ニコニコアプリ『タイピングラップラー刃牙』の舞台裏について聞く・・・原作者のお墨付きと次世代のサーバー環境で実現 | GameBusiness.jp

ニコニコアプリ『タイピングラップラー刃牙』の舞台裏について聞く・・・原作者のお墨付きと次世代のサーバー環境で実現

2014年6月からニコニコアプリでサービスが開始された『 タイピングラップラー刃牙 』。原作に登場する強敵達をタイピングを駆使して倒していく、カジュアルなPCゲームです。

ゲーム開発 その他
2014年6月からニコニコアプリでサービスが開始された『タイピングラップラー刃牙』。原作に登場する強敵達をタイピングを駆使して倒していく、カジュアルなPCゲームです。

本作はまた、4月22日にサービス内容を一新したゲームやアプリのサービス提供に最適化されたクラウドサービス「GMOアプリクラウド」を採用。ゲームの開発やインフラの使い勝手などについて、幅広く伺いました。

■参加者

古川浩介 クリーク・アンド・リバー社 デジタルコンテンツ・グループ 第二デジタルコンテンツ・ディビジョン 第一セクション ディレクター


ニコニコアプリで好評配信中の『タイピングラップラー刃牙』


■タイピングゲームで『刃牙』の新しいファン層を開拓

―――今日はよろしくお願いします。はじめに簡単な自己紹介をお願いします。

クリーク・アンド・リバー社の古川浩介です。ディレクターという肩書きですが、当案件ではプロジェクトマネージャー的に仕事をしています。

―――遊ばせていただいて、想像以上に『刃牙』の世界観が演出されていて、驚かされました。皆さん『刃牙』好きだったんでしょうか?

そうですね。版権ゲームはある程度都合で決まるものも多いのですが、本作については開発チーム全体で練り上げた企画でした。はじめに「ニコニコアプリ」で何かゲームを出さないかという話があり、作るなら『刃牙』がいい、ということになりまして。当企画を版元さんに打診をしたら、先方も『刃牙』のファン層を広げたいと模索されていたということで、色々な層にアピールできそうな当企画でうまく話がまとまりました。話を戻すと、それくらいチームが『刃牙』を広めたいくらい好きだったと言うことですね。


本作の開発を担当した古川浩介氏
―――それは素晴らしいですね。タイピング格闘ゲームという点が特徴ですが、どういったところから企画を立てられましたか?

ソーシャルゲームということで、カードゲームタイプにするアイディアもありましたが、個人的にはイマイチのれなかったんですよ。かといって『刃牙』だから格闘ゲームというのも、どうかなと。格闘ゲームはこれまでたくさんリリースされていますしね。そこで「ニコニコユーザーなら、弾幕チャットなどで、タイピングにも慣れているはず……」というアイディアが出てきて、タイピングゲームになったんです。ただ、何かもう一ひねりできないかと考えて、カードゲームの要素も加えることになりました。こんな風に『刃牙』『タイピング』『カードゲーム』という、さまざまな要素がうまくミックスされた内容になっています。

―――シンプルなようでいて、結構いろんな要素が加えられているんですね。

そうですね。基本となるクエストでは、相手とタイピングバトルで戦っていくという内容です。これまでのタイピングゲームでは、単語を入力するまで画面が止まっているものが多かったのですが、本作では一文字入力するごとにキャラクターが攻撃を繰り出し、アクションゲームのような爽快感が得られます。ガチャやクエストで格闘家カードを入手したり、パズルピースを集めて強力なピースカードを入手することもできます。他のユーザーのゴーストと戦う「闘争」という要素もあります。


刃牙の世界観でタイピングバトルが楽しめる


―――ニコニコ動画は10代のユーザーが中心で、『刃牙』といえば30~40代のファンが多い印象を受けますが、実際にはどんなユーザーが遊んでいるのでしょうか?

幅広いユーザーに遊んでいただけています。おっしゃるとおりで、30~40代は『刃牙』のファン、若い子は純粋にタイピングの練習にもなるということで、遊んでいただけているようです。単純に『刃牙』のソーシャルゲームを出しただけでは、若い子に広まらないと思ったので、タイピングによりカジュアルな要素を加えました。ある程度狙いが当たって、良かったです。

―――ちなみに、タイピングゲームって作られたことありますか?

