「目的」の重要性:ゲーミフィケーションの実際を考える・・・「世界を面白くするGamification」第29回 | GameBusiness.jp

「目的」の重要性:ゲーミフィケーションの実際を考える・・・「世界を面白くするGamification」第29回

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ここ数カ月、ゲーミフィケーションとは何か、モチベーションとは何か、というようなことの考察を様々に深めてきた。このブログでも色々と記載してきたが、それ以外にも様々な学びを得ることが出来た。

ただ、考察を深めるだけでは仕方がない。実際にどのように活かすべきなのか、が伴って初めてこうした考察が活きてくる。最近では周辺でゲーミフィケーションという言葉を聞く機会も増えてきており、徐々に国内でも広まりが感じられ始めている。具体的なゲーミフィケーションの適用を考える機会も出てきているが、そこで感じるのが「目的」の重要性だ。

目的が正しく設定されていないと、その後のゲーミフィケーションデザインをいくら丁寧に考えてもまるでとんちんかんな結果になってしまう。ゲームの場合は目的は非常に明確であることが多いが、現実のサービスの場合は実は意外にそうでもないことが実際を考えるとわかってくる。ゲームの目的は、概ねゲーム開始直後あるいは場合によっては開始前に明らかだ。ドラクエなら「竜王を倒せ」だし、マリオなら「ピーチ姫を助け出せ」だ。ソーシャルゲームだとクリアの概念がないことが多いので「釣りを楽しむ」だとか「農園を経営する」ということが目的になる。

いずれであっても、目的を理解せずにゲームを遊んでいるプレイヤーはいないだろう。目的を理解しているからこそ、なんのためにゲームをやっているのか、目的に近付いているのかそうでないのかが遊びながらわかるのである。しかしながら、ゲーミフィケーションの場合は実はそうはいかない。

最も大きな勘違いを生みだす点は、サービスを提供する「企業」サイドが目的としていることと、サービスに訪れる「ユーザ」サイドが目的としていることがほとんどの場合一致しないという点だ。正直に言えば、ゲームでもこれは言えるのだが、少なくともゲームにおいてはゲームクリエイターは会社の経営者ではない場合が多い(あるいは多かった、ということかもしれない)。その結果、企業の目的である「ビジネスとして成功すること」、もっと言えばそのゲームソフトがたくさん売れることは、ゲームクリエイターの目的とは一致していなかった。ゲームクリエイターはユーザを楽しませることを目的にゲームを作ることが出来ていた。

一方で、ゲーミフィケーションを施すことになるWebサービスの場合はどうだろうか。仮に、あるECサイトにゲーミフィケーションを施すとしよう。ECサイトの目的は「売上を上げることだ」と答えるサイト運営者がほとんどではないだろうか。ただ、だからといって累計の売上金額でランキングを作ったとしても、ユーザが喜んでその順位を争うとはとても思えない。そのサイトでたくさん買うことを競っても、その勝負で勝ったとしても、ユーザは何も嬉しくないからだ。

時に、こう答えるサイト運営者がいるかも知れない。「我が社のECサイトは、商品を通じてお客さんに○○を届けているのだ」。○○にはいろいろな表現が入り得る。「おしゃれ」「優雅な暮らし」「清潔さ」、商品あるいはその企業・サービスのコンセプトによってあらゆる表現があり得るだろう。まさに、ゲーミフィケーションの目的もこのようなところに設定するべきなのである。ユーザが何を得ようとしてそのサイトを使うのか。そこを目的としなければゲーミフィケーションは決して成功しない。また、そのような目的が設定されていないのに、単にバッジやポイントを導入しても有効には機能しない。

ゲーミフィケーションは単なるメソドロジーではなく、それを通じてユーザとサービス提供者が真の関係を築くことに近づいていくためのものなのである。

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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