クソゲー(クソゲーミフィケーション)にしないための3つのポイント・・・「世界を面白くするGamification」第51回 | GameBusiness.jp

クソゲー(クソゲーミフィケーション)にしないための3つのポイント・・・「世界を面白くするGamification」第51回

最近、「ゲーミフィケーションを取り入れた○○」が目立つようになりました。それを見ていても色々な解釈がされて使われている言葉だなということを強く感じます。拡散して使われるのは言葉の浸透という点では基本的にいいことだと考えています。ゲームの要素をゲーム以

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最近、「ゲーミフィケーションを取り入れた○○」が目立つようになりました。それを見ていても色々な解釈がされて使われている言葉だなということを強く感じます。拡散して使われるのは言葉の浸透という点では基本的にいいことだと考えています。ゲームの要素をゲーム以外の領域で使っていれば、ある意味何でもゲーミフィケーションの1つだと言えてしまう部分もあるので必ずしも間違った使われ方だということでもありません。

が、一方でゲーミフィケーションというのは「道具」(※)だというのが僕の考えでもあり、道具である以上は使い方の良し悪しがあります。ゲームにクソゲーがあるように、道具の使い方を間違ったゲーミフィケーションはクソゲーミフィケーションになってしまいます。しかしながらこういうことになってしまうのは、大体が道具の使い方として適切ではないということを意味しています。それを避けるための3つのポイントをお話しします。

※対象をWebに限れば、Web上のサービスをデザインするための設計手法の1つと言って良いと思っています。

1)ユーザは何に動機付けられるのか?(「目的」の有無)

ユーザがそのサービスを利用する目的は何か?それに沿ってゲーミフィケーションのデザインがなされているか?ユーザが動機付けられるのは、サービスそのものが提供する価値によってです。それはひょっとするとサービス提供者が意図している価値ではないかもしれませんし、一番伝えたい価値ではない場合もあるのですが、それでもやはりそのサービスが提供する価値がユーザにとって意味がある場合に、ユーザはそのサービスを利用します(利用することに動機付けられます)。重要なのは、ユーザにとって価値があるかどうか、ユーザ自身の何かしらの目的に叶っているかどうか、という点です。これは広告キャンペーンのような短期的なものであっても同じです。

これを見分ける手っ取り早い方法は、「その目的の達成度合いをランキングで表したとして、ユーザはランキング上位に行きたいと思えそうかどうか?」を想像してみるというのがあります。サービス提供者の意図に寄りすぎていた場合には、ここで大体気付くことができます。

ちなみにもともとのサービスの価値をより伝えやすくすること、気づきやすくすることはゲーミフィケーションの役割です。ただし本質的な価値そのものを向上させることや、ない価値を付加することはゲーミフィケーションの役割ではありません。

2)ユーザにわかりやすく伝えられているか?(「オンボーディング」の有無)

次に見るべきは、ユーザにとっての分かりやすさです。なんでこのサービスを使うことになるのかあるいはゲーミフィケーションの仕掛けで遊ぶことになるのか、いかにわかりやすくユーザに伝えられているか?を見ましょう。ボタンの多いリモコンは敬遠されるわけですが、これは典型的にオンボーディングに失敗している例です。あるいはユーザ登録時に明らかに不要と思えるような情報を登録しないといけないなど、無理やり何かをさせられるような作りになっているのも失敗例としてよく見る形です。ストーリー性がなく唐突にゲーム要素が用意されている場合も、ユーザにとってはなんのことかわからなくなってしまいます。

最初の入り口の所でこけてしまうとそのユーザは二度と戻ってくることはありません。Webの用語でLPOというのがありますが、根本的な発想は同じです。最初に訪れたページでいかに離脱を防ぐか、ということはユーザにいかにわかりやすくサービスの価値やストーリー性をしっかり伝えるかということになります。

使い切れないほど機能が豊富にあっても、最初にユーザが必要とするのはほんのわずかです。徐々に使いこなしていくことで必要とする機能も増えていくことは考えられますが、初心者には初心者用のユーザインタフェースというものがあります。いきなり上級者向けのユーザインタフェースになっていれば敬遠されてしまうでしょう。

Webの場合は、離脱している率をデータで見ることでわかりやすく伝えられているかどうかを定量的に計測することができます。是非やってみて下さい。

3)フィードバックは適切か?(「可視化」の有無)

ユーザは適切なタイミングで適切なフィードバックを受けることが出来ているでしょうか?フィードバックを可視化することは、Webであればサイトにおいてユーザがインタラクションを感じられる機会を提供するということを意味します。現実のお店を想像してみて下さい、来店者に声をかけたり馴染みのお客さんにいつもの御礼を言うといったことは普通にされているかと思います。Web上でのフィードバックとして人間が直接介在することは事実上困難ですが、その代わりにフィードバックの機会は現実のお店よりもはるかに多様に設けることができます。

フィードバックとして典型的に使われるゲーム要素は「バッジ」です。バッジの付与は1)で定めたユーザの利用目的に沿ったタイミングでなされることがポイントになります。レベルや何かしらの得点のような形で数値化されたフィードバックをデザインする場合もあります。この場合、より複雑で詳細な情報をユーザに与えることができますが、一方で2)のオンボーディングに失敗するとそれぞれの数値が何を意味するのかわからなくなってしまったり、過度な複雑化が離脱を招くこともあり得ます。

以上、簡単ですがいいゲーミフィケーションを考える上での3つのポイントを説明しました。ただこの3つのポイント、特にゲーミフィケーションに限らなくても言えることではないでしょうか。ユーザ視点でサービスを考えればこうしたポイントは自然に外さずにデザインすることが出来ると思います。逆に言えばゲーミフィケーションとは徹底的にユーザ視点になって考えることを促すデザイン手法です。このあたり、僕がおもてなしのマインドと根本が重なってくると感じる点でもありますが、それはまた別の機会に。
《深田浩嗣》

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