ゲーム感覚で環境にいいこと、Recyclebankが育てる環境に優しくする気持ち・・・「世界を面白くするGamification」第51回 | GameBusiness.jp

ゲーム感覚で環境にいいこと、Recyclebankが育てる環境に優しくする気持ち・・・「世界を面白くするGamification」第51回

今回は、環境にいいことを促すサービスRecyclebankの事例をご紹介します。Recyclebankに提携している企業が規定する「リサイクル活動」をユーザーが行うとポイントがもらえ特典が得られるサービスです。

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今回は、環境にいいことを促すサービスRecyclebankの事例をご紹介します。Recyclebankに提携している企業が規定する「リサイクル活動」をユーザーが行うとポイントがもらえ特典が得られるサービスです。

なんて現金な!と思うかもしれませんが、リサイクル活動というのは継続的に続ける工夫が一番の鍵になります。協賛企業の一つZiplocの例でどんなサービスなのか簡単にレビューした後、ゲーミフィケーション要素をフレームワークで解説します。普段、環境に厳しいことしかしていない(ここでは描けないくらい)izupyoの心の変化にも注目してご覧いただけると幸いです。

Recyclebankはゴミの無い世界を創ることを目指すサービスです。(会社名もサービス名と同じRecyclebankです。)Recyclebankを使ってユーザは以下の3つのメインサービスを受けることができます。

1. Earn Points: green actionsと呼ばれる環境に優しい行動(リサイクル)を行い、ポイントを獲得する。
2. Get Rewards: ポイントに応じて特典をもらう。(割引や買い物ができる。)
3. Live Green: 環境に優しい生活スタイル(節約する方法、より緑溢れる生活(greener every day))を学ぶ。

【詳しい情報】
こちらのHPをご覧ください。
動画(英語)でも概要がわかります。概要がわかる動画(英語)



最初にRecyclebankの3つのメインサービスを詳細に見ていきます。

(1) Recyclebank概要レポート

サービス利用する前には、ユーザ登録が必要です。(Facebookのアカウントがあれば楽にユーザ登録を行うことができます。)登録が完了すると以下のようなプロフィール画面を見ることができ、日々のgreen actionsを確認することができます。(可視化の要素)



(注意)残念ながら2012年2月2日現時点でRecyclebankは地域密着型のサービスのため、アメリカで本サービスを提供している地域に住所がないとサービスを受けることができないようです。今回は適当にアメリカの住所を入力してアカウントを作成し(ポイントや特典は受けられませんが)、Recyclebankの利用イメージを探ってみることにしました。

1. Earn Points

Earn Pointsページにポイントを獲得するgreen actionsをたくさん紹介しています。以下に示すパートナー企業が提案しているgreen actionsや、節電、節水などのように日常生活でのgreen actionsなど様々です。



さて、Ziplocのa green actionを見ていくことにしましょう。



ここで示されている手順でポイントを取得することができるようです。

・Recyclingと書かれた箇所のあるZiploc商品を購入する。
・箱の中にあるポイントコードを見つけて以下のフォームに登録する。
・洗って乾燥させたZiplocバッグを地元の食料雑貨店のプラスチックリサイクルセンターに運んでリサイクルする。
・獲得したポイントでZiploc製品の割引を受ける。(後で詳しくみます。)



2. Get Rewards

ポイントを稼いだら特典を受けることができます。Get Rewardsページではたくさんの特典の受け方を紹介しています。特典のカテゴリーとして食品&飲み物、健康&美容、音楽、服&アクセサリーなどが示されています。



Ziplocの例では50ポイントあれば、次回Ziploc製品を2つ購入する時に$1割り引いてくれるようです。カートにクーポンを入れて50ポイント払って購入し、自宅のプリンターでクーポンを印刷して最寄りの食料雑貨店に持っていくと割引を受けることができます。



3. Live Green

Green actionsですでにユーザは環境に優しい行動を行っていることになるのですが、Recyclebankでは更にユーザに環境に優しい生活スタイルを学んでもらおうとリサイクルに関する記事を用意しています。カテゴリーは以下のようになっています。



1つの例としてAre paper bags recyclable?があります。ここでは商品購入した際によく付いてくるギフトのペーパーバックのリサイクルの方法をいくつか提案しています。

●もしギフトのペーパーバックの状態がよいのであれば、それをまたギフトとして他の人にあげましょう。よい状態のペーパーバックで、環境に優しいのであれば誰も気にはしないでしょう。
●ハードカバーの本を新しいペーパーバックで運ぶより、ギフトのペーパーバックを再利用しなさい。
●たくさん使った後にまだ強度が保たれているのであれば、また使うときまでとっておきましょう。
などなど。



このように環境に優しいgreen actionsの例を紹介して、green actionsの啓蒙活動を行っています。

(2) ゲーミフィケーション・フレームワーク

それではRecyclebankを以下のゲーミフィケーション・フレームワークの項目で分析してみましょう。

●目的と利用者
●目標要素、可視化要素、ソーシャルアクション
●プレイサイクル
●改善・運用

1. 目的と利用者

Recyclebankの目的は「ゴミの無い世界を実現しよう!」です。ユーザに対して「日常生活でのちょっとした行動から環境に優しくなろう!」という目的を持った生活スタイルを提案しています。

