NTTぷらら、「ひかりTV」でスマホ向け4K映像の配信をスタート | GameBusiness.jp

NTTぷらら、「ひかりTV」でスマホ向け4K映像の配信をスタート

NTTぷららは17日に15年度下期事業説明会を開催。代表取締役社長の板東浩二氏が出席し、「ひかりTV 4K」のサービスを中心に直近の戦略を語った。

市場 市場動向
NTTぷららの板東浩二氏
  • NTTぷららの板東浩二氏
  • 記者会見にはエジプト考古学者の吉村作治氏(左)、よしもとクリエイティブ・エージェンシーの山地克明氏(右から二番目)、ネットネイティブの松下佳憲氏(右)が出席した
  • ひかりTV 4Kの4K動画コンテンツは順調に数が増えている
  • 4K-IP放送がスタート
  • 4K-IP放送のサービス概要
  • ひかりTVもオリジナル4K作品の制作に力を入れる
  • エジプト考古学をテーマにした番組「人類の遺産」
  • よしもとは4Kお笑い番組の生放送を展開
 NTTぷららは17日、2015年度の下期事業説明会を開催。代表取締役社長の板東浩二氏が出席し、「ひかりTV 4K」のサービスを中心に直近の戦略を語った。

■4K VODのビジネスは好調。海外サービスの上陸による影響はない

 ひかりTVでは、2015年10月に4K高画質のVODサービスを開始。スタート当初は124本だったコンテンツ数を着実に増やし、現在453本まで伸ばした。時間数に直すと300時間。ジャンルは映画やドキュメンタリー、エンタメ、歌番組など多岐にわたる。板東氏は2016年3月末までに700本まで4Kタイトルを増やして日本最大の4Kサービスにしたいと目標を掲げた。

 なお今秋から日本国内でのサービスが始まったNeflixやAmazonプライムビデオなど、海外発の定額制VODサービスが同社のビジネスに与えた影響について、板東氏は「先方のモバイルを中心としたビジネスモデルに対して、ひかりTVはテレビ向けが主戦場になるので、今のところは目に見える形でのインパクトはないとみている。ただ、良い面としてはVODそのものへの世間の関心が高まる効果はあると感じている」とコメントする。

 4K動画配信を普及させるための施策としては、「ひかりTVのVOD対応チューナーを内蔵するテレビをメーカーの協力を仰ぎながら広める活動に力を入れてきた」と振り返る。その結果、現在40~80インチ台の大画面テレビを中心に約60機種の対応テレビが市場に出荷されている。「チューナー内蔵テレビをご購入いただいたお客様は、別途STBなしで、ひかりTV 4Kのコンテンツを楽しめるメリットが得られる。今後ますますユーザーが増えるだろう」と期待感を表す。

 4Kコンテンツは製作コストがかかる割には、ビジネスとして得られる利益が少ないという課題も指摘されているが、「その対応策として、当社では『ひかりTVクリエイターズチャレンジ』という4K映像制作のコンテストを実施しながら、優良コンテンツが拡大する土壌を肥やしてきた。専門学校HALで学ぶ有志の学生の皆様にカメラや編集機材をお貸し出しして、作られた4K映像から優秀な作品を選び出すというもの。最終的に大賞・優秀賞を3作品選んだ。非常にいい作品ができた」と、板東氏は成果を強調した。優秀作品については12月からひかりTV 4Kの作品として配信される。

 板東氏はさらに、クリエイターズチャレンジを一過性のものにしたくないという意志を表明する。今後の視聴者の反響が良ければクラウドファンディング資金を集めて支援したいとして、意欲的なクリエイターを積極的にバックアップしていく姿勢を示した。またHAL以外のパートナーとの提携についても前向きに検討していきたいと語った。

■ひかりTVの「4K放送」が30日からスタート

 続いて板東氏が言及した、今後の4Kコンテンツへの取り組みが今日の説明会の本題だ。板東氏は壇上で30日から新しい取り組みである「4K-IP放送」をスタートさせると宣言した。これでひかりTVのプラットフォームにはインターネットを活用したVODとIP放送の二つが揃うことになる。

 IP放送のチャンネルを2局が立ち上がる。ひとつは総合編成の「Ch104」。11月24日から試験放送がはじまり、30日から本放送を予定する。放送時間帯は10時から26時。

 もう一つの局は12月19日に立ち上がる「モデルプレスTV by ひかりTV 4K」と銘打つ、エンタメ報道とライフスタイルニュースを専門とした「Ch105」だ。こちらも放送時間帯は10時から26時となり、試験放送が12月11日から始まる。板東氏は「4K放送と4K VODの商用サービスを全国で提供する事業者になれる」と胸を張る。

 総合放送のコンテンツについては、ドラマやドキュメンタリー、エンタメなどの多彩なジャンル構成を特徴にうたう。スポーツやお笑い番組にも注目のタイトルが並ぶ予定であり、特にお笑いの吉本興業とのコラボレーションによる番組「ルミネtheよしもと」は、12月12日から毎週土曜・日曜に「生中継」されることも決まった。さらに来年春からはニュース系番組の生中継も予定する。

