『テイルズ オブ エターニア(以下、エターニア)』は、2000年にPlayStation向けに発売されました。『テイルズ オブ ファンタジア』『テイルズ オブ デスティニー』に続く『テイルズ オブ』シリーズの第3作であり、現在まで続くシリーズの歴史を振り返ったとき、礎を築いた作品のひとつとして名前が挙がるタイトルです。そんな『エターニア』が今回、リマスター版として現代に甦ります。
本作は、2005年に発売されたPSP版をベースに、グラフィックをリマスター化するとともに、目的地を示すアイコンやフィールドの高速移動など、現代のプレイ環境に合わせた各種機能を追加。大規模なリメイクによってゲームシステムを作り変えるのではなく、あくまで『エターニア』が持っていたゲーム体験を現在の環境で遊びやすくすることに主眼が置かれています。
今回Game*Sparkは、『テイルズ オブ エターニア リマスター(以下、エターニア リマスター)』をプレイする機会を得ました。本記事では、30分ほど実際に触れてみた感想と本作の変わらない魅力についてお伝えします。また記事後半では、リマスター版プロデューサーの玉越修平氏によるインタビューも掲載しています。
※画面は開発中のものです。
異なる世界を旅することが物語のテーマに
『エターニア』は、インフェリアとセレスティアという2つの世界が存在する世界が舞台です。インフェリアに住む主人公のリッド、幼馴染のファラ、キールは、セレスティアからやってきた謎の少女メルディと出会ったことで、それまでの日常から大きく離れた旅へと踏み出すことになります。

今回の試遊は、メルディから2つの世界が衝突する「グランドフォール」が迫っていることを知らされ、止めるためには万物の事象を司る「大晶霊」の力を借りる必要があることが判明。リッドたち一行は、水の大晶霊「ウンディーネ」が棲む水晶霊の河へ向かうことになる……というあらすじです。

今回プレイしたのは壮大な物語の序盤ダンジョンで、ウンディーネのいる最奥を目指して進んでいきました。便利に感じたのが今回のリマスターで追加された目的地アイコンです。画面上には目的地を示すアイコンが表示されるため、当時のタイトルに多かった進める道と進めない壁の境目の分かりにくさによって、「次はどこへ向かえばいいのか」と迷い続ける必要がなく、基本的にはアイコンを追って進めばストーリーが進行します。

ただし、探索は単純な一本道というわけではなく、宝箱探しなど自分で寄り道する余地も残されており、不便さを取り除きつつ、当時のままの探索する楽しさは残されていました。このあたりは『エターニア リマスター』が、当時のゲーム体験に現在のプレイヤーがアクセスしやすくする方向で調整されていることがうかがえた部分です。


リマスター版の新機能として、「ブースト機能」も追加されています。獲得経験値や獲得ガルド、ダメージの倍率を変更できるほか、エンカウントやデスペナルティなどのON/OFFも切り替えられるため、レベル上げを効率化したい場合はもちろん、久しぶりに『エターニア』へ触れる人が、ストーリーを手早く楽しみたい場合にも活用できそうです。また、背景グラフィックはリマスター版とオリジナル版の2種類から切り替えられるため、オリジナル版の雰囲気を残したまま遊びたいファンと、現代のプレイ環境に合わせて快適に楽しみたい新規プレイヤーの双方に向けた調整だと感じました。
最初から「世界を救う英雄」ではないリッドたち
『エターニア』はリッド、ファラ、キール、メルディという4人が、ストーリーが進むにつれて少しずつ関係を変化させていくことも大きな魅力です。なかでも主人公のリッドは、最初から世界を救うことを使命として生きている人物ではありません。むしろ平穏な生活を好み、突然世界を救う旅に巻き込まれたことに困惑する人間です。そんな彼がファラやキール、メルディとの旅を続けるなかで、世界の問題と向き合い、自分自身が何をするのかを考えるようになっていきます。
今回の試遊シーンでも描かれた、グランドフォールを防ぐにはウンディーネ以外の大晶霊の力も必要だと明かされたリッドの「俺たちの手に余るから王様に任せよう」という発言は、彼の人間性を象徴しています。世界の危機を前にしても、自分が立ち向かうべきだと考えるわけではなく、大きな力を持つ誰かに任せようとします。こうした等身大の反応を見せ、最初から英雄だったのではなく、旅を通して自分が何をするべきなのかを見つけていく人物だからこそ、プレイヤーは感情移入しやすく、彼の成長を追うこと自体が物語の大きなポイントになっています。


