【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起 4ページ目 | GameBusiness.jp

【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起

ゲームに限らず、音楽、映画、小説など、エンタテインメントのジャンルで大きなヒットコンテンツに関わったとき、その人々の人生が変わることがある。その振れ幅が大きいほど、その人やその周りの環境、そして、人生そのものに善きに悪しきに影響をもたらす。

ゲーム開発 研究開発
【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起
  • 【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起
  • 【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起
  • 【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起
  • 【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起
  • 【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起
  • 【対談】『にょきにょき』コンパイル〇仁井谷正充の人生―成功と失敗から再起

■『にょきにょき旅立ち編』 11月16日発売


黒川:それを経て、『にょきにょき 旅立ち編』が…

仁井谷:11月16日発売です。

黒川:このゲームをご説明いただけますか?コマーシャル映像(以下CF)も作ったんですよね。

仁井谷:テストプレイをしている時に、今ネット系の声優さんっていらっしゃるんですね。その方々が、まずはお試しで、「とりあえず、お手伝いしますよ」みたいな事で、じゃあ「ラッキー」という事で、CFのナレーションもお願いしてやってもらったんです。

黒川:先ほどのCFもそうですけど、いろんな方が仁井谷さんのサポートをしてくれているわけですね。

仁井谷:そうですね。そこはありがたいですね。ゲームの説明をしますが、まず、何故?『にょきにょき』を作ったか?というと、『ぷよぷよ』に関してはプレイするうえで壁があるんですよね。壁が二つありまして、一つは連鎖なんですね。

『ぷよぷよ』は連鎖の概念が、最初分かりづらい。特に小学1年生とか、小学3年生、出来ない。最近聞いた話だと、中学生に『ぷよぷよ』やったんだけど、「連鎖がここまでやっと出来た」みたいな方が、たくさんいらっしゃる。もう一つは、ちょっとそれが分かっても、初心者の遊ぶ人と、全国でトップ10に入る方と、対戦やると100対0で圧倒的に負けちゃう。そこが何とかならないか?と言うのが、開発のポイントでした。実は『ぷよぷよ』から『ぷよぷよ通』の時、『ぷよぷよ』は、スーパーファミコンで200万本売れたと、次に、『ぷよぷよ通』で100万本売れたと、この100万本の差は何か?が、ある意味で、私の人生の宿題、あるいはライフワークみたいなもので。そこの回答は何かな?と言う。難しい算数を解くような、それが私のテーマだった。

その時、一つの回答として、連鎖という事を「1色でやれれば良いんじゃないの?」と。例えば、横に並べる。横に並べるのは簡単じゃないですか?1個、2個と並べれば、それが連鎖に相当する。後は縦に伸びて、縦に伸びたのと、横の連鎖みたいなのを掛け算すれば、ある数字。これ算数の話になっちゃうんで。私はどっちかと言うと、理系なんで、私の中で、基本的に数式がすべてなんですね。

横に連鎖をして、縦の長さを掛け算すると数字出るから、それで連鎖に近い破壊力出るから、「これゲームになるかな?」と思って、6年くらい前から作り続けて。プロトタイプを作って、売ろうという中で、中々売る形まで作れなくて、テストプレイで遊んでもらうと、今までのゲーム作った時と全然違う。

何が違うか?と言うと、一言でいうと、遊んだその日から、みんな分かってもらえるし、大きな声で、みなさん声出すし。初心者と上級者が、お互いに対等に戦える。色んな戦いで、勝ったり、負けたり、逆転に次ぐ逆転みたいな、そんなのが初日にすべてできちゃう。そんなのは見たことが無い。観客が5人いれば5人だし、10人、100人いても、恐らくここに居らっしゃるみなさんも、今見てもらうと、このゲーム何か、だいたいわかってもらえるかな?と思ってるので。そんなパズルゲーム見たことが無い。『にょきにょき』は、ひょっとしたら売れるんじゃないかな?と思っているんです。

■お金がぐるぐる回ればリメイクや新作を準備したい

仁井谷:まだ未確定な部分もあるんですけど、ある携帯系のゲーム会社さんと、これから話をすると思うんで、それが上手く行けば、1~2か月後か?半年後か?3か月後か?分からないけれど、発表する可能性も今出てるんです。

黒川:『にょきにょき』のスマホ版という事ですか?

