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【特集】「大切なのは何を生み出すか」トイロジック岳氏がオリジナルゲームと自社エンジン開発へのこだわり語る

『大乱闘スマッシュブラザーズX』や『新・光神話 パルテナの鏡』などの開発に携わる受託業務を行う一方で、『Happy Wars』や『ハッピーダンジョン』といった自社オリジナルタイトルのパブリッシングも展開しているトイロジック。

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◆受託業務と自社パブリッシングの2本柱を持つ「トイロジックの強み」とは



──現在、トイロジックが行っているメイン事業について、詳しく伺ってもよろしいでしょうか。

岳氏:会社で行っている事業を大きく2つに分けると、まずは開発受託ですね。

──オリジナルコンテンツを立ち上げるために設立した会社と伺いましたが、なぜ開発受託業を?

岳氏:オリジナルコンテンツだけだとリスクが高すぎるので、やはり安定地盤の構築が必要となりました。受託業というと「片っ端から営業して仕事を取って売上優先で回そう」みたいなイメージがありますが、受託を受ける時の条件として「スタッフにとっていい経験になるか、成長に繋がるか」という点を大切にしています。現在は比率的に6割ほどの開発受託業を行っていますが、守りの戦略として社員の成長のためにもこれから続けていきたいと思っています。

──受託業務は、「大きい金額だから何でもやる」というわけではなく、スタッフの成長やこの会社で行う意義があるのか、そういった点が重要なんですね。

岳氏:はい、そうです。とはいえ、時には苦しい時に助けていただくようなお仕事もちょいちょいありました(笑)。

──委託業務先として、トイロジックさんが選ばれる理由というのはなんでしょうか?

岳氏:いい意味で、「下請け精神」に徹していないところだと思います。受託と開き直ってやるわけでなく、さも自社のコンテンツに向き合うようなこだわりを持ってモノ作りに当たるスタッフが多く在籍している点が大きいですね。クライアントから求められた100に対して150や200で返すスタッフの姿勢が評価されていると捉えています。

──委託業務となると、受ける側にとって「言われた範囲でやればOK」という場合も多々ありますが、そこを一歩超えられるというのは本当に凄いことだと思います。

岳氏:そして残りの3~4割が、自社コンテンツのセルフパブリッシングです。今はやりたいことに対して成長がついてこれなくてタイトルの数はまだ限られています。

第1弾で出した『Happy Wars』は85%が欧米圏で遊ばれていて、昨年リリースした『ハッピーダンジョン』はダウンロード数が250万を超え売り上げも順調に伸びており、好調なスタートです。

岳氏:自社パブリッシングと受託を両方やっていることがうちの強みだと思っています。受託だけだと、どうしてもクライアントの要求を意識する事ばかりが高くなりすぎてしまうんです。でも自社パブリッシングもやっているので、最後は遊ぶユーザーが応えてくれるかが一番大事だという気持ちが育ってくれます。

──受託業務とセルフパブリッシングの両立が、モノ作りに対する考え方に影響しているんですね。

岳氏:人材募集の段階で、モノ作りを商売として割り切っている人ではなく、本当にモノを作りたい人たちを求めているので、会社自体がこういった方向になっているのかなと思います。その分ちょっと商売下手なところがあるのかな(笑)。


──受託業務としてこれまで様々なタイトルに関わっており、近作では、ニンテンドー3DS版『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』がビッグタイトルでした。大きなプロジェクトだったと思いますが、開発を終えた率直な気持ちなどをお聞かせください。

岳氏:発売日当日に、開発スタッフが朝から量販店などに足を運びまして。そして、ジャンジャン売れていくのを目の当たりにして、「日本国民がこぞって買ってくれているぞ」と(笑)。やっぱり、その瞬間が1番嬉しいですよね。日本のゲーム業界に自分たちが貢献できたんだという喜びが大きかったですね。

──このプロジェクトを通して、スタッフの方々はどのような成長をされましたか?

岳氏:細かい話になりますが……ものすごく大量のリソース、膨大なシナリオ、ゲームのバランス調整など、これまで経験したことのないような大量の要素すべてを全部ひとつの形にするという経験を積むことができました。この経験を得たことで、「ものすごい大作ゲームをこれからも作っていけるぞ」という自信に繋がりましたね。

これまで自社で大作を動かそうとした時に、ある程度限界を感じていたところが、ひとつ突破できるようになった手応えを覚えています。

──貴社にとって大きな経験になったわけですね。ちなみに、開発の方は大変でしたか?

