ゲームの外でも面白さを!ユーザーに最も近い部署「カスタマーリレーションズセクション」とは―DW・平山氏に訊く | GameBusiness.jp

ゲームの外でも面白さを!ユーザーに最も近い部署「カスタマーリレーションズセクション」とは―DW・平山氏に訊く

『FGO』のゲーム内お知らせや、カスタマーサポートを請け負う「カスタマーリレーションズセクション」について、ディライトワークスの平山紀雄氏にお話を伺いました。

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2015年7月30日のリリース以来、長きに渡って運営を続けているスマートフォン向けFateRPG『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)。ゲームの情報を伝える「お知らせ」での表現など、ゲームの外でも『FGO』を盛り上げる動きが強まっています。

今回はカスタマーサポートを含む「カスタマーリレーションズセクション」にフォーカスを当て、ディライトワークスの平山紀雄氏にお話を伺いました。

――本日は宜しくお願いいたします。はじめにプロフィールをお願いします。

平山平山と申します。前職ではフィーチャーフォン、スマートフォン向けのゲーム開発に、プロデューサー、ディレクターとして従事していました。2015年にディライトワークスに入社し、それ以来カスタマーリレーションズセクションでディレクターを務めています。

――カスタマーリレーションズセクションとは、どういった部署でしょうか。

平山一言で言えば、「ユーザーのみなさんと向き合う部署」です。内部的には2つのチームに分かれており、1つは「コミュニケーション・マネジメント」、もう1つは「カスタマーサポート」です。コミュニケーション・マネジメントは、ゲーム外のテキストなどを作成する部署で、例えばゲームの「お知らせ」作成や、Twitter、Webなどを含めた発信情報の更新業務を担当しています。カスタマーサポートはご想像通りですが、お客様からのお問い合わせに対して回答をさせていただくチームとなっています。

――部署の規模感や、働かれている方のこれまでのキャリアを教えて下さい。

平山コミュニケーション・マネジメントはリーダー職を含めて10名程度、カスタマーサポートは、それよりも少し多い15名くらいです。前者は「お知らせ」の作成をレイアウト含めて担当することが多いので、前職で雑誌の編集や、ゲームの記事などを書いていたスタッフが多いです。構成力・文章力に長けたメンバーが揃っています。あとは、仕事をする上でゲームの仕様を理解する必要もあるため、ゲームに対する理解度が高いスタッフが多いですね。

――「お知らせ」作成というのは、具体的にはどういった業務内容になっているのでしょうか。

平山ゲーム中で言えば、たとえばイベントのプロローグなどが挙げられます。イベントシナリオを読み込んで、どうしたらユーザーのみなさんに楽しんでもらえるかを考えながら、私達がプロローグを作成して、奈須さんに監修をしてもらっています。また、イベントやキャンペーンの「お知らせ」全体も作成しています。ほかにも「メンテナンス」のお知らせ、「アップデート」告知、「不具合」のお知らせなど、いろいろありますが、こうした「ユーザーのみなさんに情報発信するもの」については全て私達で担当しています。


平山一般的には、こうしたテキスト類は開発側のスタッフが書くことが多いと思います。しかし、例えば開発の進行が押しているなどの事情があった場合、「お知らせ」の作成に十分な時間を割くことが出来ず、簡素なテキストだけのものや読みにくいものになってしまうことも起きえます。『FGO』の場合は編集・構成能力を持った専門の部署が作成しているため、ユーザーのみなさんに届ける情報をなるべく多くし、クオリティも高く保つことが出来ているのが特徴です。


――カスタマーサポートについて、御社ならではの特徴的なポイントはありますか?

平山仕事内容は、ユーザーのみなさんからいただいたお問い合わせに対して、回答をお送りする部署です。ただ、業務的な対応というか、割り切った回答をするのではなく、断片的な内容のお問い合わせに対してもしっかりと調査し、表面上は分からない要素についてもできる限り掘り下げて対応するように心がけています。

特徴といえば、24時間対応していることが大きなポイントだと思います。昨年7月頃から24時間体制に移行しました。その理由は、「ユーザーのみなさんは必ずしも昼間だけゲームをプレイされているわけではない」「困った状況にいるユーザーのみなさんをお待たせることなく、なるべく即時対応したい」という2点です。遊びたくても遊べない状況や、不具合のご連絡などにすばやく回答できないと、ユーザーのみなさんの遊びたいという気持ちが下がってしまいます。現在の体制で、混雑時には難しい時もありますが、大きなタイムラグなく返信できるようになってきています。ちなみに24時間体制のもうひとつのメリットとして、3交代制で運用しているため、カスタマーサポートチームはほんど残業が発生しません。これは、働く側にとって良い点だと思います。

――少しネガティブなご質問になるかも知れませんが、例えばお問い合わせ内容などで大変だったもの、あるいはメンタル面で辛くなってしまったりといったことはありますか?

