ゲーミフィケーションサミットNY 1日目(3) ”Real vs Virtual Rewards”・・・「世界を面白くするGamification」第33回 | GameBusiness.jp

ゲーミフィケーションサミットNY 1日目(3) ”Real vs Virtual Rewards”・・・「世界を面白くするGamification」第33回

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3つ目のセッションはパネルディスカッション、登壇者は以下。このセッションは今回の中でもかなり面白かったです。各社、実際にゲーミフィケーションの仕組みをふんだんに使って実際のビジネスに役立てているので知見が豊富に得られました。

ディスカッションを聞いていると、それぞれがゲーミフィケーションについて、心理学的知見も踏まえて本質を理解をしっかりとしていることがよくわかります。若干(といっては失礼ですが)20才であるキープ社CEOブライアンもよく勉強しているのには驚きました。

このディスカッションを聞いていると、前回のサンフランシスコでの議論で出ていた「ゲーミフィケーションは本当に有効なのか?」という議論は既に結論が出て終わっていることが感じ取れます。「実際に有効であり、どのように利用するが有効なのかを議論するフェーズにある」ということが共通の前提になっています。中でもバッジビル社CEOクリスの意見は、さすがに多くの事例を持っているだけあって説得力がありました。ソーシャルメカニクスという概念、バーチャルな報酬の価値はソーシャル化が進むと共に上がっていくという見解など、取り入れるべきだなと感じる点がいくつもありました。以下、ディスカッション内容をまとめておきます。

・モデレータ: Christine Lagorio, インクマガジン社
・Samantha Skey, リサイクルバンク社
・Irving Fain, クラウドツイスト社
・Kris Duggan, バッジビル社
・Brian Wong, キープ社

リサイクルバンク社は、文字通りリサイクルやエコ活動を促進するサービスを提供しています。サイトを見ると、例えば「シャワーを使う時間を短くする」など、いくつかのミッションが提供されており、これを実施することでポイントを得られます。ポイントが貯まると称号などを得ることが出来る仕組みになっています。自己申告型なので本当にやっているかどうかはオンラインでは確認が取れないのですが、フェイスブック上で宣言するということで実施したとみなすという形態です。ニューヨークベースです。

クラウドツイスト社は、「ソーシャルロイヤリティプラットホーム」を提供する企業とのことです。Webを見てもあまり詳細が記述されていないのですが、バッジビル社やバンチボール社と類似する仕組みを提供していると推測します。こちらもニューヨークベース。バッジビル社は、このブログでも何度か登場していますね。同じくソーシャルロイヤリティプラットホームを提供している企業で、ゲーミフィケーション関連のSaaSプロバイダーとしては名を売っています。

キープ社はご存じの方もいらっしゃると思うのですが、ゲーム(主にスマフォアプリ)に組み込めるSDKを提供し、ゲーム内の活動に応じて「リアルリワード」、つまり実世界で利用できる報酬と交換できるポイントを付与する仕組みを提供しています。TechCrunchでの記事「Kiip、画期的な携帯広告モデルを発表―ゲームでの達成に応じて現実の商品をプレゼント」に詳しいです。Brianはキープ社のCEOですが、まだ20歳ととても若い!

これらのメンバーで、消費者のモチベーションを高める上でリアルな世界の中での報酬がいいのか、仮想的な報酬がいいのかということについてのディスカッションがなされました。最初の質問は次。

◆各社が提供している報酬にはどのようなものがあるか?
・リサイクルバンク社:グリーン活動をすることに対して報酬を与えるようにしている。リサイクルから始まったが、エネルギー消費を減らしたり、二酸化炭素の使用量を減らしたりといったことに対しても報酬を出している。なるべく長続きし、楽しくなるように常に悩んでいる。
・クラウドツイスト社:リアル報酬は、バーチャル報酬よりも強力で長持ちする手法だと思う。
・バッジビル社:評判、特権や称号といった、形のない報酬もあり得る。特に、ソーシャル性の強いコミュニティにおいてはそのような、人から認められることで得られるような報酬は価値が高い。
・キープ社:リアル報酬をメインとしている。

◆(フォースクエアの)メイヤーには特になりたくはないが、ただステータス感を感じられるようなことは大切だ。ツイッターでフォローされるなど。
・キープ社:リツイートされるなど、人から認められるということは誰にとっても重要なことだ
リサイクルバンク社:ユーザが何を目的としているかがとっても重要だ。本当にグリーン活動をしたいと思っているのだろうか?どうすればグリーン活動をヤル気にさせられるのか?
・バッジビル社:誰がサービスを使っていて、どんな人とつながっているかをあきらかにすることだ。さらにはそのユーザの行動履歴を追いかけることもだ。ゲームメカニクスを取り入れることはとても重要だし、必ずしもリアル報酬である必要はない。友人が何をやったのかといったこともわかるとヤル気になることもある。ソーシャルメカニクス、という言葉を使ってもいいだろう。元々のWebはコンテンツだったが、現在はユーザ同士がお互いにどのような影響を与え合っているかがわかる。また、データからどのようにしてノイズを除いて正しい基準で評価するということも大切だ。
・クラウドツイスト社:ユーザはいろいろなソーシャルメディア上で行動する。それも把握しなければならないが、我々のプラットホームではいろいろな場所での活動をすべてひとまとめにすることができる
・キープ社:本当に意味のある仕事を成し遂げたのか、正しい時にユーザに報酬を与えることができているのか、といったことが行動履歴を追いかけることで見えるようになってくる。

◆プライバシーが侵害されていないと思わせるためにどのような工夫をしていますか?
・リサイクルバンク社:リサイクルバンクとしてはそこはオープンに考えている。リサイクル活動はIDチップを使って認証しており、報酬内容はユーザが自分で選んでいる。ユーザは、そのデータ自体が広告には使われず、コミュニティ全体としての学びのためやグリーン活動自体の意義を理解することにつながっており、またユーザ自身を褒めたたえることに使われているということがわかれば、侵害されたと思うことは少なくなる。
・クラウドツイスト社:プライバシーの考え方自体が変わってきている。ユーザが共有してもいいというデジタルな情報が増えている。メンタル的なものにせよ、リアルなものにせよ、フィードバックがあると共有しやすくなる。一方で企業側も責任が重くなる。
・バッジビル社:ユーザがどの程度情報を共有していいと思っているかが重要になる。つながっているという感覚を与えることや、それが何かしらの発見につながることだ。
・キープ社:今の10代は、もう情報を共有することにはそれほど違和感はない。誰が見ていようとわからなくてももはやあまり気にしなくなっている。Blippyという(※クレジットカードの購入履歴を自動的にオンラインで共有するサービス。物議を醸したが結果的にサービスは終了した)サービスがあったが、ああいうものもありかなと思っている。要するに、力を持つ企業がスタンダードを決めるのではないか

◆transaction(※「決済」などのコンバージョン行為を示していると思われる)の定義の変化についての考えは?
・バッジビル社:昔は買い物をしたときにもらえるポイントや、それが何と交換できるのかということがロイヤリティと紐づいていた。ソーシャルメカニズムが働くようになると、ステータスや評判、達成感といった無形な報酬が重要になってくる。それをお金を払って手に入れてしまうと全く価値がない。ソーシャルになればなるほど、こうした無形な報酬がより価値を持つ。
・リサイクルバンク社:それは確かにその通りだ。金銭的な報酬はサステイナブル(維持可能)ではない。ステータス感や他人からの承認といった内発的な報酬に比べ、簡単に消えさってしまう
・キープ社:「バッジ疲れ」という現象もある。リアルな報酬であっても、予期しないタイミングで与えられれば十分に効果的だ。例えば(マイレージプログラム参加者にランダムに付与される)飛行機の座席のアップグレードなんかは予期しない報酬だが、非常に効果がある。
・クラウドツイスト社:バッジでも、実際の体験が伴うならリアルと言えるのではないか。両方使い分けるのが大事だ

◆(会場からの質問)性別によって有効な報酬の違いはあるか?
・あまりデモグラフィックには関連性がない

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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