VIZメディア、北米に24時間の日本アニメチャンネル・・・家庭用ゲーム機からスタート | GameBusiness.jp

VIZメディア、北米に24時間の日本アニメチャンネル・・・家庭用ゲーム機からスタート

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2012年秋に、米国とカナダで日本アニメの流通で大きな挑戦が始まる。米国でアニメやマンガの発売、キャラクターライセンスを手がける大手企業VIZメディア(VIZ Media)は、家庭用ゲーム機を通じた24時間のアニメチャンネル「Neon Alley」を今年秋からスタートすると発表した。

Neon Alleyは、アクションやアドベンチャー、SF、ファンタジーなど日本の幅広いアニメをラインナップする。視聴料金は月額6.99ドルで、見放題でサービス提供する。サービス立ち上げにあたっては、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』、『犬夜叉完結編』、『デスノート』などの定番人気作品、さらに『TIGER&BUNNY』、『ZETMAN』、『ぬらりひょんの孫』などの新作、『ベルセルク黄金時代篇』の長編劇場映画が用意された。

VIZメディアは、日本の小学館、集英社、小学館集英社プロダクションが共同出資する米国法人である。日本アニメとマンガの翻訳出版やそのキャラクターライセンス事業の大手として知られている。

日本のアニメ・マンガビジネスで北米において成功した企業として知られる同社だが、2000年代半ばからの業界を取り巻く環境の変化からは無縁ではない。日本アニメのテレビ放映枠の減少、映像ビジネスの急激なデジタル化とDVD/BDマーケットの縮小、インターネット上での海賊版の氾濫などに影響を受けている。

そうしたなかで同社は、デジタル配信ビジネスに積極的に取り組んできた。自身のポータルサイトやHulu、Netflixなど様々な動画配信プラットフォームで作品を提供する。そうした試みは、現在まで順調とされている。Neon Alleyはその実績をさらに進化させたものである。同時に、これまでと異なる大胆な取り組みが数多く取り入れられている。

■ 家庭用ゲーム機を利用する優位性
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ひとつはNeon Alleyの配信サービスが、これまで多かったPCやモバイルでなく、家庭用ゲーム機(ゲームコンソール)を通じたテレビでの視聴となる点だ。PCではなく、リビングにあるテレビの大きな画面で観ることを中心に据える。
5月に発表されたニールセンの「Cross-Platform Report」によれば、現在、米国家庭でのゲームコンソール機の役割は急激に変わり始めている。ゲームコンソール機はゲーム機であるだけでなく、ブルーレイプレイヤーであり、動画配信システムやソーシャルゲームとつながり、デジタルコンテンツのコントロールセンターになっている。

さらにニールセンの調査では、すでに2011年第4四半期の段階で米国家庭の45%がテレビとゲームコンソール機をつないでいることが明らかになっている。ゲーム機の普及率は、アニメの視聴者が多い子どものいる家庭や、アニメ・ゲーム・マンガファンでは特に高いとみられる。

アニメの視聴者の中心である子どもは自分のPCを保有していないことが多く、インターネット配信は潜在的な視聴者にリーチ出来ていないとされてきた。こうした問題点を解決することになる。

■ 番組は全て英語吹替え、ノーカット版
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Neon Alleyのプログラムの充実も注目される。特に全ての番組の英語吹き替えとノーカット版を打ち出した点は大きい。北米では吹替えより字幕版のほうが、コアなファンから支持されると言われることが多い。しかし、実際の視聴では吹替え版がより大きな人気を集める傾向が強い。特に子どもたちやカジュアルなアニメファンを取り入れるには、吹替え版の果たす役割は大きい。

これはNeon Alleyがコアファンだけでない、より大きな市場獲得を視野に入れていることが分かる。近年は予算の関係で日本アニメは字幕版が多くなっているだけにファンにはうれしい試みだ。

さらに一部の作品は高画質で配信、北米での吹替え版初登場の新作を用意し、アニメの最新情報や舞台裏の情報などオリジナルコンテンツの提供も予定する。新作エピソードの独占配信もあるとしており、インターネットの違法動画とは異なるプラスアルファの価値を提供する。

Neon Alleyの取り組みは、VIZメディアや小学館・集英社グループだけでなく、日本のアニメ関係者にも大きなインパクトを与えそうだ。

VIZメディアが自社配給の作品だけでなく、他の制作会社や配給会社からの作品も配信するとしているからだ。地上波テレビ、大手ケーブルテレビでの日本アニメの放映枠が減少したなかで、多くの企業が作品の認知度向上の手段の不足に直面している。とりわけ玩具やキャラクターグッズと連動する作品にとっては、テレビ放送は不可欠なだけに深刻な問題だ。Neon Alleyを利用することで、より多くの子どもたちにそうした番組を伝える可能性が生まれる。
《数土直志》

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