しました。

長期運営が前提となっているモバイルゲームビジネスでは、システムの不具合や配布・報酬アイテムの設定ミスなどがしばしば起こります。そして、そういう時は運営のトラブル対応力によって、ユーザーの運営に対する信頼度が大きく左右されます。

ゲーム内イベントによるアイテムの配布・報酬に設定ミスを発生させたことがある『ウマ娘』と『ブルーアーカイブ』はどのような対応を行ったのか。そしてその結果、ユーザー数はどのように変化したのか? 同社のアプリログ自動集計/分析システム「iGage(アイゲージ)」で見ていきましょう。

利用データ:iGageデータ

調査期間:2022年3月30日~10月31日

イベント報酬日の誤配布でユーザー数が伸びた『ウマ娘』

ウマ娘』は、2022年4月1日から4月4日までの期間にゲーム内イベント「みんなでトップウマドルプロジェクト」を開催。全ユーザーが育成モードをプレイして獲得した「ファン」の総数に応じた報酬を、イベント終了翌日の4月5日にまとめて獲得できるイベントとなっていました。

しかし、いざ報酬が配布されると、本来の報酬であった「サポートPt」ではなく、より希少性が高い「サークルPt」が配布されるミスが発生してしまいました。

運営は発生後1時間未満で緊急メンテナンスを実施するなど迅速な対応を行いましたが、平日とはいえログインしやすい昼休みの時間帯であったこと、この話題がTwitterのトレンド入りしたことなどが影響し、非常に多くのユーザーがログインして「サークルPt」を受け取ったものと思われます。

最終的に運営は4月5日中にロールバック(全ユーザーの一部データを一定の期間の段階まで戻すこと)を行い、正しいイベント報酬アイテムの配布、緊急メンテナンスのお詫びアイテムの配布などが行われました。

iGageでこの期間のDAU(デイリーアクティブユーザー)の推移をみると、イベントが開始された4月1日は196万人と、ユーザー数が最も多くなっています。2日~4日のイベント期間も170万人以上と高い水準でアクティブユーザー数をキープしています。

そして配布ミスがあった4月5日は186万人と、イベント期間中より10万人以上多いユーザーがログインしていたことが分かりました。【グラフ1

「ヤケクソ補填」でユーザーが伸びた『ブルーアーカイブ』

ブルーアーカイブ』は、10月26日から11月9日にかけてゲーム内イベント「Get Set, Go!」が開催されました。10月22日には本イベントに関する生配信が行われ、期間限定のキャラクターの実装などもあったため、ユーザーの間で話題となっていたイベントです。

しかしイベント初日となる26日に報酬アイテムの量に大きなミスがあり、イベント開始から2時間で緊急メンテナンスが開始されました。

メンテナンスが終了したのは深夜で、イベント報酬アイテムの数に大幅な下方修正が入りました。お詫びのアイテム配布などが行われましたが『ウマ娘』のように一定の日にまとめて報酬を獲得するタイプではなく、プレイ中に随時報酬を入手できる形式であったため、メンテナンス前にプレイしたユーザーが大きく得をする結果になりました。

そのような経緯から「報酬数の下方修正」を意味しり「報酬ナーフ」などがTwitterでトレンド入りに。ユーザーからの不満の声を重く見たか、10月27日の深夜3時に統括プロデューサーによる経緯説明とお詫び、そして、追加の補填内容が掲載されました。

そしてその補填内容があまりにも充実していたため、今度は「ヤケクソ補填」などのワードがトレンド入りするという現象が見られました。そこに『ブルアカ』公式Twitterのフォロワー数50 万人突破の記念アイテム配布も重なったため、10月27日には非常に多くのアイテムが配布される結果となりました。

iGageDAUを見ると26日のアクティブユーザー数は27万人と、前日の25日より4万人ほどユーザー数を伸ばしています。しかしトラブルが起きて実際に多くのアイテムが配布された27日は37万人となっており、イベント開始日より10万人もDAU数が増加しています。【グラフ2

また、その週に獲得した新規・復帰ユーザー数を見ると、トラブルがあった10月24日の週には新規・復帰ともに10 万人以上のユーザーを獲得しています。【グラフ4

一般的にアプリゲームにおいて大きくアクティブユーザーが増加するタイミングは「周年」、「ハーフアニバーサリー」、「年末年始」などが挙げられますが、7月20日から8月3日にかけて行われた1.5周年イベント「出張!百夜堂 海の家FC計画」で獲得したユーザー数【グラフ3】をはるかに超えていることが分かります。


今回は『ウマ娘』と『ブルーアーカイブ』における配布・報酬の設定ミスと、それによって生じたユーザー数の変動に関してiGageのデータを用いて見てみました。

結果としてどちらもユーザー数を増加させてはいますが、両社のトラブル対策には違いが見られました。ユーザー間の格差とゲームバランスが崩壊しないことに重点を置いた『ウマ娘』は、ロールバックという全ユーザーに対して平等な解決方法をとったことや、対応が早かったこともあり、大きな問題には発展しませんでした。

一方で『ブルーアーカイブ』は、誤配布された数以上のアイテムをお詫びとして配布することで、新規・復帰ユーザーを多数獲得。しかしロールバック等の処理は行われなかったため、ユーザー間のアイテム獲得数に差が生じることとなり、一部に不満が残る結果となりました。

トラブルを発生させないことが第一ではありますが、長期間にわたるゲームの運営上、不具合や設定ミスを完全に排除することは難しいと考えられます。万が一それが起きたとき、どのようにユーザー対応をするのかは重要な課題です。その対応次第で運営に不信感を持ち、離脱するユーザーが発生してしまうことが最悪の結果と言えるでしょう。

トラブルが発生した場合にスピーディーな「お詫び」と公平感のある「代替案・解決策」を提供するのは不可欠な基本手順です。そして、それを実施することでユーザーの不満を満足に転換し、企業ブランドや提供サービスの信頼度向上につなげていくのも、また運営の重要なミッションといえる……とゲームエイジ総研はまとめています。

《蚩尤》

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