E3 2018を裏読みして総括。WHO「ゲーム依存症」認定の影響は?【オールゲームニッポン】 | GameBusiness.jp

E3 2018を裏読みして総括。WHO「ゲーム依存症」認定の影響は?【オールゲームニッポン】

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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。

山崎6月です。よろしくお願いします。今月はロスアンゼルスでE3 2018が開催されて私も取材に行ってまいりました。まずはE3の話題でよろしいでしょうか?


安田そうしましょう。さっそくですが、山崎さんはE3ではどんなトピックスが気になりましたか?

山崎新ハードの発表があるのか注目されましたが、ご存知のようにそれはありませんでした。マイクロソフトが新たなXboxを開発中であることを明らかにしましたが、想定内のことでもあるので特に大きなニュースにはなっていません。報じられたほとんどのニュースがフランチャイズタイトルの続編の発表でした。現地の様子ですが『バイオハザード2リメイク』への期待が大きいように感じました。個人的にはデビルメイクライの新作(『デビルメイクライ5』)が発表されたのはうれしかったですね。


安田『Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)』(仮称)も話題になっていましたね。

山崎はい。いわゆる新規 IP では一番話題になったのは『Ghost of Tsushima』かもしれません。

平林「元寇」という過去にあまり例のない題材をゲームにしましたよね。対馬が舞台でサムライと刀。日本のゲームが世界で注目されることを願っている私の立場から言うと、応援したくなるゲームです。私たちの世代は「元寇」と教わりましたが、今の教科書には「蒙古襲来」と載っていて「元寇」という言葉は使わないそうです。そんなこんなで歴史解釈が難しい題材でもあるので、今後どんなストーリーになるのか、ちょっとヒヤヒヤしながら見守ろうかと思います。


山崎平林さんはどんなトピックスに注目されましたか?

平林すいません。私はE3には行かないで、東京で「裏E3」というトークイベントを行っていました。

山崎「裏E3」ってなんですか?

平林正式発表をストレートに報道するのが「表のE3」だとすると、それだけでは物足りない人向けに、報道されていないことを裏読みしてみようという試みです。

山崎おもしろそうですね。そこでは、どんなお話をされたのですか?

平林今年の E 3で、ほぼ決定的になったかなと思うことがあります。残念なことですが、携帯ゲーム機の時代は終わりが近づいているのかもしれません。ニンテンドー3DS、プレイステーション・ヴィータの後継機の発表はありませんでした。つまり1989年、ゲームボーイの発売から始まった携帯ゲーム機は約30年をかけて役割を終えて、今後は静かにフェードアウトしていくような気がします。


安田やはりそうなりますかね。じつは僕も「携帯ゲーム機は、将来なくなりますか?」と最近インタビューで質問されたことがありましたが、「そうなって欲しくはないし、なくならないだろう」と個人的な見解を述べていたんです。

平林はい。心情的には私も安田さんと同じです。もちろんなくなってほしくないという気持ちはありますが、冷静に考えると悲観的な見方をせざるをえません。

安田ソニーの新型のXperiaはプレイステーション4のリモートプレイができて、さらに最近ではXperia専用コントローラ(Xperia用ゲームコントローラーマウント「Xマウント」)も発売されました。スマホの進化は着々と進んでいますからね。

山崎携帯ゲーム機についてですか。あとはどんな話をされたんですか?

平林「裏E3」ではコンソールの次世代機の予想もしてしまいました。これもまた問題発言かもしれませんが、プレイステーションもXboxもゲーミング PC とあまり変わらない性能になるのではないのか? そんなこと言っちゃいました。

山崎大胆発言ですね。

平林日本の市場だけ見ていると気づかないのですが、ワールドワイドで見ると PC ゲームの市場は巨大です。ざっくり言ってしまうと、約10兆円強のゲームソフト市場のうち、3分の1はコンソールゲーム、3分の1はモバイルゲーム、そして残りの3分の1が PCゲームです。で、いわゆるトリプルAのタイトルは すべてPCゲームとして発売されています。それらのPCゲームが稼働するコンソールゲーム機になるのは、避けられない流れではないか。そんな話をしました。

安田平林さんの言うようにコンソールゲームが PC ゲームと同じになるかどうかはともかく、PCゲームの存在感が増しているのは確実ですね。

平林はい。そして「裏E3」では、そもそもE3は時代の流れに合っていない、という身も蓋もない話をしています。

山崎えっ?

平林E3、またE3の前身のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)は、そもそも年末商戦のために開催されてきました。昔のファミコンソフトやスーパーファミコンソフトは、ロムカートリッジの製造期間が長くて、数ヶ月もかかりました。なので、年末商戦にソフトを発売するためには6月頃に販売店から受注する必要があったのです。そのためのビジネスショーがE3です。

山崎だからE3は6月上旬に開催するんですか?

平林そうですね。ロムカートリッジ時代の慣習を引きずっているE3とも言えるわけです。

山崎なるほど。「裏E3」の様子がなんとなくわかりました。ところで、E3から離れてどうしてもお話を聞きたいテーマがありまして。

安田何ですか?

山崎今月、6月18日でした。WHO(世界保健機関)がゲーム依存症を精神疾患に認定したというニュースが飛び込んできました。この認定についてはどうお考えですか?


安田今から10年以上まえのことですが、「ゲーム脳の恐怖」という本がかなり売れて、ゲームが社会悪のような扱いを受けた時期がありました。今回の認定があっても、あの時のようなバッシングは起きないのではないでしょうか。認定されたというのは、依存症についてですよね。

山崎はい。1:ゲームがそのほかの日常生活に優先し、2:問題が発生してもゲームを継続、あるいはさらに優先度を高め、3:それによって個人的、社会的に重大な障害をもたらす、4:このような反復的行動が少なくとも12か月にわたって継続する状態……をゲーム依存症と定義しているようです。

安田依存症というのは、対象となる人口が多ければ避けられない問題ともいえます。アルコールやギャンブル、あるいはスポーツでも依存症になることもあると聞いたことがあります。つまり、ごく少数の人が依存症と認定されるのはいたしかたない、むしろ自然なことで、この認定があったからといってゲーム=社会悪にならないと思うんですね。

平林私もそう思います。「ゲーム脳の恐怖」は、ゲームを遊ぶと誰もが「ゲーム脳」になってしまうかのような、あらぬ誤解を与えました。それで日本全国の学校でゲームバッシングのような現象が起きました。ですが、この「ゲーム脳」は科学的ではないという批判を受けて沈静化しています。今回の認定はセンセーショナルに、「ゲーム脳」になると恐怖を植えつけるではなく、限定的な人や事象を対象としているので、混乱は起きないでしょう。

安田「ゲーム脳の恐怖」が発行されたのはいつでしたか?

平林2006年ですね。

安田当時はまだゲームのことをよく知らない親御さんが多かったと思われます。したがって「ゲームが悪い」というよりは、「ゲームのことがわからないから恐い」という心理があったような気がします。ですが、あれから10年以上過ぎて、親の世代もほとんどの人がゲーム体験をしています。ゲームには効用がいくらでもある。過度にやりすぎなければいい。そんな感じで冷静に受け止めてくれると思いますね。

いきなり話は飛びますが「ハウス・オブ・カード」というドラマがありますよね。大統領がゲームでストレスを発散する場面がよく出てきます。あのシーンは、大人が適度にゲームを楽しむ時代の象徴のように思えるんです。

山崎わかりました。インサイドでは、ゲームが人に良い影響を与えていることをこれからも伝えていきます。どうもありがとうございました。
《平林久和@インサイド》

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