 モデルプレスTVは、日本最大級の女性向けエンタメ、ファッション系などライフスタイル情報を提供するモデルプレスが制作するチャンネルだ。こちらも番組のラインナップに「ひかりTV 4Kスタジオ」からの生中継コンテンツが加わる予定だ。

■ひかりTVの4K-IP放送を見るために何が必要か

 番組を視聴するためにはひかりTV 4Kの専用チューナー内蔵STBが必要だが、すでにVOD版のひかりTV 4Kを利用するためにチューナーを契約している場合は、24日に公開される本体のファームウェア更新を適用すれば4K放送が見られるようになる。チューナーのレンタル料金についても、12月利用分から現在の1,800円から900円に値下げされる。

 さらに東芝の4K液晶テレビで、すでにひかりTV 4KのVODサービスに対応する機種については、ファームウェアの更新により12月17日以降に対応していくことが明らかになった。シャープ、パナソニック、LGなど他のテレビメーカーとも対応に向けた協議が進んでいるという。

 なお4K放送のコンテンツはチューナー内蔵STB経由を使って録画ができるようになる。4K放送を視聴しながらの裏番組録画について、板東氏は「回線容量が必要。チューナーのスペックとして2番組の裏録画ができたとしても、回線状況をみたうえで実施を判断するかたちになろう」と説明を加えた。

■テレビ局との協業で4K番組を強化

 4Kコンテンツの作品数を強化するための施策も発表された。ひとつは民放キー局であるテレビ東京との4K共同プロジェクトをさらに加速。4K VODをベースに、地上波での放送直後からの4K先行配信だけでなく、放送6日前からの4K先行配信を充実させるほか、来年春公開予定の映画作品も、劇場での封切前に4K VODで先行独占配信していく。また準キー局である関西テレビとの共同プロジェクトとして、2016年1月13日から連続ドラマ「大阪環状線」を4K VODで配信する。

 ほかにも全国各地のローカル局との共同プロジェクトにより、4Kコンテンツの制作基盤を固める。第1弾として北海道文化放送、札幌テレビ放送とともに2016年1月から北海道特集を実施。続く第2弾として福岡、長崎のローカル局との取り組みも広がる。国内映画会社との4K共同プロジェクトについては劇場公開作品の4K放送・VOD双方での協力関係を深めていく。

 ひかりTVオリジナルコンテンツの制作についても、4K-IP放送とユーザー参加型SNSサービスの「部活DO!」と連携するインタラクティブな番組「4K Fes.~超進化系映像ショー~」が12月下旬から放送開始を予定している。

■さらに高画質な「4K HDR」のVODやスマホ向け4K配信も開始

 映像の高画質化技術「HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)」に対応する4K VODコンテンツも30日から提供が始まる。板東氏は「最初の作品は十数本を提供したい」とする。視聴方法はLGや東芝などテレビメーカーから発売されているHDR対応のテレビにひかりTV 4K対応のチューナーを接続して、サービスを契約すれば見られるようになる。来年春にかけてコンテンツ数を拡充していくほか、ソニーやパナソニックの製品も対応をめざす。

 またひかりTV 4KのVODサービスが20日からスマホにも対応することが明らかになった。視聴に使うアプリ「ひかりTVどこでも」をスマホやタブレットに入れて、外出先でも高精細な4K動画がみられるようになるというもの。4Kのままの高画質で見られる端末はソニーの「Xperia Z5 Premium」に限られるが、ほかのスマートフォンでもダウンスケールされたHD/SD画質の映像でコンテンツが視聴可能になるという。コンテンツをダウンロードしてオフラインで鑑賞することはできない。

 板東氏は「これらの4K関連の取り組みを充実させることによって、充実したスマートTVプラットフォームが構築できた。今度はその上にコンテンツやアプリを増やしていくことで、大抵のニーズがカバーできるだろう」と自信をみせた。

 また最後に24日から、愛媛CATV、ジャパンケーブルキャスト(JCC)との協業による新しいひかりTVの販売スタイルを始動させる方針も発表された。こちらの取り組みについては、ひかりTVのサービスをユーザーインターフェースを愛媛CATV向けにカスタマイズして提供するかたちになり、JCCは愛媛CATVの課金データの生成を担当する。

 同時にひかりTV 4KのSTBを買い上げて愛媛CATVに提供するかたちでビジネスチェーンを構築。サービスのブランド名は「ひかりTV with 愛媛CATV」。愛媛CATVとしては新規顧客に4KコンテンツやVOD、クラウドゲーム、音楽配信などのサービスを提供しながら差別化が図れるメリットを得られるという。また今後はJCCが「ひかりコラボ」による光回線の卸販売を行う方向についても協議が進んでいるようだ。

4K放送スタート&スマホ対応……NTTぷららが「ひかりTV」の新戦略を発表

《山本 敦》

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