この1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する今回の「生成AIウィークリー」(第160回)は、Suno v5/v6に匹敵する音楽生成AI「YuE2」や、過去の論文から未来の発見を予測するAI「Hakken」を取り上げます。
また、スマホやPCで動く20億パラメータ言語モデル「MiniCPM5-2B」や、一部のベンチマークでClaude Opus 5を上回るDeepSeekの新型モデル「DeepSeek-V4.1-Flash」をご紹介します。
そして、生成AIウィークリーの中でも特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる「生成AIクローズアップ」では、AIの設定や活用ノウハウなどをチーム全員で自動共有できるテンセント開発のオープンソースツール「TeamAI」(teamai-cli)を別の単体記事で取り上げています。
Suno v5/v6に匹敵する音楽生成AI「YuE2」がオープンウェイトで登場
YuE2は、オープンウェイトの音楽生成AIです。ベンチマークテスト(WildSongBench)では、Suno v5やv6に匹敵する楽曲品質を達成しています。
▲YuE2を使った作例(flacで出力したものを別のビジュアライザーで動画にしたもの)
歌詞とスタイルのプロンプトを入力すると、まず人間が編集可能なメロディとコードの楽譜を作成し、その情報をもとにボーカルと伴奏を含むオーディオ楽曲を生成します。これにより、生成された楽譜の直接編集が可能となりました。
この技術を応用することで、既存の楽曲データを別のスタイルに再構築するカバー生成や、AIエージェントと対話しながらメロディやコード、歌詞を反復的に修正していく楽曲編集も可能です。
関連するコードはApache 2.0、モデルの重みはCC BY-NC 4.0で提供されています。



YuE2
HKUST(香港科技大学), M・A・P(Multimodal Art Projection), Tokenwave.AI, NYU(ニューヨーク大学), Stanford(スタンフォード大学), MBZUAI, HOIZ ACE, STUDIO
Project | Paper | GitHub | Hugging Face
スマホやPCで動く、ローカル環境向けの20億パラメータ言語モデル「MiniCPM5-2B」
OpenBMBは、スマートフォンやPCなどのローカル環境での運用を想定した20億パラメータの言語モデル「MiniCPM5-2B」をリリースしました。
本モデルは、同サイズ帯のオープンソースモデルにおいて最高水準(SOTA)の性能を達成しています。
特にプログラミング、数学、長文理解、ツール連携などのタスクにおいて強みを発揮し、40億パラメータ規模の大型モデル(Qwen3.5-4Bなど)にも匹敵する実力を備えているほか、最大で約13万トークンのコンテキストを処理できます。
MiniCPM5-2BはApache-2.0ライセンスで提供されています。




MiniCPM5-2B
OpenBMB
GitHub | Hugging Face
「DeepSeek-V4.1-Flash」がオープンウェイトで公開。一部のベンチマークでClaude Opus 5を上回る精度
DeepSeekは、最大100万トークンのコンテキストに対応するマルチモーダルMoEモデル「DeepSeek-V4.1-Flash」を発表しました。バックボーンパラメータ数が5520億で、入力読み込み時(プレフィル)は80億、生成時(デコード)は160億と、稼働するパラメータ数を抑えて計算コストを削減しています。
自社の大型モデルDeepSeek-V4-Proに対し、エージェント系ベンチマークで同等以上の性能を発揮し、またClaude Opus 5に対しても一部のエージェント系ベンチマークで同等以上のスコアを達成しています。
技術的には、長文処理や長時間の稼働が必要なエージェントタスクにおいての課題となるKVキャッシュの効率化を行っています。実行時のメモリ上のキャッシュサイズを前モデルDeepSeek-V4-Flashの約4分の1となる1トークンあたり890バイトに削減し、ストレージに保存される永続的なキャッシュサイズも約8分の1にまで縮小しています。
モデルの重みがMITライセンスのもとでオープンウェイトとして提供されています。



DeepSeek-V4.1-Flash
DeepSeek-AI
Paper | Hugging Face
膨大な論文から、“まだ誰も知らない科学的関係”を予測するAI「Hakken」をソニーAIなどが発表。実際に未知の関係2件を確認
ソニーAIなどの研究チームは、過去の膨大な論文データから科学的発見を予測するAIシステム「Hakken」を発表しました。
このAIは、既存の文献を読み込んで、まだ誰も発表していない科学的な概念同士の新しいつながりを予想します。AIがただ仮説を出すだけでなく、なぜその予測に至ったのかという根拠となる過去のデータをあわせて提示してくれます。
研究チームが実際に生物医学(老化関連)の分野でHakkenをテストしたところ、AIは150万件以上の新しい仮説を生成しました。その中から専門家が有望なものを絞り込み、3件を厳選して実際の実験室で検証を行った結果、「TP53とBAMBI」「RAF1とTNF」の2件について、これまで学術的に記録されていなかった老化関連遺伝子の相互作用を本当に発見し、裏付ける証拠が得られました。


Hakken: Predicting future discoveries to fill the gaps in today’s knowledge
Tarek R. Besold, Uchenna Akujuobi, Pablo Sanchez, Alessandra Toniato, Kana Maruyama, Jihun Choi, Samy Badreddine, Frederick Gifford, Daniel Evans-Yamamoto, Sucheendra K. Palaniappan, Miquel Ferrer, Kae Nagano, Iris Rossell, Tom Joy, Hatem ElShazly, Chrysa Iliopoulou, Christoph Wehner, Thiviyan Thanapalasingam, Susana Nunes, Pedro G. Cotovio, Peter Wurman, Peter Stone, Hiroaki Kitano, Michael Spranger
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