ロスアンゼルス・メモリアル・スポーツ・アリーナ(Los Angeles Memorial Sports Arena)。日本で言えば、相撲の国技館を半分に割ったような広い室内会場に、約6000人を集め、ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(以下・SCEA)の.発表会が行われました。注目のNGPの正式名称は「PlayStation Vita」に決定しました。モデルは2種類あります。Wi-Fiのみのモデルが日本での価格は24,800円(税込)、Wi-Fiと3Gを両方の通信ができるモデルは29,800円(税込)と公開されました。私が自身のブログを書く際に調べたところ、VITAには‥‥イタリア語で「生活」。スウェーデン語で「白」。アイスランド語で「知っている」。スワヒリ語で「戦争」。ハンガリー語で「議論」。ラテン語で「人生の」。ルーマニア語で「牛肉」。の意味があります。平井一夫/ソニー・コンピュータエンタテインメント・グループCEOは、「生活からとった」と述べましたので、イタリア語のVITAが採用されたということになります。さて、発表内容ですが、私が感じたままを書きます。E3でVITAは、ニンテンドー3DSに正面からぶつかる作戦をとりました。日本と違って、アメリカでプレイステーション・ポータブルは売れていません。私はロスアンゼルスに到着するなり、大手の販売店や、個人商店のようなゲームショップを訪れました。話で聞いていた以上に、プレイステーション・ポータブルのソフトの展示コーナーは狭い。発売して7年目にもなるのに、売り切れて入手困難にもなった日本の状況とは大違いです。ソニー・コンピュータエンタテインメントが出す携帯ゲーム機が、「当初は出遅れたけど、任天堂を猛追している」のは日本。「任天堂に敗退した」とみなされているのが、アメリカです。今回のE3にやってきた日本のゲーム会社のキーマンたち(経営者/開発者)は、日本では評価の高いNGPだけれども、「ワールドワイドでビジネスをするとなるとアメリカで売れてくれないと困る」と神経を尖らせています。NGPで夢を広げるのではない。もっと足元の問題で、携帯ゲーム機市場を立ち上げなくてはいけないのが、現在のSCEAのミッションであったといえるでしょう。そのためには、日本で1月27日に行われた最初のNGPのプレゼンテーションとは、アピールする点が、まったく異なるものとなりました。アンドロイド端末とプレイステーションソフトを共有する「Suite」の構想や、位置情報を使った「Near」の説明は、スクリーンが一枚照射されるだけで、かすかに触れる程度の説明がされただけでした。裏を返せば、日本でのNGPは、ソーシャルゲームやスマートフォンを使ったゲームがライバルとなるわけです。ゆえに、東京都の「三軒茶屋」や「青山一丁目」と細かな地名を挙げ、SNS的な活用方法もまじえながら、「Near」の説明を行いました。でも、E3。アメリカでは、こうした説明をすると焦点が散漫になっています。グラフィックスのきれいな3Dゲームが、ジャイロセンサーと背面タッチパネルを使って気持ちよく動く。このことを強調するために、『Uncharted』『Ruin』『Modnation Racers』『Little Big Planet』といった作品が、懇切丁寧にデモンストレーションされました。特に、PlayStation Vita版の『Uncharted』は出来が良くて、3D空間をまるで手のひらで握っているような感覚が、映像を見ているだけで伝わってきました。日本では、ソーシャルゲームやスマートフォンと対決。アメリカでは、裸眼で3Dに見える携帯ゲーム機と、手で操作をしながら3D空間があるかのような携帯ゲーム機と対決。VITAの発表を物足りない、あるいはすごかった、いろいろな評価が報じられるでしょう。ですが、私はこう考えます。「郷に入れば郷に従え」ということわざがあります。英語で言うと、When in Roma, do as the Romans do. (ローマにいる時は、ローマ人がするようにしなさい)だからイタリア語から名前をつけた……わけではないでしょうが、VITAは日本、アメリカ、それぞれの地域事情にしたがったお披露目をしました。発表会が終わりました。ちょっと驚いたのは送迎用バスです。帰りのシャトルバスは、他社がそうするようにダウンタウン方面を巡回するのではなく、あるホテルの滞在者に限る、と書かれた便がありました。そのホテルは、任天堂、Nintendo of Americaとゆかりがある人が宿泊することで知られたグランド街にあるホテル名でした。もうひとつ、VITAの通信キャリアのパートナーはAT&Tと発表された瞬間に、場内から失笑が起きたのですが、その理由については、あらためて語ることにしましょう。■著者紹介平林久和(ひらばやし・ひさかず)株式会社インターラクト(代表取締役/ゲームアナリスト)1962年・神奈川県生まれ。青山学院大学卒。85年・出版社(現・宝島社)入社後、ゲーム専門誌の創刊編集者となる。91年に独立、現在にいたる。著書・共著に『ゲームの大學』『ゲーム業界就職読本』『ゲームの時事問題』など。現在、本連載と連動して「ゲームの未来」について分析・予測する本を執筆中。詳しくは公式サイト、公式ブログもご参照ください。Twitterアカウントは@HisakazuHです。
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