ゲーマーの良心がゲームを救う…アメリカで起こった「#GamerGate」とモラル向上への議論 | GameBusiness.jp

ゲーマーの良心がゲームを救う…アメリカで起こった「#GamerGate」とモラル向上への議論

現在、Twitter上で「#GamerGate」というハッシュタグとともに、ゲーム業界やゲームメディアに関する様々な激論が飛び交っています。

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現在、Twitter上で「#GamerGate」というハッシュタグとともに、ゲーム業界やゲームメディアに関する様々な激論が飛び交っています。

最近、アメリカのゲーム業界では非常に多くの問題が起きています。8月、女性インディーズゲーム開発者のZoe Quinn氏の元恋人と称する男性が、Quinn氏が開発したゲームに高い評価を得るために、米Kotakuのライターと性的関係を持った、という根拠のない中傷文を自身のSNSサイトに公開しました。調査を行った米Kotakuが事実ではないと正式にコメントを出したにも関わらず、一部のネットユーザーがQuinn氏のSNSアカウントやホームページを乗っ取って改ざんしたり、doxxing(住所や電話番号等の個人情報をインターネット上に公開する嫌がらせ)などの悪質な行為を行ったりしたため、大問題となりました。

さらに8月末には、自身が出演するビデオブログでゲームの中の女性の描かれ方について問題点を指摘し、表現の多様化の必要性を訴えていた女性ゲーム評論家Anita Sarkeesian氏が、その活動に反対する一部の悪質なネットユーザーから個人情報の公開と殺害予告を受け、避難を余儀なくされるという事件が起こりました。


上記の事件に加え、PSNへのDDOS攻撃やSOEプレジデントが搭乗した飛行機への爆破予告もあり、立て続けに起こった重大事件を問題視した国際ゲーム開発者協会IGDAは、このような行為を批判する声明を8月末に発表し、9月4日にはFBIとともに悪質な行為への対策を講じることとなったことがわかりました。

また、9月1日にはゲーム開発者のAndreas Zecher氏がオンライン公開書簡で「性別、性的志向、人種、宗教、障がいを問わず、すべての人はゲームをプレイする権利があり、ゲームを批評する権利があり、ゲームを侵害されず、脅かされないものとしておく権利がある」と述べ、ゲーム業界の継続的な発展のために、ハラスメントを見かけた際にはしかるべきサイトへ報告することや、ヘイトスピーチへ反対姿勢を示すことを呼びかけました。この書簡は大きな反響を呼び、2495人の署名を集めました。署名の中には、任天堂ヨーロッパやマイクロソフト、スクウェア・エニックス等、大手ゲーム企業の社員と思われる人々の名前も散見されます。

このような状況で生まれた「#GamerGate」ハッシュタグは、8月末頃、ネット掲示板の「4chan」でユーザーが使いだしたものと見られています。このハッシュタグがTwitterへ伝搬し、現在に至るまで活発な議論が続いています。交わされている議論からは、ゲームを愛する多くの人が、ゲームコミュニティーのモラル向上と発展を目指し、言葉を吐き捨てるだけでなく、未来を見据えた建設的な議論をしていこうという意志が見てとれます。

ビデオゲーム産業の市場規模の大きさ、近年のゲームを芸術としてとらえる動き、e-Sports競技人口の拡大など、ゲームが社会に与える影響が年々大きくなっていることから、多様性を認め、モラル向上を訴える動きが活発化していると言えるでしょう。なお、映画『フルメタルジャケット』などに出演しているハリウッド俳優アダム・ボールドウィンも同ハッシュタグを用いて発言しています。



「#GamerGate」の議論は始まったばかりで、活動の道のりは決して容易ではないものと思われますが、ゲームを愛する人々の良心に支えられてこれから世界中で新たな展開を見せるかもしれません。ゲームコミュニティーのモラル向上と業界のさらなる発展のために、日常の振る舞いやメディアのあり方を今一度考えてみる必要がありそうです。
《GameBusiness.jp》

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