ハイパーリアリズム、ゲーム移植、メタバース…日本のパブリッシャーが世界中のゲーマーを魅了し続けるには? | GameBusiness.jp

ハイパーリアリズム、ゲーム移植、メタバース…日本のパブリッシャーが世界中のゲーマーを魅了し続けるには?

Virtuos社のゲーム部門マネージングディレクターであるフィリップ・アングレー(Philippe Angely)が、ゲーム開発企業とのパートナーシップを通じて活用できる2つの分野について解説します。

ゲーム開発 ビジュアル
ハイパーリアリズム、ゲーム移植、メタバース…日本のパブリッシャーが世界中のゲーマーを魅了し続けるには?
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日本には、ゲーム文化やトレンドを世界に輸出してきた深い歴史があり、世界中のゲーマーたちの子供時代の思い出を作ってきました。しかし、あらゆる産業がそうであるように、ゲーム業界のトレンドは、特に早いスピードで常に変化しています。この激しい変化の中で、日本のゲーム会社は、どのようにして世界の市場を獲得し続けることができるのでしょうか。本記事ではその考察として、Virtuos社のゲーム部門マネージングディレクターであるフィリップ・アングレー(Philippe Angely)が、ゲーム開発企業とのパートナーシップを通じて活用できる2つの分野について解説します。

ハイパーリアリズムへの需要の高まり

昨今のゲームトレンドとして、アーケードゲームからファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)に移り変わる中、映像解像度の向上やテクノロジーはゲームの世界と現実世界との間のギャップをいかに埋められるかに注力されており、この変化はハイパーリアリズムへの世界的な需要の高まりによって、さらに加速しています。

現在、日本のゲーム会社は国内のみならず、海外市場へ拡大していくことを目指す一方で、海外のゲームトレンドは多くの日本のゲームトレンドと異なる傾向が見られています。日本市場には、アニメキャラクターや定番のシリーズゲーム、そのグラフィックに対する一定数の需要があるものの、海外ゲーマーの多くはより写実的なゲームを好む傾向にあります。今後、日本のゲーム会社が世界市場を獲得するためには、より大きなスケールでとらえ、幅広い消費者の嗜好を理解し、多くのユーザーが求めているような仮想世界を提供する必要があります。この目標を達成するためには、ゲームの開発に取り組む段階から、他の開発・制作会社との戦略的パートナーシップを通じて、フォトグラメトリー、ゲーム移植、リマスタリングなどの観点から、開発リソースの強化が求められるでしょう。

フォトグラメトリーの可能性

フォトグラメトリーとは、アートチームが物理的な物体の画像とパターンを測定・記録し、それらの仮想バージョンを超高品質で作成できるようにする技術です。いくつかのゲーム開発会社は、超リアルな 3D オブジェクトを構築するための次世代ツールとして、この技術の活用をすでに検討し始めていました。フォトグラメトリーは何年も前から存在していますが、ゲーム開発で普及しはじめたのはごく最近のことであり、VirtuousスタジオSparx* では、ディズニープラスの「マンダロリアン」の制作に向け、Unreal Engineでデータを処理、非照明にしてからロケーション全体を再構築し、フォトグラメトリーがリアルな3Dオブジェクトを効率的に作成できる本格的ツールであることを実証したことで、新たな道を切り開きました。

また、フォトグラメトリーを用いて現実世界の環境を超リアルなグラフィックスの移植にも成功しており、AAAゲームや2022年度のトライベッカ映画祭でプレミア上映されたショートフィルム「Life Rendered」で、今までに類をみないような鮮やかな世界を作り出しています。

より多くのゲーマーを取り込むゲーム移植とリマスタリング

Newzoo社による「グローバルゲームマーケットレポート 2021」によると、日本のコンソールゲーム収益の3分の1は箱庭ゲームによるもので、これは世界のどの市場よりも高いシェアとなっています。実際、箱庭ゲームの収益がフルゲームのデジタル販売を上回っている国は、フランスと日本のみとなっています。日本で最も人気のあるゲーム機がNintendo Switchであり、ゲーム機のストレージ容量に限りがあるため、物理的なゲームの方が好まれやすいことが主な理由としてあげられています。