仲間たちもそれぞれの事情や過去を抱えています。真っ直ぐで行動力があり、リッドを支えるファラ。理屈っぽく学者らしいこだわりを持つキール。異世界から来た純粋で素直なメルディ。4人が旅を続けるなかで意見をぶつけたり、互いの考え方に触れたり、ときには本筋から少し離れた軽口を交わしたりすることで、「世界を救うために集められたパーティー」ではなく、「一緒に旅をしている友人」としての関係が生まれていくのが心地よいです。
いま触っても気持ちいいバトル
『エターニア』を紹介するうえで、戦闘も外すことはできません。本作は「アグレッシブ リニアモーションバトルシステム (A-LMBS)」を採用しており、通常攻撃を3回まで繋げられ、中級以上の術を使っても戦闘が中断されない爽快感溢れるバトルを楽しめます。今考えると「当然」と思うような仕様ですが、秘奥義の初実装も含めて『テイルズ オブ』に多大な影響を与えた初期の集大成であり、エポックメイキング的作品です。

バトルでは2Dのフィールド上をキャラクターが動き回り、通常攻撃や特技、奥義、術などを組み合わせながら敵と戦います。現在のシリーズでは3D空間を自由に動き回る戦闘が主流になっていますが、今回あらためて『エターニア』のバトルに触れると、敵との距離や攻撃のタイミングを直感的に把握しながら、攻撃を連続して叩き込んでいく2Dならではの気持ちよさが強く感じられます。 キャラクターの動きとプレイヤーの入力が直観的に結びつくため、シンプルな操作でコンボが成立するため「古いから遊びにくい」という印象は薄かったです。

25年以上前のゲームでありながら、現在プレイしても感じられる面白さは、単なる「思い出補正」だけでは説明できないでしょう。キャラクターを動かして敵を攻撃し、攻撃を繋げ、敵の弱点を見極めながら術や技を使うゲームの根本部分が当時から作り込まれているからこそ、現在の環境で触れても楽しさを感じることができました。

今回のリマスターでは、エンカウントやデスペナルティのON/OFFやオート戦闘時のバトルスピード高速化といった機能も用意されており、プレイヤーが感じる負担を自分で調整できます。『エターニア』をじっくり楽しみたい人は従来どおり遊び、レベル上げや移動中の戦闘を効率よく進めたい場合には各種機能を活用できるような、現在のプレイ環境に合わせて遊び方を選べるようになっている点は、今回のリマスターにおける大きなポイントでしょう。
変われる強さ、変わらぬ想い。
『エターニア リマスター』では、目的地を示すアイコンやフィールドの高速移動、ブースト機能など、25年以上前にリリースされたRPGを現在の環境で遊ぶための便利な機能が追加されています。今回30分ほどの試遊で実際に触れてみて印象的だったのは、遊びやすさが現代向けに変化している一方で、『エターニア』の物語やキャラクター、バトルには今触れても変わらない魅力が感じられたことです。
今回30分ほどの試遊で触れられたのは作品のごく一部ですが、それでも現在の環境に合わせて遊びやすくなった『エターニア』を遊ぶことで、面白さのコアを改めて感じることができました。特にバトルでは2Dの画面上でキャラクターを動かし、攻撃を繋げていく気持ちよさが今も失われておらず、年月を経ても変わらないものがあることを実感します。
『エターニア』のキャッチコピーは、「変われる強さ、変わらぬ想い」。作品が生まれてから25年以上が経ち、ゲームを取り巻く環境も、プレイヤーがゲームに求める快適さも大きく変わりました。ただかつてこの作品を遊んだ人が覚えている思い出や、今回初めて触れる人が面白いと感じるだろう体験まで、時間とともに変わってしまったわけではないでしょう。
今回のリマスター版は、長い時間を隔てたオリジナル版と現在のプレイヤーをもう一度つなぐものです。変わったものがあるからこそ、変わらないものにも気づくことができる。『エターニア』を知っている人だけではなく、まだ知らない人にどのように映るのか。『エターニア リマスター』は、その答えを自分自身で確かめられる機会になりそうです。
リマスター版プロデューサーにインタビュー!

