【インタビュー】「データを恐れるな」。Tealium CMOが語るこれからのユーザーコミュニケーションとは | GameBusiness.jp

【インタビュー】「データを恐れるな」。Tealium CMOが語るこれからのユーザーコミュニケーションとは

リアルタイム顧客データ統合ツールTealium(ティーリアム)のCMOアダム・コーリー氏にデータドリブンを活用した企業のコミュニケーション戦略についてインタビューを実施。データを活用し、ユーザーとどのような接点を築き上げていくのが良いのか、その裏側に迫ります。

市場 マーケティング
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さまざまなものがインターネットで繋がり、ユーザーの行動がデータとして可視化ができるのが当たり前となってきました。企業がデータを活用した製品開発、サービス開発、マーケティングを進める一方で、多くのデータが溢れ返り、うまく活用しきれていない実情もあります。

今回はリアルタイム顧客データ統合のリーディングカンパニーであるTealium(ティーリアム)のCMO(最高マーケティング責任者)アダム・コーリー氏にデータドリブンの企業のコミュニケーション戦略についてインタビューを実施しました。データを活用してユーザーとどのような接点を築き上げていくのが良いのか、その裏側に迫ります。

――アダムさんの自己紹介をお願いします


Tealium(ティーリアム)で最高マーケティング責任者を務めているアダム・コーリーと申します。Tealiumに入って5年半ほどになりますが、それまでに複数の企業で15年間に渡ってマーケティングおよびデータアナリティクスを手がけてきました。Tealiumは「複数のデバイスやチャネルに分散する顧客データを、Tealium Universal Data Hub(ユニバーサルデータハブ)上で唯一の信頼できる顧客データとして統合する」ソリューションを提供しています。社内の異なるチームや様々なツール・テクノロジー毎にサイロ化されたデータをリアルタイムに統合し、企業が顧客に対する次へのコミュニケーションに繋げたり、統合した顧客データを利用して次のビジネスに繋げるためのプラットフォームを提供している会社です。

――Tealium(ティーリアム)はどういった企業に導入されているのでしょう

あらゆる業界をカバーしております。例えば旅行業から、製薬業、小売、金融サービス、ゲーミング、オンラインサービスやメディアなどです。どのような業種、企業でもデータハブは必要とされています。例えばメディアであればユーザーを理解してよりパーソナライズされた体験をタイムリーに提供するうえで必要です。または、完全にデジタル化している企業であれば、複数のデバイスでアクセスする顧客データを統合し、全てのデバイスに渡ってシームレスな体験を提供する上で必要となります。こうした課題というのはいずれの企業においても共通するものであり、それに対しユニークなアプローチを提示しているのがTealiumです。

――さまざまなDMPツールがありますが、それらとTealiumとの違いを教えてください

DMPは個人を特定できないCookieデータや広告識別子などのみを取り扱うのに対し、Tealiumはアノニマスの状態から、見込み顧客、既存顧客のデータを統合して個人を紐付け次のアクションに繋げるCDP(カスタマーデータプラットフォーム)です。DMPは、新規見込み顧客の獲得を目的として多くの企業に活用されているかと思います。企業がデータを獲得した後、その個人の行動を踏まえたアクションが必要になるかと思いますが、DMPはそれをどのように管理・統合するのかという部分が欠けていたかと思います。

一方、Tealiumが提供できるのはアクションの部分にも踏み込んだものになります。例えばオンラインでどこのページを見ているのか、モバイルアプリを使っているのかどうか、といったユーザーが起こす行動そのものを収集して唯一の信頼できる顧客データとして統合し、次のアクション(ベンダー)へリアルタイムに繋げるのがTealiumです。顧客データがリアルタイムに統合されることで、顧客理解がより深まりますし、行動ベースでデータ管理ができるようになります。

――イードは月間で1億トラフィックほどありますが、弊社のような企業でもTealiumを活用できるのでしょうか
企業の規模の大小を問わずTealiumを活用いただけると思っております。顧客は常に高い期待値を持っており、自分のことをもっと知ってもらいたい、理解してもらいたいと思っています。弊社のお客様の中には、オンライン企業を立ち上げたばかりのお客様から、創業100年というような企業もいらっしゃいます。