2. 目標要素、可視化要素、ソーシャルアクション

上記のユーザの目的を達成してもらうために、Recyclebankは目標として様々なgreen actionsをユーザに提案しています。

・リサイクル商品の購入 → リサイクル
・家電のリサイクル
・節電、節水 などなど

目標を達成する毎にポイントを付与して、目標の達成状況をユーザに示しています(可視化要素)。また各ユーザが目標達成したことを讃えるRecent ActivityやTop Earners This Weekのランキングボートを用意しています。このようにユーザ間で活動状況がシェアされることにより、ユーザがよりgreen actionsにハマるきっかけを演出しています(ソーシャルアクション)。

目標の可視化、目標達成の可視化、ソーシャルアクションにより、普段はささやかに行われ、誰の目にも留まらないかもしれない環境に優しい行動に対しておもてなしをすることで、green actionsの促進へとつなげていることがポイントです。





3. プレイサイクル

a green action → ポイント獲得

上記のような「ユーザの行動」 → 「Recyclebankからのおもてなし」の1サイクルをプレイサイクルと呼びます。Recyclebankはgreen actionsに、Ziplocのようなリサイクル商品を購入するなど、ユーザの日常生活に密接に関わっているものを抽出しているためにプレイサイクルの演出には成功していると言えます。

ユーザがポイントを獲得する手間、特典をもらう手間を惜しまなければ毎日、複数回利用されることは想像に難くありません。

4. 改善・運用

RecyclebankはBadgeville(※1)との提携が決まり、ゲーミフィケーション要素を今まで以上に強化して、ユーザのgreener every dayをより強力にサポートしていくことになります。今後の展開に期待したいところです。本提携に関する記事はこちらをご参照ください。

(※1)ゲーミフィケーション要素のプラットフォームを提供する会社。その名の通り、バッジなどのフィードバックをユーザに与える仕組みを、ゲーミフィケーション要素を実装したい会社に提供しています。提携先企業はeコマース、メディア&エンターテイメント、ヘルスケア、教育などと多岐にわたります。具体的にはSamsung、NBC、CA Technologiesなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。



(3) 考察

(3-1) Recyclebank概要レポート

環境に優しい行動って何をしたらいいのかわからないと思っていた私からすると、Recyclebankが提供するサービスは具体的にgreen actionsを教えてくれて、しかも特典が付いてくるということで非常に魅力的なサービスに映りました。

Ziplocバッグをリサイクルに回すことにより、お金の節約だけでなく、資源を節約していることにつながるという意識(環境に優しい行動)を持つことができたことが私にとっては画期的で、自分自身の視点が大きくなったという学びがありました。

またLive Greenではユーザから投稿されたgreen actionsを紹介してくれているので、普段、全く考えなかった環境に優しい行動を自ら考えることもありなんだなと気づかされるきっかけにもなるので、非常に刺激的なものでした。

(3-2) ゲーミフィケーション・フレームワーク

ゲーミフィケーション・フレームワーク各項目についての考察をします。

1. 目的と利用者

普段からgreen actionsをしている人だけでなく、私のような何もわからない人が具体的なアクションをとれるようにサポートしてくれているところに価値を感じました。本サイトに多くの人が気づけば、ゴミの無い世界を実現する人たちの裾野が広がっていくと思います。

2. 目標要素、可視化要素、ソーシャルアクション

ポイントが貯まることにより、環境により優しく生活していることが自覚され、嬉しい気持ちになります。またランキングで上位に掲載された人は、自他ともに認める徳の高い行動をする人だと賞賛され、嬉しくない訳ありません!もっとがんばろうと思わない訳ありません!

3. プレイサイクル

買い物、ゴミ処理、家電のリサイクルなど日常生活を営む上では避けられないアクションを、green actionsという環境に優しい行動に再定義すると言うニクい演出でプレイサイクルを創っているので、ユーザはサービスを一度利用すると続けて利用し続けるように感じられました。

4. 改善・運用

もっとサービスを盛り上げるために、今後はポイントや特典を獲得する以外に、green actionsをもっと促進する施策(ランキングだけではない上級者へのステータスの付与など)、green actionsをユーザ間で賞賛し合い、盛り上げる施策(ソーシャルアクションの強化)などが登場して、Recyclebankの「ゴミの無い世界を実現しよう!」という目的の実現にまた一歩近づいてほしいと感じました。

また対応地域を広げる、パートナー企業を増やすことにより、より多くのgreen actionsの創出にも力を入れていってほしいと思いました。

Recyclebankによって悔い改め、少しは環境に対する行動を変えないとと思いました。日本にRecyclebankがあれば、環境に優しい人になれるのではないかと思ってしまったくらいに。(英語で言うというところの仮定法です。。)

(4) まとめ

Recyclebankは、以下のようなサービスを提供していました。

1. ユーザの日常的なリサイクル活動(green actions)にポイントを付与している。
2. ポイントに対して割引、商品購入などの特典を提供している。
3. その活動の中でユーザに環境に優しい生活スタイルを学んでもらっている。

最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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