――オリジナル版発売から25年以上が経っているなかで、今回『エターニア』をリマスターすることになった理由を教えてください。
玉越氏:過去にシリーズ公式から発信しているリマスタープロジェクトの方針の回答になってしまいますが、30周年を数える『テイルズ オブ』シリーズのもつ数多くの作品をなるべく多く現行機で遊べるような形でお届けしたいという思いで、プロジェクトは運営されています。
リマスタープロジェクトでは、完成の見通しの立ったタイトルから順に発表・発売するという方針となっており、今回初めて2D時代の作品『エターニア』のリマスターをお届けできることになりました。
――『エターニア リマスター』は、これまでのリマスタープロジェクトのタイトルやオリジナル版の販売価格と比べても手に取りやすい価格設定です。より多くのユーザーに届けたいという意図もあるのでしょうか。
玉越氏:今回、初の2Dシリーズのリマスターである点などを総合的に判断して、より多くのお客様に遊んでいただけるような価格設定にしています。
――『エターニア』は特にシリーズでも人気の高いタイトルだと思いますが、リマスター制作に対するプレッシャーはありましたか。
玉越氏:プレッシャーは正直とても感じていました。『エターニア』は素晴らしい作品ですし、オリジナル版が発売されてから25年以上経った今でも熱量の高いファンの皆様が多数おられるタイトルですので、その想いを裏切らないように受け止めた上で、期待に応えられるように制作しています。

――『エターニア リマスター』制作にあたって、苦労した点を教えてください。
玉越氏:『エターニア』は2000年にPlayStation向けに発売されたタイトルです。今回リマスターの元にしている2005年発売のPSP版も含め、現代のゲームと比べるとゲーム内でプレイヤーに明示される説明量が少なく、紙媒体やインターネットなど、外部から情報を収集ながら手探りの攻略を楽しむような時代に生まれたゲームだと考えています。そういった当時のプレイスタイルも含めて、「面白かった」「思い出に残っている」といった感想を持っていただいているタイトルなので、オリジナルらしさを残すことと、リマスター版の追加機能によって現代のお客様にも快適に遊んでいただけるようにすること。2つのバランスをきちんと取るために、チーム一同時間をかけて考えました。
まずベースのシステムに関しては、過去のリマスタータイトルと同様に基本的にオリジナル版準拠で開発を行ってきました。一方で、ガイドがないとクリアまで気づきにくい要素については、リマスター版ではサポート機能を入れることにしました。例えば目的地アイコンに関しては、次の目的地を示すものに加えて、オリジナル版では特にガイドが入っていなかった貴重品アイテムや時限式のサブイベントついても、目的地アイコンを追加しています。オリジナル版では隅々までNPCに話しかけていかないと気づけないような要素もありましたが、分かりやすさが大幅に向上していると思います。
――『エターニア』には秘奥義をはじめとした隠し要素が存在していますが、そういった点への導線は今回どのように考えられたのでしょうか。
玉越氏:オリジナル版当時の隠し要素については、今回のリマスター版でも、ゲーム内を見れば分かるような形にはしておりません。隠し要素に関しては、オリジナル版と同じようなプレイフィールで遊んでいただければと思います。