また、メディアのお客様からは、データを駆使してよりデータに関する理解を深めたい、ユーザーや読者の方により良い顧客体験を提供したいという声を聞きます。特にプレミアムなオーディエンスをマネタイズの機会や売上に繋げていきたいというニーズがあります。そういった顧客がどういったことに興味があり、利用するメディアのどのような点にメリットを感じているのかという情報がデータから多く読み取れるわけですから、そういった情報を上手く活用したいのは当然のことです。

――一方でデータを使ったマーケティングが当たり前になってきているなかで、データを出したがらない企業もいるとは思いますが、その点を海外含めどう調整していったのか教えてください

やはり企業として持ってしかるべき懸念点と言えるのではないかと思います。どのデータを共有して、共有したとしてもどういった形で共有するのかというのは、いずれの企業も悩むところではあると思います。データガバナンスに関する会話を組織内でしっかりすることは重要ですし、メディアでも他の業種でも、データをどう扱い管理するかということは企業が常に考えていく必要があると思います。顧客データというのは、自社が持っている非常にユニークな資産であり、常に保護すべき対象であるので、それに関しては常に懸念を持つべきだと思います。

――データを軸にしたマーケティングのメリットや強みを教えてください

データを駆使し、より関連性の高い情報を提示することで潜在ユーザーを熱心なユーザーに転換することができます。マーケターにとって常に問題となるのは、関心を示してくれない顧客に対して費やす時間をいかに判別すれば良いのかというところがあります。それを理解するのはマーケターにとっては重要なことで、データがあって初めて理解することができると言えるわけです。ターゲットにした潜在ユーザーがいたとして、正しいタイミングで正しいメッセージを送れているのかというのも、データがあって初めて検証ができます。


Tealiumでは、様々な顧客データを統合する際、一定のルールを作成することができます。例えば、ある企業では、ある顧客がAという商品をBというチャンネルで購入した場合、それ以降他のチャンネルで商品Aの広告を出さないといったルールを作れます。来年発表予定のソリューションでは、機械学習を駆使します。現在は事前にルールを作るようになっていますが、例えば、「ユーザーAはXという分野に関心があり、Yという分野に関心がない」というデータを持っていて、「ユーザーBのデータはないが、Bに対しても、同じような結果をもたらすことができるかもしれない」、というように機械学習を駆使して、事前にルールを作らずに早い段階で意思決定ができるようにするという新たな試みを来年からスタートする予定です。

――今後のグローバル戦略と、日本国内での展開を教えてください

これはグローバル及び日本の戦略として、データサプライチェーンまたはカスタマーデータサプライチェーンをうまく活用できるようにお客様のお手伝いをさせていただきたいと思っています。このサプライチェーンはどういうものかと言うと、まずデータ収集からはじまり、標準化、保護、統合、そしてアクションへ繋げます。保護に関しては、これに取り組むことで企業に信頼も生まれます。各市場において、多少の違いは存在しますが、これらをお客様のステージごとに順番にお手伝いしてくことが重要となっています。大企業においてデータの連携や統合は容易ではありませんが、一度データを統合してしまえば、それを元に多くのことができるようになります。

――データを標準化したり、整えるという作業は途中で挫けることが多そうです。解決法はありますか

「最初に戻ってやり直すこと」が大切です。「なぜデータの品質が企業にとって重要であるか」を再度問うてみるということが重要です。企業の幹部の方やマネージャーの方は売上アップといった指標になりやすいものがあったとしても、データのクオリティがその中に入ってくるということがなかなかありません。しかし、データの精度が高ければ、長期的な売上アップにも繋がる重要な指標であるとご理解いただくことが大切です。

また、データで何か問題があった場合、1週間や1ヶ月後といった形で事後にGoogle Analyticsのレポートを見ておかしいと気付くことがありますが、弊社のプロダクトであれば、ユーザーの購入や記事閲覧といった各行動(イベント)をモニタリングしていますので、何か問題があれば、ほぼリアルタイムで企業にアラートを送り、素早く問題解決していただけるようサポートしています。

