【フェスティバル・オブ・ゲームス】オランダでシリアスゲーム制作に携わる日本の交換留学生 | GameBusiness.jp

【フェスティバル・オブ・ゲームス】オランダでシリアスゲーム制作に携わる日本の交換留学生

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フェスティバル・オブ・ゲームスの会場で、シリアスゲームの作品制作に携わる、日本の女子大生に出会いました。
  • フェスティバル・オブ・ゲームスの会場で、シリアスゲームの作品制作に携わる、日本の女子大生に出会いました。
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フェスティバル・オブ・ゲームスの会場で、シリアスゲームの作品制作に携わる、日本の女子大生に出会いました。

ユトレヒト芸術大学(Utrecht School of the Arts)に通う白山恵理さん。九州大学芸術工学部芸術情報設計学科からの交換留学生です。昨年の9月から1年間、同大学でゲームデザイン&ディベロップメントのコースに所属しています。シリアスゲーム『Vogels!』制作チームの一員として参加しました。

白山恵理さんVogels!制作チーム


『Vogels!』とはオランダ語で「鳥」の意味。ゲームの目的は画面中央の鳥型キャラクターを上下左右に操作して、仲間の鳥たちにタッチしていくことです。決められたルートを進んでいく3Dライド形式で、空中、地上、海中の3ステージがあります。決められたコースで何体の仲間にタッチできるでスコアが決まります。

もっとも、このゲームのポイントは、脳卒中などで片麻痺になった患者向けの「シリアスゲーム」だということ。食事時などに上腕を補助するデバイスをコントローラに転用しています。デバイスの動きが筐体上部のカメラでキャプチャされ、入力情報に転用される仕組み。台は下がゴムで支えられており、下から上への動きでサポートが得られます。

会場ではオランダのインディペンデントゲームが並ぶ「Indigo Replay」というエリアがあり、『Vogels!』も他の作品と共に出展されました。総タイトル数は12作で、学生作品と共にプロのゲーム開発者のゲームも出展。それらを差し置いて大賞の「ダイヤモンド賞」に輝きました。筆者も試してみましたが、軽い動きにもかかわらず、ふだん使わない筋肉に負荷がかかる印象。数分間のプレイでしたが、心地よい疲労感が感じられました。

「Vogels!」のプレイ風景


右腕のデバイスで操作する画面上の鳥を操作して仲間にタッチ腕の動きがカメラで画像認識される


白山さんの担当はオーディオです。仲間の鳥にタッチした時に流れるエフェクト音などを作成しました。もっとも、サウンド制作は白山さんにとっても初めての体験でした。開発中のバージョンを病院で試したことろ、お年寄りがサウンドを聞いて怖がってしまった、などの失敗もあったそうです。

そもそも、白山さんの専門はインタラクションデザインで、ゲームデザインではありませんでした。留学前も希望のコースに空きがなく、しかたなく前期はゲームデザインのコースを取得したとのこと。しかし、次第におもしろさがわかってきて、後期も同じコースに残ったとのことでした。

もっとも白山さんのチームが制作したのは、エンタテイメントゲームではなく、シリアスゲームです。医療器具メーカーのFocal meditech社から、製品の宣伝に使えるようなアプリケーション開発の依頼を受け、開発がスタートしました。8人のチームで、制作期間は約3ヶ月。それまでリハビリの知識が皆無だった白山さんらは、何度も病院や老人ホームに通い、リハビリの概念や基礎知識を学ぶところからスタートしたそうです。

ここでは企業が製品を貸し出し、学生が研究開発を行って、企業に成果を納品する、理想的な産学連携が見られます。白山さんも「同じようなスタイルが日本でも取れればいいのに」と語りました。もっとも作品完成後、まだ病院などでの実地テストをしていないとのこと。おりしも企業側から継続研究の可否のヒアリングが大学に行われている最中だとか。自分は7月で帰国してしまうが、なんとか研究を継続してもらい、自分も日本から参加したいと語りました。

ユトレヒト芸術大学の公式サイト


また医学界では、適切なサウンドエフェクトとリハビリを組みあわせると効果が上がるなどの研究もあり、今回の作品では残念ながら取り入れる時間がなかったものの、自分でも継続して研究していきたいとのことです。もっとも繰り返しますが、最初からシリアスゲームに興味があったわけでも、サウンド制作の経験があったわけでも、リハビリの知識があったわけでもありません。留学したくて、思い切って飛び込んでみたら、まったく新しい世界が広がっていた、という感じでしょうか。

なお、大学での授業や作品制作は留学生ということで、すべて英語で行われています。もっとも白山さんは留学が決まるまで、英会話のスキルは日本の平均的な学生レベル、つまりほとんど話せなかったとのこと。そのため初めの頃は周囲についていけず、隠れて涙することもあったとか。それでも周囲のサポートもあり、次第に英語スキルも上達。今ではすっかりチームの一員としてなじんでいました。

また九州大学は07年よりユトレヒト芸術大学をはじめ、オランダ・ゲーム産官学界との交流をはじめており、本交換留学もこうした背景があるようです。

ちなみに私事ですが、筆者の妻も片麻痺の患者にリハビリを行う作業療法士で、撮影したビデオを見せたところ、非常に興味を持ったとのこと。ゲームシリアスゲーム大国オランダの一片が覗けたと共に、日本でも同様の取り組みがあればと感じました。
《小野憲史》

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