人気オンラインRPGの歴史を振り返る…devCat Studioチーフプロデューサーが語る『マビノギ』昔話【NDC19】 | GameBusiness.jp

人気オンラインRPGの歴史を振り返る…devCat Studioチーフプロデューサーが語る『マビノギ』昔話【NDC19】

本稿では、人気オンラインRPG『マビノギ』を手がけたdevCat Studioチーフプロデューサーのキム・ドンゴン氏によるキーノートの様子をお届け。「おばあさんが語るように『マビノギ』の昔話を話したい」という挨拶から公演を始めた氏の思い出話を紹介します。

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ネクソンは、韓国最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference 19(NDC19)」を、韓国の京畿道城南市盆唐区にあるネクソンコリアにて開催しました。4月24日から26日に実施されたこのイベントでは、ゲーム開発者が登壇する公演やトークセッションが多数開かれています。

本稿では、人気オンラインRPG『マビノギ』を手がけたdevCat Studioチーフプロデューサーのキム・ドンゴン氏によるキーノートの様子をお届け。「おばあさんが語るように『マビノギ』の昔話を話したい」という挨拶から公演を始めた氏の思い出話を紹介します。

キム・ドンゴン氏は高校生のころからゲーム開発に携わっていて、大学時代にはパッケージゲームを発売するほどだったのですが、この作品は赤字だったのだそう。この時代のゲーム開発者は同じような体験をしていて、「本当にこれが仕事になるのか……?」と確信できるような人はいなかったのです。


その後、ドンゴン氏は『DOOM2』で初めてオンライン対応ゲームに触れました。学生時代には「経験値でレベルアップができて、アイテムをゲットすることもできるBBS」というゲームのような掲示板を開いていたドンゴンさんは、「他の人と仲良くなりたいけど、内向的な人のためのゲームを作りたい」とも思っていたそうです。

『DOOM2』の衝撃とオンラインゲームへのモチベーションを引っ提げ、ネクソンに入社した彼は、いろいろな企画書を社長の机に置いたりもしたそうですが、なかなかプロジェクトとして進めることはできませんでした。「韓国版モノポリー」「今で言う『大航海時代 Online』のようなゲーム」などなどの企画書をたくさん出していたとのことでしたが、残念ながら実際にキックオフするには至りません。当時は「新米社員がチャンスを掴むのは難しい」といった時代だったのだそうです。


そしてある日、ドンゴン氏は一風変わった企画書を用意したのです。キャラクターカスタマイズや「かわいさ」を大切にして、企画書そのものも愛らしいデザインにして、立派に見えるよう分厚くこしらえたものを提出してみると、見事通過。カートゥーンレンダリングやがアニメ風演出が特徴的な『マビノギ』は、数多くのボツ案を乗り越えてプロジェクトとして進行していったのです。

ドンゴン氏は『Ultima Online(UO)』から着想を得て『マビノギ』のゲーム性に反映させていったのですが、『UO』よりも親切でユーザーにとって優しさを感じられるゲームを目指していました。キャラクターが自分の誕生日を覚えていてくれたり、キャンプファイアーの前で食べ物を分けてくれたり、暖かい空気に包まれたゲーム性を大事にしていたのです。


生活感と冒険感の両立も『マビノギ』のアピールポイントで、「日常が合ってこその非日常」を強く意識していたのだそう。細かな動作も作り込んで日常感を高めつつ、プレイヤーの気分を刺激するような「ここぞ」というときにはファンタジー感を誇張するような演出も盛り込んでいました。そんなドンゴン氏の努力から生まれた『マビノギ』はテレビアニメシリーズとしても展開しました。立派に成長してアニメ化した『マビノギ』にも、「内気なプレイヤーも楽しめるゲームになってほしい」という思いはしっかりと盛り込まれていました。

ところで、ドンゴン氏は「マビ日報」というユニークなメールで開発チームにお便りを出していたのだそう。このメールは社内全体に向けて無許可で一括送信するという、今では絶対にできないようなものでした。社内での信頼形成はもちろん、ユーザーと開発陣とのコミュニケーションにも力を注いだドンゴン氏は、ゲームに不具合が起きたときでもユーザーからポジティブな反応をもらって勇気づけられることがあったそうです。


そんな彼が今でも在籍するdevCAT Studioは、現在『マビノギモバイル』を開発しています。過去の『マビノギ』を未来に伝えるため、昔の同作をそのまま再現せず現代的な作品にしようと試みています。オンラインRPG全盛期に『マビノギ』を遊んでいたプレイヤーにとっては懐かしさがこみ上げる作品になるかもしれませんが、彼らが目指しているのは「過去のゲームは“点”であって、それを未来のための“線”として繋げること」。記憶や経験を共有することは、素晴らしいゲームを作るにあたって非常に良いことであると話しながら(そして『マビノギ』で起きた思い出のバグについても振り返りながら)、ドンゴン氏は「昔話」を締めくくりました。
《Game*Spark》

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