一方、日本が収益の点で依然として世界のゲーム市場のトップ3に君臨しているのは事実ですが、これは多くのRPGの名作がモバイルに移植されているからです。そこからさらに成長を目指すために海外市場に参入する場合、ゲームIPへの投資に対してより高いリターンを得るために、積極的な移植やリマスターが実行されており、その実例として、『バイオショックコレクション』『ダークソウル リマスタード』『ダイイングライト』『アウターワールド』 などが、Nintendo Switch に移植しています。またそれ以外でも、プレイステーション4の『ファイナルファンタジーXII ザゾディアックエイジ』や、Meta Quest 2の『Medal of Honor: Above and Beyond 』の開発など、ゲームプラットフォームやジャンルに関わらず、移植の事例はどんどん増え続けています。

(C)2K Games
(C)Bandai Namco and From Software

他プラットフォームへの移植やシリーズゲームのモバイルプラットフォームへの展開、最新のハードウェア機能を活用したリマスター版など、移植の形はゲームによって様々です。海外市場への拡大に一石を投じるには、その分野に強い開発企業とのパートナーシップを通じて、定番のIPゲームを世界中のより多くの人々が体験できるような体制を敷くことが求められます。

仮想世界とメタバースの可能性

現在、多くの人が話題にしているメタバース。可能性が無限がゆえに、今後どのような形で、広大かつインタラクティブなオープンワールドを構築できるのかに注目が集まっています。ゲーム会社においてもメタバース領域でのさらなる利用拡大を想定されるため、仮想世界におけるフォトグラメトリーとリマスタリングの専門知識は必須であり、ここでも他企業とのコラボレーションは重要となってきます。

実例としては『メダル・オブ・オナー』シリーズがあり、Oculus RiftからQuest 2へのVRゲームの導入があり、プレイヤーはゲーム用PCや有線を必要とせず、VRで大人気のゲームを体験することができるようになった例です。また、2020年ドバイ万博をデジタルで体験できるExpo Dubai Xplorerを共同開発したニュースでは、誰でもどこでも、現地からでも自宅からでも、友人と一緒にイベントを体験できるようにする技術が注目されました。

Virtuos社でも、環境とキャラクターアセットを開発し、ARを現実のロケーションに合わせ、ビジター達が歴史をめぐる宝探しや、未知の生物との出会いなど、メタバース環境による大規模イベントのアクセシビリティと包括性の新たな基準となる体験を作りだしています。

(C)Respawn Entertainment

メタバース市場が成長を続けていき、競争が激化するにつれ、ゲーム開発者はユーザーの期待に応えられるような継続的なアップデートが求められます。ダウンロードコンテンツ(DLC)はゲームビジネスに欠かせないものになってきていますが、その分野に強い開発会社とのパートナーシップを通じて、自社アイディアのコンセプトをテストするためのプロトタイプを構築することも実現できるようになります。弊社においても、『アウター・ワールド』などの大型バッチの共同開発を手がけるなど、その分野でのコラボレーションはますます増えてくると期待しています。メタバースの台頭により、日本だけでなく世界中のゲームクリエイターにとって、この分野での協業がますます重要になってくるでしょう。


フィリップ・アングレー(Philippe Angely)
Virtuosゲーム部門
マネージングディレクター

フィリップ・アングレーはVirtuos社のゲーム部門マネージングディレクターを務めています。2009 年に Virtuos に入社し、現在はシンガポールを拠点としています。 ゲーム業界において 13 年以上の経験を持ち、これまで世界のトップ 20 のゲームパブリッシャーにおいて、何百ものAAAゲームのプロジェクトに参加してきました。

Virtuos<ヴァーチャス>について

Virtuosは、シンガポールに本社を置き、アジア、ヨーロッパ、北米にスタジオを持つ、世界有数のゲーム開発会社です。3,000人以上のフルタイムのエキスパートを擁するVirtuosは、AAAコンソール、PC、モバイルタイトルのゲーム開発とアート制作に特化しており、パートナーが追加の収益を生み出し、より高い経営効率を達成することを可能にしています。

10年以上にわたり、Virtuosは2,000以上のプロジェクトに高品質のコンテンツを提供しており、その顧客には世界のトップ20のデジタルエンターテインメント企業のうち18社が含まれています。より詳しい情報はこちらをご覧ください:http://www.virtuosgames.com/ja

《フィリップ・アングレー(Philippe Angely)》

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