岳氏:大変は大変だったんですが、もっと生き地獄を覚悟していたんですよ(笑)。でもスタッフは、大変ながらも笑顔が多くて、侃々諤々(かんかんがくがく)としながらも最後はみんな「もっと面白くするぞ」と、こだわりを持つ精神を諦めずに貫き通していました。想像という点で言うと、辛さはそこまでではなく、楽しさは想像以上でしたね。

──『DQXI』という大きな山を乗り越えましたが、更なる今後のプロジェクトについて伺ってもよろしいでしょうか。

岳氏:何も詳しいことは言えませんが、ウチの会社が強みとしている「オンライン」と「アクション」を活かしたタイトルが社内で動いているのではないでしょうか(笑)。

──どんなタイトルになるのか期待が高まりますが、想像つきませんね。

岳氏:現在は大型のコンソール向けタイトルと、スマートフォン向けのアート的にも技術的にもかなり新しい取り組みのタイトルも動いており、こちらも話題になるんじゃないかなと期待しています。

他にも、『八百万クエスト』という位置情報を用いたスマートフォン向けのRPGを作っていまして、今冬にリリースする予定です。

──いずれも気になる展開ですね。今、詳しく伺えないのが残念です。

◆トイロジックが求めるのは、「遊び」を「仕事」にしたい人



──トイロジックとして、スタッフに求める人物像はどのようなものでしょうか。

岳氏:モノづくりや技術にこだわりのある人、そして互いの人間関係を大切にする人です。仕事を楽しむ姿勢も大事なんですが、誰と仕事したいか、その人達とどんなゲームを世の中に生み出してやろうか、そんなことを考えている人と相性がいいと思います。ゲームを本当につくりたい人、技術から遊びを生み出したい、そんな人ほど現場では大活躍しています。

ゲームって最終的に人を楽しませるものなので、(開発者は)自分自身の「遊び」を生む感性も大事ですし、作る時には「遊び」の形をを構築するための論理性も必要となります。感性だけでモノを作るのではなく、ロジカルに物事を考える力もいるわけで、その両方のバランスが取れている人をウチの会社は求めています。

──新入社員の採用率が高いと伺っていますが、新入社員と中途社員の割合などを伺ってもよろしいですか?

岳氏:会社を立ち上げて早い段階で新卒採用活動をスタートしたので、同規模の他社さんと比べると新卒の採用率が高いと思います。2年目で採用活動を開始し、その翌々年に最初の新卒が入社したので、最初の新卒スタッフで7~8年目くらいですね。今は会社のリーダーがその世代に移ってきています。

──離職率が非常に低いとのことですが、具体的にどれくらいでしょうか?

岳氏: 新卒3年離職率は過去5年間0%がつづいています。中途入社も非常に定着率が良く、過去3年で辞めた方が2名です。ゲーム業界は離職率が高いのでどこのゲーム会社の方と話してもこの離職率はびっくりされますね。

──お答えしにくいかもしれませんが、「トイロジックに向いていない人」はどんな方になりますか?

岳氏:難しいですね(笑)。「新しい技術を追求したい」と「ゲームを作りたい」、このどちらかを持っている人であれば、ウチの会社は結構居心地がいいと思います。逆に、「仕事は仕事と割り切る人」は、合わないかもしれませんね。仕事もプライベートもしっかりと楽しみたい方が、ウチと合うんじゃないかな。


──「遊び」を「仕事」にしたい人、という感じでしょうか。

岳氏:そうですね。

──ここまで、経営理念やトイロジックとしてのスタンスなどを伺いましたが、岳さんにとっての「夢」があればお聞かせください。

岳氏:これもまた難しい質問を(笑)。死ぬまでモノ作りに関わっていけたら幸せですね。笑ったりもがいたりしながら脳波が停止するまでゲーム作りに関係していきたいと思っています。そして「まだ世の中にないゲームジャンルの創造」にこだわりたいです(笑)。

どれだけ多くの人達の人生に、どれだけ新しい遊びを提供できたのか、それが私とトイロジックの価値を決めると思います。

あと、夢とは少し違う話になりますが、トイロジックが目指す方向について、会社ってとにかく稼いでシェアと会社の規模拡大を目指しがちですが、ウチは企業規模の大きいものは目指していないです。

規模は必要に応じて拡大すればいいと思っている程度で、生み出していくコンテンツが凝縮されて面白くなっていく組織体という会社に成長をさせたいですね。拡大路線ではなく、スタッフの一人一人がしっかりと成長していくことを大切にしたいと考えています。

土地領土を広げたがる大国になるのではなく、すこしでも幸福度が高い島国をめざしたいと思っています。

──社長である岳さんは、社員の方とどのような交流を行っていますか?

岳氏:社長としては、かなり積極的に交流していると思います。普通に仲がいいかと(笑)。サバゲーやボードゲーム合宿、一緒に登山へ行くなど、色々ですね。

「サークル補助制度」があって、会社内で様々なサークルがあります。ボルダリング部とか、フィギュアを作りまくっている3Dプリンター部とか、ただひたすら漫画を買って読む漫画部とか変わったサークルが多いです(笑)。

──補助金が出るんですか?

岳氏:はい。そのお金で、みんな色々と楽しんでいます。掛け持ちもできるので多趣味な人は楽しいと思います。

──それでは最後になりますが、読者の方々に向けたメッセージをお願いします。

岳氏:日本の今のゲーム業界は、「面白さ」よりも「ビジネスモデルの追求」ばかりが先に行き始めていて、「本当に面白いゲーム」がなかなか体験しづらくなっているように感じます。トイロジックは、「楽しんでもらえる面白いゲーム」をどんどんと作っていきたいと思っていますので、暖かく厳しい目で見守っていただきながら遊んでもらえると嬉しいです。

そして、一緒に作りたい人は是非! お待ちしております。

──本日はありがとうございました。

《Game*Spark》

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