――これをやったら売上やPVが上がる、という話には現場ではなりがちです。一方、データを使ってマーケティング、だけでなくユーザーのエンゲージメントを高めていくのもマストだなと思ったりします

おっしゃる通りだと思いますし、ほとんどの企業が同じ問題に直面していたり、過去に直面していたことがあると言えるのではないかと思います。解決する方法としましては、全員が同じデータを持つということです。

多くの企業では、マーケティング部門とビジネスインテリジェンス部門が同じデータを持つということはありません。言葉の定義もデータソースも違うということが一般です。しかし、全員が同じデータを持っていることが非常に重要です。全チームが同じデータを元に仕事をすることで、インサイトを共有することもできるようになります。マーケティング部門とデータ部門が共通のデータを見ることで、共通言語ができ、企業の問題解決がしやすくなっていくと思います。

――日本でも導入する企業は増えてきそうですか?

はい。そう思います。数ヶ月前に行ったグローバルの調査では、日本の企業は、顧客データ戦略を以前から取り組んではいるものの、それをアクティベートすることができないという結果が見られました。そのギャップを埋めるためにTealium(ティーリアム)のソリューションで支援できるのではないかと思います。

――海外企業と日本企業でデータに対する見方の違いは

先程申し上げた調査の中で顕著に出ていたのが、日本企業は実際に戦略を立てており、データ統合も実施しており、企業によってはインサイトを見出しているというところもありました。しかしなかなか進んでいないのが、異なるチーム感で見出したインサイトを共有することがうまくいっていないということでした。消費者の視点に立った場合、あるブランドとエンゲージしたとして、そのタッチポイントがモバイルアプリでも、ウェブサイトでも、電話でも、消費者にとっては同じブランド・会社です。一方、企業内には色々なチームがあって、それぞれ個々にカスタマーエクスペリエンスを構築しているため、1つのチームで培った知見が他のチームと共有されないと、機会の遺失に繋がります。これは日本の多くの企業が異なるチーム間で共有するという組織体制になっていないので、それが難しいというのは皆さんが共通する課題として持っていることだと思います。

――ブランド、エージェンシー、メディアの3つが、マーケティングをする上でぐるぐると回っていくと思いますが、どういった役割分担をすれば、データに関して円滑に進められるようになるのでしょうか

ブランドは知識を構築するということの主体であると同時に、データを活用する責任を生み出します。その作業は外注することができません。この専門性は社内で構築する必要があり、多くの企業は組織の再編をする必要があるかもしれませんし、ある企業では新たなスキルを身につける必要があるということにも繋がってきます。ここでエージェンシーがどのような役割を果たすかというと、理解を深め、専門性を高めるための機会を提供することができるというものです。より重要なパートナーということになってきますし、ブランド側が今申し上げたような意向をガイドするのがエージェンシーということになると思います。自社が持っているスキルセットを把握し、欠けているスキルセットをエージェンシーが補完する存在になるとも思います。データの責任者はブランドになるので、ブランド側はどのような関係性をエージェンシーと築くのかというのを再度考えてみる必要があります。また、データという言葉を使っていますが、それをそのまま関係性と言い換えることもできます。顧客との関係性がデータであるので、正しいデータ構築は正しい関係性の構築であるとも言えます。

――最後に日本のマーケッターに対してメッセージをお願いします

データを恐れないでください、とお伝えしたいです。仕事の仕方を変えたり、自分が作っているクリエイティブやキャンペーン、パフォーマンス分析などを助けてくれるのがデータなので、是非これには投資をしていだたきたいと思っていますし、そのためのチームを構築し、そのためのスキルを高めていく取り組みをしていただければと思います。パフォーマンスを見る上で、データをどう活用するのか、という点にマーケターの方は目が行きがちですが、データがあって初めて最良の意思決定ができると思います。私もずいぶん昔ですが、バーやピクセルを見ながら、それぞれのバーやピクセルを「人だと思え」と誰かに言われたことがあります。データにおいて、そういう視点を持つということは重要だと思います。

――ありがとうございました


多くの企業がデータドリブンにシフトしながらも壁にぶつかっている中で、Tealium(ティーリアム)はどのように影響を与えてくるのか。今後の彼らの動向に注目です。
《森元行》

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