DL販売売上絶好調、そのなかPCゲームは?Steam2021年ベスト入りの国内大手業績から傾向を読む | GameBusiness.jp

DL販売売上絶好調、そのなかPCゲームは?Steam2021年ベスト入りの国内大手業績から傾向を読む

果たして今後のPCゲーム界の未来は明るいのか?

市場 流通
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過日、カプコンのSteam経由での売上高が大幅に増加したことが話題になりました。22年3月期の決算で任天堂経由の売上を超えたと国内メディアgamebizが報じています。記事によると、2022年3月期の業績にて、Steam経由の売上高が前期比62.5%増の172億2100万円と大きく伸びたとのことです。

昨今では同様に、PCゲーム業界の売上は様々な場所で取り沙汰されることがあります。そこで今回は、日本各社の動向を見ながら、その様子を少しだけ探っていきましょう。


まずは記事冒頭で触れた、カプコンIR情報を見てみましょう。

同社のデジタルコンテンツ事業において『バイオハザード ヴィレッジ』、『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』や『モンスターハンターライズ』など主力シリーズのデジタル販売の拡大に加えて、2019年発売の『モンスターハンターワールド:アイスボーン』や2017年発売の『バイオハザード7 レジデント イービル』などの旧作タイトルは、開発費の費用処理がすでに終わっているだけでなく、デジタル販売の採算性が高いこともあり収益を押し上げた様です。

株式会社カプコン 2022年3月期 オンライン会社説明会資料より
株式会社カプコン 2022年3月期 オンライン会社説明会資料より

また、重要なことですが、ゲーム専用機が未発売、もしくは流通していない国や地域でも現代の地球である以上、PCは大抵存在しています。このPC向けのゲーム販売が大きく広まったことにより、2022年には全体売上に対して15.6%の割合に至ったというのが報道の大まかな内容となります。

この後に見ていく他社でも同様に、PCゲームプラットフォームを通じた海外への販路拡大と、旧作のリピート販売をいかに伸ばすかが、重要なポイントになっています。

2021年Steam年間ベストから見る各社の業績

動向を知るため次に見るべきは、まずはプラットフォーム側ということで、Steamの発表した「2021年の年間ベスト、最もプレイされたゲーム」を参考にして、多くのユーザーからの注目を集める日本企業の各タイトルを見ていきましょう。

日本企業ではカプコンの『BIOHAZARD VILLAGE』、『Monster Hunter World』、『Monster Hunter Stories 2』、スクウェア・エニックス『FFXIV Online』、セガサミー『Total War Warhammer II』やコーエーテクモ『仁王2』がランクインしています。

カプコンについては最初に触れましたので、今度はスクウェア・エニックスを調べてみましょう。同社22年3月期決算説明会の資料によれば、デジタルエンタテインメント事業(PC、モバイル、コンソール含む)の売上高の約78%をダウンロードが占めていることが分かります。

同社の主力である『ファイナルファンタジーXIV』に関しては、国内ではSteam以外での展開が主ということで具体的な影響を考察するのが難しいのですが、同作に関しては、本誌で取り上げたニュースからも分かる通り、ハンドリングが一時困難になるほどに月額課金会員数が大幅に増加したことが報じられています。

この現象に関しては海外における最大手MMOのひとつであった『World of Warcraft』からの“移民”も関連付けて報道を行うメディアがあり、それに従うのであれば同作の、海外即ちSteamにおけるさらなる躍進や、Steam年間ベストに繋がった一因であったと考察するのは難くないでしょう。

また、いずれもマルチプラットフォームタイトルではあるものの、『NieR Replicant ver.1.22474487139...』や『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』などは特に海外でのダウンロード販売を後押ししたとされています。

次に、セガサミー22年3月期決算資料には売上高は載っていないものの、前期の第4四半期の新作『Total War WARHAMMER III』等の新作が売上を伸ばしたことが明記されています。Steamでは前作『Total War WARHAMMER II』が年間ベストにランクインしていることも、新作リリース前に前作をプレイしたいというユーザーが多かったのではと想像できます。海外の売上比率、ダウンロード販売比率共に増加傾向です。