原作ゲームは何度かありますが、タイピングゲームはこれが初めてでした。日本語のかな入力のルールって、けっこう複雑ですよね。かなり対応したつもりですが、ユーザーさんから「こういう風に打ちたい」という要望が寄せられていて、順次対応中です。こういった点はオンラインゲームならではですね。ちゃんと対応すると、喜んでもらえるので、ありがたいですね。

―――格闘ゲームのように、画面の左右にキャラクターが表示されていて、驚きました。

そこはこだわった点の一つですね。アバターという概念を取り入れて、ちゃんとキャラクター同士が画面上で、動いて戦うようにしました。もともとキャラクターの思い入れが強いコンテンツなので、文字を入力するごとに、ちゃんと動かしてあげれば、それだけで楽しいし、喜ばれるんじゃないかと。アップデートを通して、アバターの魅力をもっと打ち出すことも考えています。原作にも『刃牙』の背中に鬼の姿が浮かび上がってきて、一段階強くなるといった描写があるので、何か覚醒能力などを付け加えるなども検討中です。


キャラクターを育成していくという楽しみもある


―――さすが原作ファンだけあって、かなり読み込まれていますね。ちなみに原作チェックなどは、スムーズに行ったのでしょうか?

はい、滅多にないことだと思うのですが、原作者の板垣恵介先生にも実際にお会いして、内容などの監修を直接いただきました。音に関してなど、具体的な指示もいただきましたよ。そのため開発効率がすごく良かったですし、開発チームのモチベーションも上がりましたね。普通は版元の方に素材などをお渡しして、作家先生にご確認いただくんです。ただ、今回はそこそこ内容が複雑なので、開発チームが直接いかないと無理だろうとなり、だったらどんどん突っ込んでいこうと。そのためか、無事気に入っていただけました。

―――それは珍しいですね。原作者に認めてもらえるゲームを作るというのは、かなりハードルが高いでしょう。

自分も何度か原作ゲームの開発経験がありますが、本当に希なケースですね。

―――今後のアップデートについて、何か予定はありますか?

いま原作で武蔵編が進んでいますので、原作に何か動きがあれば、随時追加を検討していきます。またイベントなども、随時追加していきますよ。


―――版元さんとのチェックはどのように行われるのですか?

はじめに使用できる素材について版元さんと交渉して、禁止事項についても確認を行いました。そこで抵触しなかった表現については、ゲームに組み込めるように、随時お願いしています。先ほども言いましたが、板垣先生自身のOKをいただいていたので、トラブルは少ないですね。最初はお互いに様子見というところもありましたが、今はかなりサクサクと進んでいます。

■クラウドと専用サーバー(ioDrive2)を組み合わせたハイブリッド構成で環境を構築

―――ちなみに本作はFLASHベースで作られていますよね?

そうですね。特に変わったエンジンなどを使ったわけではなく、若手のFLASH使いがゴリゴリと組みあげました。だいたい6人のチームで、3ヶ月ほどで作りました。

―――それは近年希に見る小規模開発ですね。PCゲームで、グラフィックやサウンドのクオリティも高いので、もっと大規模化と思っていました。

おかげで大変でしたが、みながんばってくれました。

―――久々にFLASHで気合いの入ったゲームを遊んだような気もします。最近減ってきていませんか?

確かに減ってきているかもしれませんが、最近またFLASHベースで開発して、HTML5に落とし込んでいく案件が増えてきた気がします。モバイルだとApp StoreとGoogle Playの二択になりますが、どちらも審査などがありますし、もっとウェブで自由に作りたいという要望が少なくありません。でもFLASHでそのまま作るとiPhoneでは動かないリスクがあるので、HTML5とくっつけるしかないという。なんだかんだで、まだまだFLASHはニーズがありますね。

―――サーバー側はGMOアプリクラウドを使われていますが、何か決め手はありましたか?

