東南アジアのゲームアプリ市場開拓に関して知っておくべきこと(前編) | GameBusiness.jp

東南アジアのゲームアプリ市場開拓に関して知っておくべきこと(前編)

近年、日本のゲーム会社から海外進出のご相談をよくいただくようになりました。今回のコラムでは、AppLovin本社のブログに、アメリカのゲーム業界のコンサルタントであるJosh Burns氏が投稿したコラムを、日本の読者の皆様向けに編集してお届けします。

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東南アジアのゲームアプリ市場開拓に関して知っておくべきこと(前編)
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近年、日本のゲーム会社から海外進出のご相談をよくいただくようになりました。そこで今回のコラムでは、AppLovin本社のブログに、アメリカのゲーム業界のコンサルタントであるJosh Burns氏が投稿したコラムを、AppLovin日本法人の林が日本の読者の皆様向けに編集してお届けします。

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もしあなたが日本以外でゲームをリリースする新たなマーケットを探しているなら、東南アジアは魅力的なマーケットでしょう。急速に成長を遂げており、調査会社「Newzoo」によると、東南アジアのゲームアプリの売上高のCAGR(Compound Average Growth Rate:年間平均成長率)は +45.3%で、世界全体の成長率の3倍となっています。多くの専門家が、モバイルゲーム市場の次の中国的な存在として東南アジアに注目しています。米国や中国、韓国は既に「レッド・オーシャン」と化し、競争が激しさを増しているためです。

Newzooによると、東南アジアのゲームアプリの売上高は2019年までに3倍の3.9億ドルまで拡大する見通しで、この将来的な成長の可能性や、ローカライズに必要な労力の小ささなどを理由に、東南アジアでのビジネス拡大への取り組みを加速させるゲームデベロッパーはさらに増加するはずです。今回は東南アジア市場進出の際に知っておくべきいくつかのポイントをご説明します。

■少なくとも最初は、英語以外の言語サポートを心配する必要は低い

東南アジア市場は細分化が激しく、完璧にローカライズするには、言語サポートはかなりのチャレンジになるでしょう。ただ東南アジアは英語を理解する人が非常に多いため、まずは英語から始めれば十分です。たとえば、シンガポールやフィリピンでは英語が公式言語になっており、マレーシアでは第2言語として浸透しています。したがって、言語面の理由からソフトローンチの対象としては、シンガポールとフィリピンの2カ国が最適と言えます。

フィリピンのゲームパブリッシャー、Altitude GamesのCEO、Gabby Dizon 氏は、東南アジアで新規ユーザー獲得をする場合、マーケティングとゲームコンテンツへの対応で違いがあると言います。「東南アジアでのマーケティングは、現地のカルチャーを尊重すべきでしょう。ただ、ゲームコンテンツでカルチャーを意識する必要はそれほど強くありません。英語でゲームをローンチし、その国や地域でゲームが軌道に乗ってから言語やカルチャーのローカライズを始めれば良いでしょう」と語っています。

言語サポートを開始するにあたっては、たとえば英語と中国語簡体、繁体をサポートしている場合、次に重要度が高いのはベトナム語、タイ語、インドネシア語の順になると思います。東南アジアの大手ゲームパブリッシャー、Ini3 Digital PLCのビジネス・ディベロップメント・ディレクターの Andy Pichayapa 氏は、「マレーシアで一般的なオーディエンスをターゲットにする場合は、英語と中国語でのローカライズが最適である」と述べています。

■国によって大きく異なるモバイルインフラ

モバイルのネット接続環境は東南アジアでも大きく異なります。ベトナムのように接続が遅い国もあれば、シンガポールのようにインフラ整備が進んでいる国もあります。つまりテクノロジー面では、東南アジアでローカライズを行う際は、かなり低性能のAndroid端末でもゲームが動くようにする必要があります。これは、中国の大衆市場をターゲットにする場合と似ています。また、ダウンロードの容量を小さくしたり、進行データを最小限にとどめたり、データ使用を出来る限り低く抑える必要があります。さらに、不安定で遅いデータネットワークをサポートできるようにするほか、オフラインでのプレイもサポートすることが重要になります。ゲームジャンルによっては低性能の端末やネットワークを想定して開発していないため、こうしたテクノロジー面の問題に直面することが多くあります。ネットワークが遅い可能性を念頭に置きつつ、東南アジアの戦略は「モバイルファースト」で考えるのが重要です。

■国によって異なる決済モデル

東南アジアのほぼ全域で直面する最大の問題は、現地ユーザーが好むキャリア決済やオフライン決済などの決済方法を Google Play がサポートしていないことでしょう。前述のAndy Pichayapa 氏は、「多くの若者や地方のユーザーはクレジットカードを保有していません。一部の東南アジアの現地大手オペレーターは、未だ売上の半分近くを第三者決済サービスを通じて得ている可能性があります」と述べています。

「言語」、「インフラ」、「決済モデル」の3点の事情を押さえていれば、東南アジアのモバイルゲーム市場を理解する上で良いスタートが切れるでしょう。ただし、東南アジア開拓のために知っておくべきことはこれだけではありません。そこで次回のコラムでは、端末利用や消費行動の違い、市場の急速な成長、プレイヤー囲い込みに現地でのイベントを活用する重要性、eスポーツの人気上昇などについてご紹介したいと思います。


著者: 林 宣多(はやし・のりかず)
AppLovin日本法人代表取締役。GREE、Yahoo! Japanでの広告プロダクト立ち上げ後、米国に拠点を移し、設立直後のAppLovinに参画する。AppLovin本社の営業責任者として事業の成長をけん引した後、2016年4月にAppLovin日本法人の代表取締役に就任する。
《林 宣多》

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