平山一般的にカスタマーサポートと言うと、そういったご心配もあると思いますし、私自身も「スタッフが辛く感じていないか」と不安に思った時期もあります。しかし、現場のスタッフに聞いてみると全くそんなことはないようです。どんな内容のお問い合わせでも、それを送っていただいた方は何かしらに困っている方です。お問い合わせの内容を見て、全体像を把握し対処できるスタッフが揃っています。また、良い方がとても多くて、たくさんのお礼もいただいています。お礼をいただいたときはやはり嬉しいですよね。


――ふたたびコミュニケーション・マネジメントについてお伺いします。「お知らせ」などを作成する専門部署があること自体がユニークだと思いますが、なにか印象的だった事例はありますか?

平山第2部プロローグなどゲーム内のシナリオと連動した取り組みが、印象に残っています。当時は、『FGO』の公式サイトやTwitterアカウントなどで細部にわたり作り込みました。また、『FGO』ではたびたびフェイクタイトルの手法を用いることがあるのですが、事前にユーザーのみなさんにお伝えしているプロローグやロゴ・バナーなどの雰囲気を本編でガラッと変えるというような”驚きの提供”も、とても印象に残っています。2016年の水着イベントも、テレビCMなどでは水着のサーヴァントが楽しく遊んでいる印象をお伝えしながら、実際は開拓イベントだった、などですね。ゲーム本編を楽しんでいただきたいというのはもちろんなのですが、ゲームの外でもこういった“驚き”を含む取り組みを用意していますので、ゲームプレイ以外の部分も楽しんでいただきたいと考えています。

――ゲーム外でも楽しませるという工夫を、プロローグや「お知らせ」という形で行っていると。

平山そうですね。想定される既定路線ではなく、意外性につながるように作成しています。ユーザーのみなさんが思い描いていることの延長線上のみですと大きなインパクトになりませんので、「そう来たか!」と思っていただけるような“前振り”をする、という意識で作っています。ゲーム本編の外でも伏線を作っていくような感覚です。すべてを説明せず、ユーザーのみなさんにどういったイベントなのかを想像して楽しんでいただくということも、大切な遊びの要素だと考えています。

――遊び方を説明する「お知らせ」などはゲームの仕様の理解も重要かと思いますが、開発を含む他部署とはどういったやり取りを行っていますか?

平山基本的にはテキストでのやり取りがメインですが、細かい部分やニュアンスが不明な部分が出てくると、開発スタッフの席まで行き、直接話すこともあります。私たちの考える表現方法が合ってるかを確認してもらい、そのほかも細かくすり合わせています。同じフロアで仕事をしていますので、スッと話に行ける雰囲気があります。ちなみに、私も含めてスタッフはみな『FGO』のヘビーユーザーでもありますので、この仕事を楽しんでいます。カスタマーリレーションズのスタッフは、全員第2部4章はクリアしていると思いますね。


――カスタマーリレーションズセクションの人材に求めるスキルを教えて下さい。

平山まず、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という会社の理念に共感いただけることが前提です。そのうえで、必要なスキルは、コミュニケーション・マネジメントにおいては構成力、文章力に長けている方ですね。そして、ゲームの仕様に対して理解力がある方がよいと考えています。ゲームの攻略記事などを書いている方は非常に向いていると思います。また、自分のイメージを構成に落とし込む力も求められますので、1ページに何もないところから作っていたような経験をされてきた方は非常に向いていると思います。カスタマーサポートについても、根幹は一緒です。「どういう不具合が起きているのか、どういうことで困っているのか」を理解する必要があるため、ゲームに対する理解力は必須です。ゲーム業界のカスタマーサポートを経験された方であれば、よりフィットすると思います。

――最後に、今後の展望などがあれば教えて下さい。

平山短い時間でアウトプットの質を高めるためには、過去のナレッジが重要です。タイトなスケジュールの中でも高いクオリティを保つため、そして教育的な側面からもマニュアル化をすすめたいと考えています。Twitterの運用においても、その方針自体にもっと考える余地があると思っています。せっかく良いものが作られているのに、「お知らせ」が簡素なテキストだけだったためにゲームの面白さが伝わらない、ということがあると非常にもったいない状況です。

ユーザーのみなさんにゲームの外でも楽しんでいただく、そして、ゲームそのものの面白さをしっかりとお伝えしていく。これらを大切にしながら今後も仕事を続けていきます。

――ありがとうございました。
《神山大輝》

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