仁井谷:そうです。

黒川:凄い展開になって来ましたね。

仁井谷:それが決まれば、もう行けちゃうだろうと思ってる。

黒川:それは凄いですね。そうすると、また仁井谷さん、人生が大きく変わりそうですね。

仁井谷:まあ、一応手元にお金が入ればね。『ぷよぷよ』の時感じたのは、これはゲーム業界の、ゲーム系の、囲碁・将棋。特に囲碁に匹敵するゲームだと思ったんですね。だけど、さっき言ったように、「ぷよには二つの壁がある」と、連鎖と、初心者と上級者が対等に戦えない。このゲームは対等に戦えたのが、もうテスト済みなんですね。それが出来たので、次はPCでeスポーツ化したいと思っています。それが最後の出口かな?

それでお金がぐるぐる回れば、携帯系とかで、ちょっとずつお金が回っていれば、昔やっていたようなディスクステーション系のゲームも、ちょっとずつリメイクとか、あるいはいろんなアイディアを集めながら展開していきます。和は遊べるゲームしか作りたくないんで。携帯でも、みなさんが遊んでもらえる、対戦で遊べる、行った環境作って。で、どんどん対戦してもらえるものを作りたいなと思ってる。

黒川:仁井谷さんの変わらなさと言うのは、素晴らしい事ですね。

仁井谷:だって、自分人生観とか、みんなさんいつも変わらなかったでしょ。

黒川:でも、一般的に見たら、会社が倒産されたり、整理されたりという中で、さらに自身がやりたくないかもしれないけれど、警備系のアルバイトのお仕事されたり、いろんなことされて、またこうやって今作られて、またさらに前向きなお気持ちを維持しているというはなかなか出来ないと思いますが。

■ゲーム作りに対しては、自信があった

仁井谷:要するにコンパイルでの失敗と言うのは、組織を作るのは失敗しているけども。失敗の要因は資金ショートだと思っているので、ゲーム作りに対しては、自信があったんで、未だにコンパイル・ファンが仰るのは、昔のコンパイルが作った作品、ディスクステーションにあるゲームとかは、「未だに遊べる」と仰っていただいているので、そこは自信があるんですよね。モノを作る自信があるんで、じゃあ、へこたれる必要はないんで、そこですよね。自分としては人生観を変えるつもりもないし、ある意味人生観として達観してるから、「ある程度世の中が見えてきたかな。」
これが二十歳で分かってたら、全然違うんだけどみたいなのはありますけどね。

黒川:でも、その年齢の時点でコンパイルと言う会社で、一度成功されていますからね。

■世界平和を目指す仁井谷正充氏

仁井谷:と言うよりも、全然違う話で言うと、「世界平和ってこんなんじゃねーの?」と言う、答えは当時は出ないから、今は思ってるんで、そこは全然違うんだろうと思うんですね。

黒川:今度は世界平和ですね。

仁井谷:そうです。

黒川:なるほど。今日は貴重なお話をありがとうございます。

仁井谷:ありがとうございます。

会場協力 DH(ディッジ)ムービー
http://www.dh-movies.jp/

■対談後記 黒川文雄


仁井谷さんとは今回が初対面でした。メディアを通じてコンパイル時代からの活躍は存じ上げておりました。コンテンツで、ひとつの時代を築かれた経営者として、クリエイターとしてその存在は特別な方でした。いつかお会いしたいと思っておりました。

今回のトーク・セッションでは自分のなかで当時を振り返って聞いてみたかったこと、これからのことを中心にお話を伺いました。起業を試みようという若者や苦難や挫折を感じたときには勇気をもらえるようなお話も聞くことができました。
ご本人は挫折とは感じないその精神力のタフネスさが、今回の『にょきにょき』に至る展開をもたらしたのではないでしょうか。

諦めない限り終わりではないということを改めて感じさせてくれたセッションでした。

黒川文雄
1960年12月4日生まれ。メディアコンテンツ研究家。黒川塾主宰。アポロン音楽工業、株式会社ギャガコミュニケーションズ、株式会社セガエンタープライゼス、デジキューブを経た後、株式会社デックスエンタテインメントを設立。ブシロード・副社長、NHNJapan(現在のNHNPlayart/LINE)、を経て、株式会社ジェミニエンタテインメント代表取締役。現在に至る。ゲーム業界だけに限らずエンタメ界で「熱い人」とトークをするイベント「黒川塾」を精力的に開催中。メディアコンテンツ研究家、ジャーナリスト、コンテンツプロデューサー。コンサルタント、アドバイザーとして活躍中。
《黒川文雄》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら