ゲームで担う社会インフラ。周辺機器メーカー・ホリが作った『自動車教習シミュレーター』が本物すぎた【TGS2026】 | GameBusiness.jp
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ゲームで担う社会インフラ。周辺機器メーカー・ホリが作った『自動車教習シミュレーター』が本物すぎた【TGS2026】

ゲーム周辺機器メーカーが本気で作った"社会インフラの礎"がここに。

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ゲームで担う社会インフラ。周辺機器メーカー・ホリが作った『自動車教習シミュレーター』が本物すぎた【TGS2026】
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「東京ゲームショウ2026」の会場で、ひときわ毛色の違う展示がありました。それが、ホリブースです。

ゲーム周辺機器メーカーとしておなじみのホリが、コントローラーやアーケードスティックに混じって全く異質なものを展示していました。教習所や運送会社に向けた業務用機材として制作された、本格的な自動車教習シミュレーターです。

そんな変わり種なタイトルを実際に体験させていただいたので、その様子をお届けします。

人手不足を解消するための「ゲーム」

まずは、このシミュレーターが制作されることになった背景から説明させてください。ここが本製品を理解する上で最も重要な部分です。

本シミュレーターは、特定技能外国人の受け入れが自動車運送業分野に拡大されたことを受けて企画開発されたもの。人手不足が叫ばれる物流業界において、海外から来たドライバーをどう育成するか。その課題に対する一つの答えとして作られたのが、このゲームというわけです。

製品は2種類。普通自動車向けの『JAPAN DRIVER TRAINING SIMULATOR』と、今回体験した大型車両向けの『JAPAN TRUCK DRIVING SIMULATOR』です。運転できる車両は普通自動車をはじめ、中型4トン、大型10トン、牽引、バスまでを網羅しています。

そして、開発体制がまた本気です。3DCGによる教習車両の再現にあたっては、日野自動車が開発に協力。車両データの提供はもちろん、エンジン音のサンプリングまで全面的に協力を受けているとのことです。

さらに運転教習の組込み監修では、物流ドライバー教育に強みを持つ埼玉県の指定自動車教習所「羽生モータースクール」と、外国人向け運転教育コンテンツ開発を手掛けるスタートアップ「テトラ・シフト」が連携。日本式自動車教習に則った教習課題を完全再現しています。

ブースに掲示されていたパネルには、教習実技カリキュラムを完全再現した車両が並びます。さらに、5か国語対応(日本語・英語・ベトナム語・中国語・インドネシア語)であることが明記されていました。

加えて、全国トラックプロドライバーの最高峰を競う実技コンテストのコースも忠実に再現されており、練習場所や車両を確保することなく技能練習ができるといいます。

つまりこれは、ゲーム関連メーカーの技術で作られた、正真正銘の教育インフラなのです。

実寸大の操作系。これはもう「運転」だ

筐体を見ていきましょう。運転席をリアルに再現した3画面筐体(機能をコンパクトに凝縮したノートPC版も選択可能)に座ると、目の前に現れるのは完全な大型車の運転環境でした。

ステアリングは直径約40cm、回転角は左右それぞれ2回転半の1800°。フォースフィードバック搭載です。そして特筆すべきは、このサイズが実寸大だということ。実際に握ってみると、本物の大型車を運転する感覚に限りなく近いと言えます。なのでレースゲーム用のハンドルコントローラーとは、そもそも腕の動かし方から違います。

ステアリングのスポーク部分には大量のボタンが並び、左右にはレバー。実車と同じ感覚でワイパー、ウインカー、そしてリターダーまで操作できます。右手側にはHパターンのシフターと、ハザードやパーキングブレーキ、灯火類などが並んだスイッチパネル。足元には金属製の3ペダルがあります。

なお、ホリは個人向けに「HORI Force Feedback Truck Control System」というトラックシミュレーター用のステアリングコントローラー(84,980円)も展開しており、こちらも40cm・1800°・フォースフィードバックという仕様。個人向けで培った技術が業務用へ発展した、という系譜が見えるのが面白いところです。

