コンプガチャはゲーミフィケーションも殺すか? 〜コンプガチャの動機付け理論的解釈〜・・・「世界を面白くするGamification」第59回 | GameBusiness.jp

コンプガチャはゲーミフィケーションも殺すか? 〜コンプガチャの動機付け理論的解釈〜・・・「世界を面白くするGamification」第59回

釣りなタイトルですいません^^; ただ最近聞かれることが増えてきたので一度文章にまとめておこうと思いました。何かと話題のコンプガチャの問題によって、ゲーミフィケーションもシュリンクするのではないかという質問です。

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釣りなタイトルですいません^^; ただ最近聞かれることが増えてきたので一度文章にまとめておこうと思いました。何かと話題のコンプガチャの問題によって、ゲーミフィケーションもシュリンクするのではないかという質問です。
  • 釣りなタイトルですいません^^; ただ最近聞かれることが増えてきたので一度文章にまとめておこうと思いました。何かと話題のコンプガチャの問題によって、ゲーミフィケーションもシュリンクするのではないかという質問です。
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gacha釣りなタイトルですいません^^; ただ最近聞かれることが増えてきたので一度文章にまとめておこうと思いました。何かと話題のコンプガチャの問題によって、ゲーミフィケーションもシュリンクするのではないかという質問です。

最初にエクスキューズです。1冊目の著書のタイトルが「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」だったこともあり、ソーシャルゲームに関する専門家と思われているフシがあるのですが、そういうわけではありませんので悪しからず。ソーシャルゲームの専門家という観点では、ゲーミフィケーションカンファレンスを一緒にやらせていただいているループス岡村氏のほうがよほど適切だと思います。僕はあくまでゲーム以外の領域に何が活用できるか、どんな知見が応用できるかという観点でソーシャルゲームを眺めているという立場なので、それに必要な程度にソーシャルゲーム分野は追いかけていますが決してそれ以上ではありません。

コンプガチャについても同様のスタンスで、率直に言ってしまえば今回の一連のコンプガチャについての件については誤解を恐れずに言えば野次馬的関心以上のものは特にありません。個人的にも会社的にも直接のつながりはあるので「大変そうだなあ」とは思いますが、いわば対岸の火事です。ゲーミフィケーション領域の発展においてコンプガチャは必要がないと思っているので特に深く追いかけていないのです。コンプガチャの定義については日本のWikipediaに記載がありますが、このページも本エントリを書く上で初めて開いたくらいです。

要するに、これはゲーミフィケーションとは基本的に関係のない話題です。なので釣りっぽい本エントリタイトルに対する直接の答えとしては「NO」です。なぜ関係がないか。ゲーミフィケーションは「利用者を動機付けるために、ゲームで使われている要素を、ゲーム以外の領域に活用する」というものです。ゲームで使われている要素の中にもちろんコンプガチャは含まれます。これを他の領域に活用できるのか?先ほどのWikipediaによれば、コンプガチャとは「カプセルトイ(ガチャ)のようにランダムに入手できるアイテムを揃える(コンプリートする)ことで稀少アイテムを入手できるシステムのこと。」とあります。この機能が使えるのかどうか?

以前、ゲーミフィケーションフレームワークについてのエントリで記載したように、利用者がなぜそのサービスを利用するのか?という「目的」を見定める重要性について述べています。これがしっかり定められていないとある時点で利用者が我に返るということが起きます。「なんのためにこれやってたんだっけ?」と思われるようなことが起きれば、利用者の動機づけには失敗です。利用目的が見極め切れていなかったということです。

コンプガチャをゲーム以外の領域で使おうとすると、典型的にこの問題にぶつかります。そもそもの利用目的に沿ったコンプガチャの使い方は、今のところ僕には思いつきません。コンプリートすべきアイテムの入手がランダムである以上、コンプリート達成したとしてもそれは「運がいい」という以上のことを意味しません。ゲームでは利用者の利用目的は娯楽ですから機能するのだろうと思いますが、それ以外の目的において運がいいということはそれ以上でもそれ以下でもなく、何かの能力が身につく実感が得られるわけでも、なりたい自分に近づくわけでも、あるサービス・製品の理解がより深まったりファンになりたくなるわけでもありません。

また、コンプガチャにはお金を使うことでコンプリートするプロセスを早めやすくなるという特徴があります。 ただこちらも「早めやすくなる」のは確かですがどの程度早めやすくなるのかは情報は開示されていないことが多いです。こちらも、内発的な動機付けのメカニズムという観点から見るとうまくありません。情報が開示されていないということは、利用者としてはお金をかけずに頑張るのか、お金を使うのかという判断を自律的にするだけの材料が提示されていないということを意味します。達成のための手順・作戦を自分で考えられないと、本来的な意味での達成感を感じにくくなります。もちろん能力が向上したという感覚も味わいづらいですから、コンプガチャは仕組み上有能感を味わいづらい機能です。

ですので、仮に一度コンプガチャを達成したとしても「よし、次はもう少し難しいコンプガチャにチャレンジしよう!」とは思いづらいでしょう。

また、フロー理論に当てはめてみるとどうでしょうか。コンプガチャにおけるスキルとは基本的に運なので経験によって上昇するということがありません。運を左右するものとして「お金の量」があります。お金を使うと運が良くなる効果がありますのでこのグラフでいうと横軸の右側にいけるようになります。課題の難易度はどうでしょうか。利用者からは難易度が見えませんが、なかなか達成できないとそれほど簡単なことではないということがわかってきます。つまりどれほど難しいかはわからないが、少なくとも簡単ではないという状態になります。

ですのでお金を使わない状態ですと基本的に利用者の心理状態はこの図で言うところの左上、「Anxiety(不安)」になります。これを「Flow(フロー)」の状態に持っていくためにはお金を使うことで擬似的にスキルを上げることが必要になります。フロー理論的には、お金を使ってスキルを一時的に上げることでフロー状態を保てるのがコンプガチャのメカニズムであるというふうに説明ができます。従って、より難易度の高いコンプガチャを達成するためにはより多くのお金を使う必要があるということになってしまいます。

また本来的には一度獲得した能力はすぐには失われず、それに上乗せし新たな能力獲得がなされ、さらに難易度の高い課題に挑戦することでフローが維持されるというのが自然な姿です。コンプガチャの場合はお金を使うことをやめた瞬間に能力が下がることになってしまうので、自然なサイクルが出来上がりません。フローをお金で買っているので、それが何かにつながっているという感覚はやはり得づらい機能です。

こういうことから、コンプガチャの機能はそもそもゲーミフィケーションには向いていないというのが僕の考えです。みなさんはどのようにお考えでしょうか?是非ご意見お聞かせください。
《深田浩嗣》

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