なお、セガサミーは、これまでのパッケージ売切型から、F2P、サブスクリプション、シーズンパスなど、様々な方法での収益モデルの構築を進めていき、今後も変化するニーズに対応すべく最適なサービスを提供しながら収益の底上げを目指していくとのことです。

セガサミー 統合レポート2021より

コーエーテクモは『仁王2』がSteam年間ベストにランクイン。パッケージゲームでは、『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』、『刀剣乱舞無双』や同社のパブリッシングタイトルの新作やリメイクタイトルを複数リリースし、前年度までに発売したタイトルのリピート販売も堅調だったようです。『仁王2 Complete Edition』も前年度Steamにてリリースされました。

同社の場合も、セガサミー同様にパッケージの売り上げを超えるまでにはいかないものの、ダウンロード販売が売上を伸ばしていることを見て取れます。もちろん、これは特定のプラットフォームを示したものではありませんが、前年度比で35.2%売上が増加しています。

Steamの年間ベストにランクインした国内企業4社を見るかぎり、ダウンロード販売の増加やPCゲームプラットフォームの成長は続いていると見て良いのかも知れません。PCゲームプラットフォームの拡大はSteamのみならず、ソニーグループ株式会社は2022年4月12日、完全子会社であるSony Corporation of Americaを通じてEpic Gamesに対して約10億米ドルの追加の戦略的出資を行うための確定契約を締結したと発表しました。

近年では各社のマルチプラットフォーム展開は、日本地域においてもPCゲームプラットフォームにまで拡大しており、かつてコンソールでしか見ることがなかったタイトルの新作をPCで見ることももはや珍しくありません。

Steamよりキャプチャーしたものです

海外を見ても、SIEがPlayStation向け独占タイトルをPCで発売したことは、業界に衝撃をもたらしました。『アンチャーテッド』、『God of War』、『Horizon Zero Dawn』などが、まさかPCネイティブで遊べる日が来るとは数年前には誰が思ったでしょうか。これらも前述の流れの一端に位置しているとも言えるでしょう。

Steam Deckの登場が業界に与える影響は?

ですが、成長は続いており、PCでは遊べない国内タイトルも大幅に減ったとは言え、まだまだPCゲーミングへのハードルは低くありません。

そんななか、今年2月25日にValveより投入された同社初の携帯ゲーム機型ゲーミングPC「Steam Deck」。日本地域においては、同機が今後PCゲーミングの「一般化」を達成するためのゲームチェンジャーになる可能性があります。

Steam Deck公式サイトよりキャプチャー

これまでPCゲームを始めるには、PCメーカー又はパーツの選択から始まり、様々なスペックのPCからゲームタイトルの動作環境を満たすものを選ぶ必要がありました。しかしスペックを知るにも、もちろんPC自体の知識が広く要求されており、実際にはゲームができるのにもかかわらず「ゲームが遊べるPCがない」と考えてしまっている人(その逆に動かないゲームを動かそうとしてしまっている人も)はあまりに多いものです。更に、価格も大抵は10万円以上と高額だったことが、PCゲームの敷居を上げる原因だったことに間違いはないでしょう。

そこに登場した「Steam Deck」は399ドルからと、小型携帯機であることを除いても、近年の半導体高騰の状況下にあって圧倒的な低価格のゲーミングPCです。

もちろんデフォルトではWindowsネイティブではなく互換性に不安が多少なりともある上、PCのハイスペックを土台に置いたような(コンソールではリリースされていないような)ゲームが不足なく遊べるとはいきませんが、「(ゲームが遊べる)PCがない」とはもう言わせないだけのパワーと、プレイヤーを満足させうるソフトラインナップが既にあります。

日本地域における正式な展開の発表や、価格帯という大きな問題があるものの、日本メーカーからのPCゲームプラットフォームでの旧作リマスターのリリースが増えている昨今、Steam Deckが売上を伸ばすにはもってこいの状況が整いつつあります。

日本人の多くが「ゲーム機」として認識できる価格帯を維持できるかを中心として、同機の販売戦略や売上いかんの部分が多く、結論を述べるにはあまりに時期尚早ですが、今後、海外のみならず日本でもPCゲームプラットフォームが台風の目となる日がくるのかもしれず、その岐路はすぐそこまで迫っているのかも知れません。


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