――『エターニア リマスター』では、オリジナル版の『エターニア』で発生していたバグは、基本的にはすべて修正された形になるのでしょうか。
玉越氏:バグと言ってもさまざまな状態があると思いますが、フラグに関わるものなど、正常なプレイに支障を及ぼすような不具合に関してはきちんと修正をしています。
――『エターニア』本編の表現について、現代の感覚から見ると刺激の強い表現もあると思います。そういった部分については、現代の基準に合わせて変更するのではなく、オリジナル準拠という方針なのでしょうか。
玉越氏:一部のアイテムやエフェクトなどオリジナル版から調整したデザインはありますが、キャラクターの発言やストーリーについては手を入れず、オリジナル版に準拠した形でリマスターしています。
――リマスターでは、スキットやムービーなどに字幕が追加されているとのことですが、メルニクス語などは当時の資料を参考にされたのでしょうか。
玉越氏:今回追加で入れさせていただいた字幕については、当時の開発データや開発チームからいただいた資料をもとに文字起こしを行っています。

――オリジナル版にはキャラクターの名称を変更できる機能がありましたが、リマスター版では削除されています。削除した理由について教えていただけますか。
玉越氏:その機能に関しては、例えばリッドの名前を別の名前に変更したとしても、キャラクターのセリフテキストやボイス内に登場する名前は「リッド」のままのため、それならば名前を変更しないほうがシナリオへの没入感やキャラクターへの感情移入も高まると判断し、キャラクター名の変更機能はリマスター版では実装をしないことにしました。
――グラフィックモードのリマスターが追加されていますが、特に見てほしいスポットや注目してほしい場所があれば教えてください。
玉越氏:グラフィックに関しては、開発チームやデバッグチームの協力のもと、チーム一丸となってチェックを行い、クオリティアップやバランス調整を行ってきました。そのため、特定のスポットというよりは、ゲーム全体を楽しんでいただけると嬉しいです。
――玉越さん自身は、『エターニア』の魅力はどういった点だと考えていますか。
玉越氏:プロデューサーとしてではなく、完全に私個人の感想ですが、私も『エターニア』が大好きなファンの一人で、特にキールが好きなんですが、魅力的な物語や魅力的なキャラクター、完成度の高いバトルシステムや音楽など、一つ一つの要素がバランスよく調和されているのが魅力だと思っていて、作品全体を推しています。
――本作から『テイルズ オブ』シリーズに触れる方もいると思いますが、新しいユーザーには、特にここを見てほしい・楽しんでほしいという部分はありますか。
玉越氏:『エターニア リマスター』から『テイルズ オブ』シリーズに入っていただけるお客様がいらっしゃったら、非常に嬉しいことだと思います。『テイルズ オブ』シリーズが初期の作品から、最新作『テイルズ オブ アライズ』まで変わらず大事にしてきた、素敵なキャラクターとの出会いや冒険、ドラマといった部分は、『エターニア』がシリーズの中で比較的古い作品であったとしても、変わらずに存在しています。なので、オリジナル版を遊んでくださったお客様も、この作品から初めて触れてくださるお客様も、同じようにリッドや仲間たちが繰り広げる『エターニア』の冒険物語を楽しみ、感動を味わっていただけるのかなと思っています。
――今、新しいユーザーに向けてというお話がありましたが、逆に当時遊んだファンにはどの点に注目して、もう一度手に取っていただきたいと考えていますか。
玉越氏:オリジナル版を遊んでくださったお客様にも、当時と比べて様々な遊び方を求めている方がいらっしゃると思います。今回追加させていただいた便利機能については、基本的にプレイヤーの任意でオン・オフなどを切り替えられるように実装しています。
例えば、当時と近い雰囲気・遊び心地でプレイしたいお客様は、便利機能をオフにしていただき、グラフィックもオリジナルモードで遊んでいただくことができます。一方で、ある程度便利に遊びたいというお客様には、今回追加させていただいたブースト機能などを切り替えながら遊んでいただくなど、お客様の現在の環境に合わせて適宜設定を調整しつつ、当時から変わらない作品そのものの魅力を再体験していただければと思います。
――ありがとうございました。
『テイルズ オブ エターニア リマスター』は、ニンテンドースイッチ2/ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Steam向けに2026年10月15日発売予定(※Steam版は10月16日)。価格は3,960円(税込)です。
詳細は公式サイトをご確認ください。
Tales of Eternia Remastered & ©Bandai Namco Entertainment Inc. ©いのまたむつみ