画面まわりも作り込まれており、3画面にはサイドミラーやアンダーミラーが再現され、車両を真上から見たアラウンドビューウインドも表示。

さらに、教習運転後に見返せるリプレイ機能、各教習課題の正確性評価とタイム計測によるランキング機能まで搭載されています。

ウインカー忘れも信号無視も速度超過も、全部アウト

今回筆者が体験したのは、都営バスの運転です。

画面に表示されたのは「走行練習」の文字と、「目的:エンジンをかけて発進していきましょう」という指示。……いきなり教習です。エンジンをかけ、パーキングブレーキを解除し、シフトを入れて、ゆっくりとアクセルを踏み込む。そして走り出した瞬間から、容赦ない現実が始まりました。

本シミュレーターでは、実際の交通ルールに基づいた運転が求められます。ウインカーを出し忘れてもダメ。信号無視もダメ。制限速度を守らなくてもダメ。

分かってはいるのです。分かってはいるのですが、他のことに意識を取られていると、驚くほど簡単に抜け落ちます。「次は右折だな」と思った瞬間にはもう交差点で、ウインカーを出していない。ゲームの感覚で「とりあえず曲がろう」とすると、即座に指摘が飛んできます。

そして車体の大きさ。これが本当に厄介でした。普通車と違って車体が大きいため、曲がる時に意識しないと、簡単に縁石に乗り上げます。内輪差を頭で分かっていても、実際にハンドルを切るタイミングと膨らませ方が身体に入っていないと、後輪が容赦なく縁石を舐めていく。ミラーを見て、車体の位置を把握して、ようやく「あ、今のは寄せすぎだ」と気づくわけです。

加えてシフト操作。コントローラーで実際にシフトアップしながら、前を見て、横を見て、ミラーを見て、速度計を見て……と、とにかく忙しい。片手はシフトへ、目線は常に複数箇所へ。バスの運転手が当たり前にやっていることの情報量を、身をもって思い知らされました。

教習所のコース内を普通に走るだけで、何度「違反」と言われたか分かりません。

でも、だからこそ意味がある

体験を終えて強く感じたのは、「これがスムーズにできるようになれば、実際に大型車を運転する時に戸惑わずに済む」ということでした。

縁石に乗り上げたところで、シミュレーターなら誰も傷つかないし、車両も壊れない。ウインカーの出し忘れを何度指摘されても、痛いのはプライドだけです。

逆に言えば、この「安全に失敗できる環境」こそが教習シミュレーターの本質なのでしょう。しかも練習場所も車両も必要なく、5か国語で、日本式の教習課題をそのまま反復できる。

物流業界の人手不足と、海外から来るドライバーの育成。その課題に、ゲーム周辺機器メーカーが自社の技術で真正面から取り組んでいる。TGSという場所でそれを体験できたのは、なかなか得がたい経験でした。


ゲームの祭典で、ゲームではないものを運転して盛大に違反を重ねてきました。

しかし、触ってみれば納得です。大型車と同じ実寸台のステアリングも、Hパターンのシフターも、金属ペダルも、そして路面を伝えてくるフォースフィードバックも、ホリが長年ゲーマーのために磨いてきた技術そのもの。それが今、プロドライバーを育てるための道具になっている。

「ゲームをもっと楽しくする」メーカーの技術が、こういう形で社会に接続されるのか、と。ブースを離れながら、しばらくそのことを考えていました。

なお、『JAPAN DRIVER TRAINING SIMULATOR』と『JAPAN TRUCK DRIVING SIMULATOR』は会社向けのタイトルのため現状個人向けの販売は予定されていないとのこと。ただ、ユーザーの評判が大きくなれば家庭用向けのタイトルとして出す可能性もあるかもともお伺いしがので、個人的に遊びたい人はぜひ話題にしていきましょう。

《げーまー哲@Game*Spark》
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