自分が弊社に入社する前の話で、だいたい4年くらい前からおつきあいが続いています。当時はハウジング環境で使用するのが一般的で、クラウド自体がまだ珍しい存在でした。その中でも管理画面がシンプルで分かりやすかったのと、価格が安かった点が決め手だったと伺っています。

―――今回改めて、『タイピングラップラー刃牙』でもGMOアプリクラウドを採用されることになりました。

これもサーバーエンジニアの言葉になりますが、以前からクラウドとデータベースに専用サーバー(ioDrive2)を用いたハイブリッド構成で構築しようと考えていましたが、コストの問題で導入を見合わせていました。4月にGMOアプリクラウドのサービスが一新され、ioDrive2が高スペックにもかかわらず、破格の値段で導入できることが分かったので、導入を即座に決めました。このioDrive2というのが、とにかくディスクアクセスに優れているので、データベースにすごく向くんですね。

―――他社でもハイブリッド構成が組めると思いますが・・・

コストパフォーマンスが高かったことでしょうか。また他社では物理サーバーが最低3ヶ月契約といったところもありますが、GMOアプリクラウドではそうしたハードルもありませんでした。またこれまでも、いろいろと無理を聞いていただいており、おつきあいをしていく上で安心感もありました。

―――ちょっと話がずれますが、クラウドのメリットとしてスケールアップ・ダウンに迅速に対応できる点がありますよね。データベースサーバーには、そうしたメリットは不要なのでしょうか?

不要ではありませんが、もともとデータベースサーバーはウェブサーバーやアプリケーションサーバーなどと比べてスケールアップが難しいんですよ。そのため、スケールアップ時はたいていサービスを止めなければならないんです。ゲームを一回止めるのであれば、最初のうちからかなり余裕を持たせた、高性能なサーバーを用意しておき、ある程度会員が増えたら時間をかけて、一気にスケールアップさせる方が良いんですよね。一方でウェブサーバーやアプリケーションサーバーは、スケーラブルに可変できるクラウドの恩恵を受ける方がいい。これがハイブリッド構成の利点です。

―――ちなみにioDrive2のメリットはどんなところに感じますか?

サーバーエンジニアは非常に処理が高速だと喜んでいます。そのため、ウェブサーバーやアプリケーションサーバーの処理を、一部データベースサーバーに肩代わりさせているそうです。これまでより10倍から20倍も処理が速くなって、しかも負荷が低いのです。

―――今後ハイブリッド構成で、ioDrive2を使う構成は広がっていきますか?

一般的にサーバーの価格はどんどん低下していくので、そのうちに標準的な構成になっていくのではないかと思います。実際に1年前と今とでは、ioDrive2の価格がかなり下がってきましたから。それで弊社でも導入できるようになった経緯があります。


サービス一新で「運用」するためのサービスになったと語る古川氏
―――他にサービスが一新されてから、何か違いを感じる点はありますか?

管理画面が変わりました。サーバーエンジニアは「これまではクラウドサーバーを『管理』するものだったのが、今回のサービスでは『運用』するためのUIになった」と話しています。またネイティブアプリが増えたことで、これまではポート番号の80番をオンオフできるだけだったのが、自由にポートの設定ができるようになったり、仮想サーバーだけでなく、専用サーバーのコンソールにアクセスできたりと、痒いところに手が届く設定ができるようになりました。

―――mBaaSの機能は必要ですか?GMOアプリクラウドも提供を予定しているそうですが。

これまでは全て自分たちで作り込んでいましたが、クラウド側で用意してもらえた方が便利なのは事実ですね。プッシュ通知機能やSNS連動といったmBaaSとしての機能が今後追加されていくとのことなので、楽しみにしています。

―――ゲームを作る立ち場として、インフラ側に求めることはなんでしょうか?

まずは安定性。それからレスポンススピードですね。昔はオンラインゲームと言えば「サーバーにつながらない」「落ちる」「データが飛ぶ」といったトラブルがつきものでした。しかし、今はこういった状況はかなり改善されています。一方でゲームを遊んでいて、画面がなかなか遷移しなかったり、カクカクと動いたりという状況は、まだまだ感じられます。これからはスピード感が重要な要素になっていくと思います。

―――外部からの攻撃も増えていますね。

チートやクラック、ハッキングといった行為はますます増えています。外部からの攻撃は常に存在するものとしてプログラムを組んでいます。

―――最後に本作における意気込みについて、ひとことお願いします。

これまで『刃牙』といえばコアな男性ユーザーが主な対象でしたが、本作はタイピングゲームなので、女性にも遊びやすいものになっていると思います。開発側でもイケメンキャラのアバターを作ったり、ユーザー層を広げるための工夫をいろいろとやっています。老若男女さまざまな方に遊んでいただけるようにアップデートをしていきますので、ぜひプレイしてみて欲しいですね。

―――ありがとうございました。

(c)板垣恵介/FWD
《小野憲史》

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