たった一週間でオンラインが動いた!ネットワークエンジン「Photon」を活用した『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』の開発者に聞く
約3ヶ月という短い期間でオンラインマルチプレイを実装しなければならなかった『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』。ネットワークエンジン「Photon」の活用でそれをなしとげた株式会社Luminous Productionsの荒牧岳志氏に、採用の経緯や使用感をうかがいました。
2018年3月7日に株式会社スクウェア・エニックスから発売されたPCゲーム『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』。2016年11月29日にPlayStation 4/Xbox One用ソフトとして発売された『FINAL FANTASY XV』のPC版となる同作は、さまざまな事情から約3ヶ月という非常に短い期間でオンラインマルチプレイを実装しなければならなかったといいます。
荒牧2002年に株式会社スクウェア(現・株式会社スクウェア・エニックス)に新卒で入社し、今年から株式会社Luminous Productionsに転籍してリードプログラマーとしてゲーム開発に携わっています。これまでにさまざまなタイトルを手がけてきましたが、直近では『FINAL FANTASY XV』と、同作のゲームエンジン「Luminous Engine」のリードプログラマーを務めました。『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』では、ディレクターも務めています。
――『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』の開発はいつ頃から動いていたのでしょうか。
荒牧PS4/Xbox One版(以下、コンソール版)の『FINAL FANTASY XV』は2016年11月に発売されました。本作は、コンソール版のリリースをした後に本格的に開発をスタートさせました。
『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』では、ワイドスクリーンやキーボード/マウスによる操作というPCゲームならではの実装をしつつ、コンソール版と同じものをきちんとお届けしようというコンセプトで開発が進みました。特に今回はNVIDIAさんに様々な面でサポートいただき、高いクオリティの作品に仕上げられたと思っています。お陰様で、日米欧の主要地域だけでなく、東欧や南米などでも多くのプレイヤーに遊んでいただいています。
―――マルチプレイについても簡単に教えてください。
荒牧コンソール版でのマルチプレイに対応した『FINAL FANTASY XV オンライン拡張パック: 戦友』は2017年11月13日に配信開始されています。最初の企画書は実は私が書いたのですが、『FINAL FANTASY XV』の特徴となっているチームでのアクションバトルと、キャラクターの高いカスタマイズ性を活かして、オンラインで4人でチームを組んでモンスターを討伐するという内容になっています。
――そんな中で、「Photon」の採用にいたった経緯はどのようなものだったのでしょうか。
荒牧実は『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』のマルチプレイ実装には3ヶ月間の猶予しかなかったんです(笑)。
荒牧オンプレミスかクラウドかというのは議論があったのですが、実績豊富で経験もあったアマゾン社のAWSでホスティングしています。『FINAL FANTASY XV』は世界中で遊ばれているゲームですので、日本、北米、欧州のリージョンに分散しています。プレイヤーの数によってスケーリングさせられるというのも、クラウドを選択した理由の1つです。